手土産論からはじまる、はじめてのコピー・広告談義。田中 泰延 × 糸井 重里 のツイッターの外での話。

第2回 梁山泊でのお花見大問題
- 糸井
-
あと、今だから、もう言える秘密が僕らの間に1つあって‥‥
お花見問題。
- 田中
-
はい。大問題ですね。

- 糸井
-
田中さんがいた電通の関西支社の部署は、なんていうか、
よく言えば、梁山泊みたいな所なんです。
- 田中
-
東京のカッコいい広告に対して、
とにかくカウンターパンチを食らわせようと、
京都や大阪のこの関西のノリで。
で、どんどん人が集まっていって、
梁山泊みたいな集団になってしまって、
個性の強い人がいっぱい集まった中に、
なぜか糸井さんが(笑)
- 糸井
-
大集団に、アクの強い人たちが集まっているわけで(笑)
お花見だから、もう酒があるのはもう分かってて。
そこで、若手として存在している田中さんの案内で、
そのお花見に行くっていう日があったんですよ。
で、京都の駅に降りて、田中さんと待ち合わせをするんです。
その時にが田中さんと僕の初対面なんですね。
- 田中
-
はい。
- 糸井
-
で、ツイッターのメッセージで、待ち合わせの連絡をして
「どうもどうも」って言って会ったわけですね。
そしたら、その時も紙袋下げてるわけです(笑)、複数の。
で、1つの紙袋は、大きなつづらみたいになってて‥‥。
1つは「つまらないものですが、荷物になりますから、
これはそのまま僕が帰りまで持っています」って。
渡し方にも、ちょっと知恵を使っているわけです。
そしてもう1つ、重いものを持っているんです。
それは、一升瓶なんですね。

「あの梁山泊の方々は、とにかく酒があれば機嫌がいいので、
これは糸井さんからの差し入れだっていうことで、
申し訳ないですけど、勝手に用意させていただいたんで、
お渡しする時だけ持っていただけませんか」っていう(笑)。
この人は何十年営業畑にいたんだろう?と思ったんですけど、
営業畑にはいないんですよね。
- 田中
-
まったく行ったことがないんですよ。で、そのお酒には、
のしに大きい筆文字で「糸井」って書いてあるんです。

- 糸井
-
もうすでに(笑)。だから、もう、なんていうの、
いいんだけど、騙されてるような気がする(笑)。
- 田中
-
この小賢しさっていうね(笑)。
- 糸井
-
その念の入り方があんまりなんで、もう笑うしかなくて(笑)、
ただ、相手は、人を見ることにかけてもなかなか手練れだし、
言っちゃったほうがいいのか、言わないほうがいいのか、
その加減もわかんないんです、とにかく。
僕は芝居ができないんで、ここは田中泰延に任せておこうと
言われた通りに「これ」って言って渡したら、
案の定、湧くんですよ。
- 田中
-
まず、僕たちは、少し遅れて行ったんですよね。
みんながすでにちょっと飲んでいる所にお連れしたんですよ。
僕、事前に糸井さんに、
「ここは糸井さんからって言ってくださいね」
って言ってるから、糸井さん、「あのぅ、これ、僕が」って、
すごい小さい声でおっしゃるんです(笑)。
なんかもうね、なんか後ろめたそうに出すから。
でも、そうしたらみんなが、「ワーッ!」って、
その包みの紙を取ると、「糸井」って書いてあって、
お酒が出てくるから、「ウワァーッ!」って(笑)。
- 糸井
-
すごいんだよ。
- 田中
-
その喜び方の浅ましさ(笑)。
- 糸井
-
ガソリンを、こうなんていうの、焚火に投入したみたいに。
で、これだったら、手土産持ってきたほうがいいんだなぁって。
大阪から来た人は、東京の集いであれやったら、
「あぁ」って言ってお終いですよね、きっとね。
- 田中
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あの瞬時に開けて、
「酒!」って、全員一斉に注いで、一気に飲んでましたね。
- 糸井
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そう。でも、そのメンバーは馬鹿じゃないんです。

- 一同
-
(笑)
- 糸井
-
その、そこがいやらしいところで(笑)、
馬鹿じゃないのと、馬鹿が同一平面に2つ置いてあるんです。
- 田中
-
なんでしょうね、あの人たちは。
- 糸井
-
なんでしょう?
- 田中
-
なんですかね。