もくじ
第1回朝と夜 2019-02-26-Tue
第2回かなしいとうれしい 2019-02-26-Tue
第3回晴れと雨 2019-02-26-Tue
第4回子どもと大人 2019-02-26-Tue

「The U(ザ・ユー)」ウェブマガジン編集長。イラストレーター。デザイナー。3月8日から3月15日まで原宿のカフェ「bio ojiyan cafe」で個展を開催。

ぼくの好きなもの混在。

ぼくの好きなもの混在。

担当・マスダ ヒロシ

第4回 子どもと大人

エチオピアのハマル族には、カレンダーがありません。
自分たちが何歳かわからないため、
成人の考え方が日本とはちがいます。

日本のようにハタチになったら成人ではなく、
村の子どもを見守る村長が、
精神的、肉体的に成長したなというタイミングで
「お前も、ずいぶん成長したな。
そろそろ、ブルジャンピングに挑戦してみろ」と言うのです。

「ブルジャンピング」とは、
何頭も並べた牛を飛び超えていく成人儀式です。
4往復することができたら、大人として認められ、
結婚することが許されます。

ぼくは、この考え方が好きなんです。

子どもから大人って、
グラデーションのように段階的になるもので、
ハタチになったからといって、
ON/OFFのスイッチのように
カチッと大人になるわけではありません。

いや、なんでこんな話をしているかというとね、
「子どもは子ども」、「大人は大人」と決めつけずに、
自分のなかにある「子ども」の面を忘れない
「大人」が、ぼくは好きなんです。

「子ども」の自分も、「大人」の自分も大事にしている人。
「子ども」+「大人」、「ことな」な人。
その代表選手が、ほぼ日の主宰、糸井重里さんです。

「ほぼ日は、どういうことをしていく会社なのか?」
糸井さんは「夢に手足を。」と、ことばにしました。

「夢に手足を。」は、子どもと大人が混在したことばです。

ぼくは大人の成分量が増えていくにつれて、
夢ということばを使わなくなっていました。
曖昧でふわふわした夢ということばの代わりに、
現実的な目標ということばを使ってきました。

ふわふわした夢に手足をつけようという
「夢に手足を。」のことばに出合って、
夢って、やっぱりいいなあと、思い出しました。

夢は赤ん坊のような甘い香りがします。
夢には子どもの成分がたっぷり含まれています。
「自分は何者にでもなれる」というような、
うらやましくなるくらい、元気でバカな成分です。

どんなに年齢をかさねても、
「今のぼくの夢はね、◯◯すること」と明るく語れるよう、
子どもの成分をなくさないようにしたい。

今のぼくの夢のひとつはね、
アーティストとして海外に呼ばれ、お仕事することです。
さあて、手足動かそっと。