小さい頃は本当に絵本が大好きでした。
絵が脳内に広がっていくあの感覚。
絵の世界の中で本気で泣いたり、笑ったり。
小学生になると今度は漫画に夢中になりました。
好きなキャラクターを必死に真似して描いて、
さらにオリジナルの漫画を描いたりして
周囲にそれとなく「褒め」を要求するようになりました。
その意図を汲んでくれた優しい大人たちや
友人たちのおかげですっかり図に乗り、
自分の才能を過信するようになりました。
将来はきっと絵を描く職業に就くだろう。
画家?漫画家?イラストレーター?
まあその辺はちょっとずつ考えよう。
もう少ししたら考えよう。
そうぼんやり思っていた子どもは
中学生になると絵はほとんど描かなくなり、
そのまま高校生になり、
いよいよ進路を迫られた高校3年生の初夏、
悩んだ末に幼少期に築いた
「小さな栄光」を心の頼りに、
美術大学受験を決意します。
美大受験を経験された方なら
わかる方もいらっしゃるかと思いますが、
この時期に対策を始めるのはかなり遅いです。
もちろんその時期から始めて受かる子も沢山いますが
私には時間が足りなすぎました。
それでも対策を始める前の私は
「得意だったし、まあなんとかなる」と
本気で思っていました。
こうゆう自分の性格に嫌気がさしたことは
その後の人生であと何回もあります。
頼むから懲りて先手を打ってくれ、
そう毎回自分に対して思うのに
ある程度状況が差し迫らないと本腰が入らない。
現在進行形の課題です。
そうして結果的に、親に心労と金銭面の
負担をたっぷりとかけて2浪した末に
ようやく美術大学に進学することができました。
この頃には自分は絵の才能なんて特にない、
絵を描いて褒められることが好きな
ごくごくふつうの子どもであったことが
身に沁みてわかっていました。
