もくじ
第1回長生きするには、「断る」こと 2017-10-17-Tue
第2回求められている答え 2017-10-17-Tue
第3回100円分のコミュニケーション 2017-10-17-Tue
第4回会いたかった人は「普通」だった 2017-10-17-Tue
第5回富山の女子高生を喜ばせたい 2017-10-17-Tue

編集者。普段は紙の雑誌をつくっていますがWebコンテンツ勉強中です!

燃え殻×糸井重里対談</br>キラキラの100円玉でありたい。

燃え殻×糸井重里対談
キラキラの100円玉でありたい。

担当・上條

燃え殻さんは、会社員でありながら、
日常を鋭く切り取ったツイッターが人気を集め、
現在フォロワー数14万人以上。
6月に出版した小説『ボクたちはみんなおとなになれなかった』は
7万部以上のベストセラーになっています。

ツイッターを通して糸井重里と知り合って以来、
ほぼ日のイベントやコンテンツなどにも何度か登場いただきました。

そんな燃え殻さんが糸井重里とほぼ日のオフィスで対談しました。
人前で話したり、メディアに出たりするようになって感じたこと、
デビューを経て変わったことや、何があってもずっと変わらないことを語ってくれました。

プロフィール
燃え殻さんのプロフィール

第1回 長生きするには、「断る」こと

糸井
しかし、よく頑張ってるよね。
燃え殻
あ、久しぶりに褒められた(笑)。
糸井
よく頑張ってるよ。
いろんな、いいこともストレスだし、
悪いこともストレスなんだから。
豪華マンションに引っ越したとしても、
それはストレスだからね。
燃え殻
ああ、最初は。
糸井
最初はっていうか、環境が変わったら、
人体が変わったのと同じだから、いわば。
だから、あらゆる変化は、ストレスなんですよね。
燃え殻
それで言えば、ここ最近は、
今までの人生にないくらい、「変化」しかしてないですね。
でも、それに少しだけ慣れましたね。
糸井
いや、たいしたものだ。
燃え殻
フェイスブックに、
「1年前はこれしてましたよ」って
知らせてくる機能あるじゃないですか。
糸井
ああ、あるね。
燃え殻
それで最近、ちょうど一年前に
糸井さんと一緒に撮った写真が出てきたんですよ。
糸井
ああ。
去年銀座ロフトのイベントでお話したときですね。
燃え殻
ぼくあのとき、人前で話すっていうことが
人生初だったんです。
糸井
そうでしたか。
燃え殻
いや、緊張しましたよー。
それで、さっきのフェイスブックで、
1年前の写真を見たときに、
「あ、この頃と比べたら少し慣れたかもしれない」
と思ったんですよ。

糸井
人前っていう意味はつまり、
知らない人が自分の話を聞いてるってことか。
そういう機会はなかったんですか。
燃え殻
ない、ないですよ!
糸井さん気軽に誘いましたけどね、ロフトへ(笑)。
糸井
(笑)
燃え殻
すごい人って気軽に誘うんだなーと思いました。
会田誠さんもそうだったんです。
会田誠さんから飲みに行かないかって言われたから、
「行きたいです」って言ったんです。
そしたら人前でした(笑)。
糸井
でもぼくは、会田さんみたいな芸術家じゃないんで、
「よかったら来ていただけませんか」
という誘い方だったと思います。
断る権利を与えてたはずですよ、たぶん。
燃え殻
ありました、ありました。
糸井
ぼくはいつもどこかで、
「断られるんじゃないか」って思ってるんです。
燃え殻
あ、そうですか?
糸井
思ってるんです。
そこをけっこう本気で思ってるんです。
燃え殻
それは自分がガッカリしたくないからってことですか。
糸井
じゃなくて、自分も断る権利を持っていたいと思う方だから。
誘われても、「誰が何と言おうがそれは行きたくない」とか、
「ちょっと今は勘弁してください」とか、
いろいろあるでしょう。
だから、断れるような形で誘ってほしいなって思ってます。
燃え殻
ああ、それはいいですねえ。
糸井
「すぐ来いよ」みたいなことを言える関係って、
今までにないかもな、俺。
娘にでもそうだな。
燃え殻
ちゃんと選択肢を。
糸井
うんうん。
ノーと言える空き地を作る。
「もし空いてたら」とか。
燃え殻
ぼくも絶対そうするんですよね。
糸井
それのおかげで、俺はだいぶ長生きできると思うよ。
その方がものすごく健康でいられる気がする。

燃え殻
ああ……、わかります。
実はぼく自身が、直前で嫌になっちゃうクセがあるんです。
たとえば、小学校からの友だちに焼肉に誘われたことがあって。
何度も行った焼肉屋だから、味もわかってて。
嫌なことが起きる可能性はほとんどないんです。
糸井
起きないですね、うんうん。
燃え殻
なのに、直前になって「行きたくない」
ってことがあったんです。
そのときに、「ごめん、俺、今日行きたくない」って
彼に正直に言えたんですよね。
糸井
そう言えたんだ(笑)。
燃え殻
言えたんです。
そしたら、「まあ、そういうこともあるわな」って
そいつが言ったんですよ。
本当に友だちだなって思いました。
糸井
それは友だちですね。
燃え殻
うん。
でも、その状況だったら、
ほとんどの場合、我慢して焼肉に行くじゃないですか。
糸井
ドタキャンってやつですよね、いわゆる。
燃え殻
ドタキャンはしちゃいけないって、
社会ではよく言われるじゃないですか。
だから、ストレスが溜まってくるんです。
糸井
ぼくは、ドタキャンをしないために最初から断る
っていうのが、どんどんできるようになった。
それも健康でいる秘訣ですね。
燃え殻
どうやって断るんですか。
だってたとえば、具体的に
「何月何日にいきましょう」って言われたら、
「その日は用事があって……」って断れますけど、
もっと漠然と「じゃ、今度ご飯食べましょう」
って言われたとき、それを断ったら
「もう、一生おまえとは会いたくない」って話になるでしょう。
それはやっぱり感じ悪いから、
とりあえずは「あ、そうですね」って
言わなきゃいけないじゃないですか。
糸井
うん、そこは言う。
いや、言わないときもあるかな。
「ごはん行きましょう」って言われたら、
とりあえず「あー」って返す(笑)。
燃え殻
「あー」って(笑)。
糸井
「んー」「あー」とか。
そうやって、なんか音だけ出してるっていう。
断らないけどもそこに置きっぱなしにする感じ。
で、本当は行く気はあるんだけど、
今ものすごくドタバタしてるからご飯はちょっと、
みたいなときは、
「うーん」でも「あー」でもなくて、
「あ、いいね」って言って(笑)。
燃え殻
バリエーションがあるんですね。
ぼくは入り口が1つだから苦しいのかな。
糸井
そうかもしれないね。
燃え殻
とりあえず「ああ、いいねえ」って
絶対言っちゃうんですよ、ぼく。
それで最終的にドタキャンしちゃうんですよ。
糸井
「男を狂わせるガール」みたいだね(笑)。
みんなに「私はあなたを受け入れる」
って言っちゃうんですよね。
その場をなんとかキープしたいっていうか。
燃え殻
そのクセがあるんです。
それで、どんどん自分を追い込んで行っちゃうんですよ。
第2回 求められている答え