今回ブルゾンちえみさんを世間に知らしめたワンフレーズがあるとしたら、
それは「35億」だと思う。
「キャリア・ウーマン」も同じオチパートに使われているものの、
「35億」の方が、圧倒的に世間の言の葉に乗っているだろう。
それはやはり「キャリアウーマン」のように既存の言葉ではなく、
「35億」という、何とも絶妙な数字の【オリジナルワード】だったから、
だと思う。
このようなワンフレーズを持つと、世間への浸透力は高くなる。
「ゲッツ!」しかり、「そんなの関係ねぇ!」しかり、
「ラッスンゴレライ」しかり、
「この芸人に、このワンフレーズ!」というものがあると、
言葉と共に、芸人の名前や顔まで覚えてもらえる。
では、ここで思う。
もしこの数字が「35億」ではなく「40億」だったら、笑えたのだろうか。
ここからは、もう本当に各自の想像の世界でしかないが、
ボクは「No」だと思っている。
皆さんの頭の中でもイメージしてみてほしい。
「地球上に男は何人いると思ってるの?…40億。」
なんといえばいいのだろう。
「40億(よんじゅうおく)」の6音節だと、なんだか座りが悪いのだ。
しっくり来ない。
「35億(さんじゅうごおく)」の7音節だと、ちょうどよい。
日本人には、言いやすい音節やリズムがある気がしている。
この国が「5・7・5」を大切にしてきたように。
「7音節」は、日本人の遺伝子に染みつく
“言いやすい音節数”の1つな気が、ボクはしている。
(物凄く個人的な意見でごめんなさい。)
また、「35億(さんじゅうごおく)」の言葉のリズムもいい。
このリズムをあえて表すならば、「タン・ター・タ・タ・タ」だ。
「ビバリーヒルズ」と同じだ。
「ネイチャーメイド」とも同じだ。言いやすい。
例外がありすぎて、「なんじゃそりゃ!」となる方もいるかもしれないが、
本当にそういった音節数やリズムが、浸透する言葉にはとても大切だと、
ボクは本気で信じている。
また、もう1つ思うのは、この数字が「50億」だったとしても、
ここまで世間には広まらなかっただろう。
「35」という普段あまり触れない数字だからこそ、
日常の中で偶然何かのアンケート結果が約3割だった時に、
「…35%」と言いたくなる。
偶然時計の針が「7」の所を指していた時に、
「…35分」と言いたくなるのだ。
もしも「50億」だったら、時計の針が「10」を指していたとしても、
「…50分」とヒトボケしたくならないだろう。
「50」という数字が、とてもよく見る数字だからだ。
なんにせよ、「35億」という7文字の【オリジナルワード】を、
これまた7文字の「ブルゾンちえみ」が獲得したことは、大きい。
お決まりのワンフレーズがあると、笑いになりやすい。
学生時代に、担任のお決まりの口癖(=オリジナルワード)を披露して
笑いを取っていた友達が、きっと皆さんも思い出せるのではないだろうか。