ー

Aが昔「歌手になるなら東京に行かないと、って思った」って
話してくれたことが印象に残っているんだよね。
Aにとって、東京ってどんなイメージ？

A

「中心地」かなぁ。

ー

中心地？

A

歌手になりたい気持ちもあったけど、
一番最初のきっかけは漫画なんだ（笑）。

ー

漫画なんだ！

A

たしか、小学生か中学生くらいの頃に読んだ
沖縄のアクターズスクールの子が東京に出てくるお話。
　
沖縄で才能のある子たちが憧れの人に
どうしたらあなたみたいになれるの？って聞いたら、
中心地に行きなさい、って返すのが印象的で。

ー

漫画の影響力ってすごいね（笑）。

A

たしかにね（笑）。 歌手とかやりたいなら、
中心地・東京に行かないと、って思ったのが最初かな。

ー

「中心地」って具体的にはどういうことなんだろう。

A

いろんなイベントごとも東京でやるよね。
最先端のものを見たり、聞いたりできる場所。
　
そこにいくことはワクワクするし、
札幌じゃ出会えないものに、東京なら出会える。

ー

実際に出てきてギャップはあった？

A

東京って冷たいって言われるけど、意外と冷たくないなって。
東京は、いろんな場所から人が集まってできているよね。
東京出身の人ってレアじゃん、逆に（笑）。

ー

そうそう（笑）。東京育ちのわたしはマイノリティ。

A

仲いい子がみんな周りにいるからあったかいのかな。
みんな将来戻りたいって言うけど、結局居座りそう。

ー

戻る場所があるのは、いつもいいなって思ってるよ。

A

明日美が出てないだけじゃない？東京を出たら戻る場所だよ。

ー

たしかに。でも東京を出るのは勇気がいるかも。
知り合いが全部東京に詰まってるからかな。

A

なるほどね。
でも戻る場所がないって言うのは、わかる気がする。
自分が東京に生まれて東京で育ったら、そう思うかもね。

ー

ふるさとの北海道に帰るとどんな気持ちになるの？

A

落ち着くな～って気持ちはあるよ。
でも北海道だからじゃなく、幼少期を過ごしたからかもね。
　
北海道だからよかったと思うのは、ネタになること（笑）。
初対面でもしばらく話せるし、覚えてもらいやすいし。

ー

東京生まれ東京育ちってネタになりにくいかもね（笑）。
　
話は変わるんだけど、
みんなに東京の色のイメージも聞いているのね。
東京って、どんな色だと思う？

A

白とグレーのマーブルかなぁ。

ー

へぇー、どうしてそう思うの？

A

東京タワーが好きだから赤な気もしたけど、
東京に勢いがないから、ちょっと違うかなって思って。
それより、いろんなものが混ざる過程のグレー。

ー

なるほどね。ただのグレーじゃなくて、
絵の具みたいに混ざった結果のグレーなんだね。

A

そうそう、絵の具みたいなイメージ。
何かを求めてくる人のまっ白な状態と、
もういろいろ混ざったグレーが、マーブルになってる。

ー

Aは留学でニューヨークにも住んでいたけど、
ニューヨークもいろいろ混ざっているイメージはあるんじゃない？

A

ニューヨークのほうが雑多だよね。
もう全部混ざりきった黒かな。

ー

東京よりももっと雑多なんだ。

A

ニューヨークのほうが、人種が違う分もっとごちゃごちゃ。
東京は日本人が多くて、人種は整っている。

ー

どちらも中心地のイメージだけど、違うんだね。

A

でも東京は中心地だけど、何の中心？って聞かれると、
思いつかないね…うーん、首都かな（笑）？

ー

たしかに。これといったものはない？

A

これといったものはないのかもしれないけど、
東京ですごく感じるのはね、
「自分でもできそう」っていう気持ちになれる！

ー

そういう気持ちになるの、なんでだろうね？

A

自分が尊敬している人と、物理的に距離が近いよね。
北海道だとテレビ越ししか見られない空の上の存在だけど、
活躍する人を生で見られるから、同じ人間だと思える（笑）。

ー

物理的な距離って大きいかもね。

A

大きいね。あの人もできているから自分もできるかも、
ってモチベーションあげて、今がんばれてるかもしれない。

（次のインタビューは、東京に住んだことがない人です。）