もくじ
第1回私と母は、すごく近いけれど、全然違う。 2017-12-05-Tue
第2回1つの大きな心残り。 2017-12-05-Tue
第3回母に正面から聞いてみよう。 2017-12-05-Tue
第4回3年ぶりに、いざ、花嫁の手紙を書く。 2017-12-05-Tue

新卒入社した会社で営業配属となってから、気が付けばもう1●年。畑違いからですが、ものをかくことに憧れて、30代にしてはじめて、たのもー!と夢の扉を叩いてみました。

3年ぶりに書く、「花嫁の手紙」。

3年ぶりに書く、「花嫁の手紙」。

担当・ながの。

第3回 母に正面から聞いてみよう。

そうやって、どこかで「花嫁の手紙」を気にしつつ、
月日は経って、気付けば結婚して丸3年が過ぎました。

猫のように、容易く喧嘩が始まるので、
ここ数年は15分を目安に切ってしまう母との電話。

「花嫁の手紙」で自分の気持ちを伝えた気になって、
晴れ晴れと結婚生活を送っていたけれど、
これまでの感謝や複雑な気持ちが小さな喧嘩にまみれて
ちゃんと伝わっていなかったら、すごく嫌だな。
そして、そろそろ、喧嘩しないで、
ちゃんと話したいとも思いました。

一度、じっくり話してみよう。

ちゃんと伝えられるよう、話したかったことを
事前にノートに整理して、写真を撮って送りました。

今日は、電話を勝手に切り上げようとしない。
母が話していることを遮らない。
自分のことを感情的にぶつけない。

3つを決めて、よーし、と通話ボタンを押しました。

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わたし
事前に送ったノートみた?
はは
みた。
あんたが、どう捉えているか、よくわかった。
親子というか、対抗相手みたいに見てるんだね。
わたし
え?全然違うよ、なんでそう捉えるの?
もういい。

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なんということでしょう。
早速、ケンカ開始の合図です。
いつもなら、臨戦態勢に入ってしまうのだけれど
電話前に考えたことを慌てて思い出して、もう一度。

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わたし
ほぼ日の最後の課題、家族について書こうと思ったのね。
私自身、これを機に、ちゃんと家族について知りたくて。
はは
十分じゃない?
家族のことなんて、十分知っていると思うよ、
言葉にできないだけで。
わたし
まあまあ、改めて色々聞いてみたいと思ったの。
私と母さん、電話してるとすぐ喧嘩になっちゃうけどさ。
はは
そんなイメージ、私はないけどね。
わたし
うそーー!
15分以上電話すると必ず喧嘩するイメージだよ!
はは
ぜーんぜん。
母さん、譲歩してるもん、大人だから。
わたし
ひえー、これでも、そうなのね。
はは
私は特に色々家族に役割がある時代に育ったから、
立場を考えて物事を言うけれど、あんたは違う。
苦労無しで来てる上に、若い頃からいい給料もらって、
いいポストついて、ずっと勢いがついたまま来てる。
そういう意味で、人への思いやりや自分の立ち位置を
考えていないな、この子って思うときがある。
わたし
そうなのかあ。
はは
だから、なつみ(筆者のこと)にものを言えるのは
私しかいないと思ってるよ。
父親もいないし、兄弟もいないし。
でも会社にいけば、最近は部下なんているみたい。
そんなあんたに誰も嫌なこと言わないでしょ。
わたし
何か、すごい本質を突かれた気がする。
はは
結婚したら苦労してちょっと学ぶかな、と思ったら、
いいおうちに嫁いで、ありがたいことに、
そのまま苦労知らずで。
わたし
それは本当にそうだね。
はは
ある意味、キャラクタ―で許されちゃうから、
ちゃんと指摘されない。
だから私が役割として、ちゃんと言う。
それを喧嘩と捉えられるのは残念と言えば、残念だよ。
わたし
なんかすごい発見・・・喧嘩じゃなかったのか。
ちなみにさ、「役割」って言葉がすごく出るけれど、
母さんが過ごした、その家族の「役割」ってどんなもの?
はは
じいちゃんとばあちゃん(母の両親)は取締役。
じいちゃんはその中でも代表取締役。
わたし
そこ、会社で例えるんだ(笑)。
はは
うん。しっくりくる。
直接、ああしなさい、こうしなさいなんて言わない。
でも威圧感はあって、どこかからか私の状況も掴んでる。
だから結果、従っているけれど、自分なりの道を歩いてる。
20代早々でテレビ局を辞めて、地元の名古屋も離れて
長野のスキー場で働きだした時、
他人には、勿体ないとか色々言われたけれど、
じじばばは、何も言わなかったな。
じいちゃんは手紙よこしたけど。
わたし
どんな内容??
はは
あなたが元気にスキー場を駆け回る姿が目に浮かびます、
って。
わたし
わはは(笑)。
私が大学時代に京都で一人暮らしした時、じいちゃんから、
同じ手紙来たわ(笑)。
ねえ、お姉さんとお兄さんの役割は?
はは
きよこ(姉)と昭一(兄)はそれこそ、直属の上司。
タイプは違うけれど。
きよこは、あれこれ世話焼きタイプ。
昭一は、一番、側にいたけれど、とやかく言わない。
でも、大事なときに大事なことを言う。
わたし
あー、会社で例えると確かにわかりやすいね。
でも私、自分に置き換えたときに、母さんの役割を
うまくあてはめられないや。
はは
それにさ、家族以外にもいっぱい怒られたよ。
中高生の時、アクセサリーをつけていて、
そんなの早い!って、きよこの友達に叱られたり。
おじいちゃんの家、豆腐屋だったから、若い時に
夜遊びして帰ると、もう職人さんたちが働いていて
ほどほどにな、って一言だけ言われたりね。
わたし
ああ、常に誰かが見てくれてる環境だったんだね。
その状況、実は私がすごく憧れていた形かもしれない。
豆腐屋時代とか、小さい時に少ししか見てないのにね。
はは
たくさんの人と関わってほしいと思っていたし、
そのために色んな役割を同時に何役もしながら、
伝えてきたつもりだよ。
家族は少なかったけれど、ちゃんとあんたの中に、
たくさんの「ひと」がいると思う。
ちゃんと感じてほしいなと思うよ。
わたし
うん。
話せてよかった。ありがとう。

たっぷり2時間話して、電話を切った時の高揚感は、
不思議なものでした。
初めて、穏やかにちゃんと話せた気がする。
私が喧嘩だと思っていたことは喧嘩じゃなかった。
自分とは全く違うのに、何となく憧れてきた家族の形は、
母から聞く、母が過ごしてきた家族の在り方でした。

(つづきます)

第4回 3年ぶりに、いざ、花嫁の手紙を書く。