- 糸井
-
僕は釣りでつながりましたけど、
泰延さんは、バンドを組むこと、なのかな。
- 田中
-
あぁ、そうかもしれません。
高校時代のバンドの名前は、
「ヒロノブ&ジ・アザーズ」でした。
- 一同
- (笑)
- 田中
-
それでよし、とするメンバーがいたんですよ。
「これは誰が聞いてもひどいと思うから、
ひどい中で不機嫌に弾いてるお前たちは、
たぶん『最高』って言われる」。
- 糸井
- その説得力がすごい。
- 田中
-
「ご近所」の話も、釣りの話もそうですけど、
糸井重里さんと話していて、
身体性の話に行くとは思ってもいませんでした。
- 糸井
-
‥‥身体性の話の中で、こう、
ちょっと、編集的に都合悪いかもしれないんですが、
‥‥あのぉ、僕、トイレ我慢してまして。
- 田中
- 今?
- 糸井
- 今。
- 田中
- それはね、止める人いないです。
- 糸井
-
ちょっと行ってきます。
すいません。
- 永田
- テープは止めずにいきましょう。
- 田中
-
只今、身体性について、
糸井さんが実証されています。
- 一同
- (笑)
- 田中
-
身体性の発露が、盛大な水の話からつながる、
水の何かによって、
今、流れて行っているわけです‥‥。
- 永田
- 身体性、といえば、ほぼ日も多いですね。
- 田中
-
あぁ、はらまき、とかね。
‥‥この間、手帳のキャラバンに行ったら、
すごいんですよね、皆さんの手帳。
写真を貼るとか、何かを折り込むとか。
自分の一部として、
身体の延長に手帳の使い方がありますよね。
- 永田
- そうですね。
- 田中
-
それを皆さんうれしそうに語ってて。
それがすごい、おもしろかったです。
- 糸井
-
‥‥すごい、身体性ですよ。
- 田中
- 戻ってきた(笑)。
- 永田
- 身体性の話でつないでいました。
- 糸井
-
身体性つながりですけど、
今まで、我慢できなくて中座したのは、
僕、2回目です。
- 田中
- 2回目ですか(笑)。
- 糸井
- 話しがおもしろくて、予定よりも長引いたので。
- 田中
- 光栄です。
- 糸井
-
もう1回は、
誰もトイレに立てないような長い時間、
出たくても言えないっていうケースで、
‥‥高倉健さんです。
- 田中
- それは、それは無理です(笑)。
- 糸井
- 弱ったなぁと思いつつ、「すいません!」と。
- 田中
- 「すいません!」っていうのも健さんっぽいですね。
- 一同
- (笑)
- 糸井
- いやぁ、田中泰延、第2の。
- 田中
- うわぁ。
- 糸井
- もう、田中健と呼びたい。
- 田中
-
(笑)
‥‥高倉健さんのすごさを認識したのは、
小学校の時にテレビで観た、
映画の記者会見でした。
「高倉さんは、主人公と同じような立場になったら、
どういう気持ちになられますか?」、
「気持ちですか‥‥」と考えて、
フラッシュがピタッと止まる。
1分ぐらい経って、「わかりません」。
- 一同
- (笑)
- 糸井
- あぁー。
- 田中
-
高倉健さんってどんなに偉い人なんだ、
と思いましたよ。
- 糸井
-
そのあたりは、高倉健さんっていう、
人物が1つの企業でもありますからね。
俳優として素晴らしい、よくできた、
高倉健を抱えた社長だなぁと。
- 田中
-
なるほど。
‥‥矢沢永吉さんも、もちろん、
巨大化したブランドを抱えていますよね。
- 糸井
-
永ちゃんはね、
本当に「ご近所の人気者」なんですよ。
- 田中
- そうなんですか。
- 糸井
-
社員が、引っ越し先を探していたとき、
早朝に電話がかかってきて、
「あ、俺だけど。豪徳寺となんとかに、
いい物件あったから」。
- 田中
- 矢沢永吉が、物件みてくれるの‥‥?
- 糸井
-
そう。
で、「A、B、C3つあるんだけど、
BとCは俺、話しつけたから、何時に行くといいぞ」。
永ちゃんに言われたら、行かないわけにいかない。
- 田中
- 絶対行く(笑)。
- 糸井
-
「どっちかに決まったの?」ってきいたら、
「いや、決まらなかったんです」。
- 一同
- (笑)
- 糸井
-
その、「決まらなかったんです」も含めて
「ご近所」の人なんですよ。
永ちゃん家で、「バーベキューしよう」ってときも、
火の世話から全部永ちゃんがやるんです。
- 田中
- ご本人が(笑)。
- 糸井
-
腹いっぱいになったあとは、
居間で永ちゃんのDVDを観るんです。
僕と一緒に行った若いやつの肩組んで、
永ちゃんが言うの、
「いいね、矢沢」、「矢沢、最高だね」って。
- 田中
- おおーー。
- 糸井
- それはね、「受け手の永ちゃん」なんだよ。
- 田中
- はじめてききました。
- 糸井
-
永ちゃんは、楽屋に人を呼ばないから、
しゃべる人がいないですよ。
‥‥健さん、永ちゃん、泰延さんってね(笑)。
- 田中
-
とんでもないです(笑)。
なんですかね、
吉本隆明さんとかもそうなんですけれど、
「偉そうくならない」んですよね。
大阪弁です、「偉そうくならない」。
- 糸井
-
あぁ、そうですね。
鶴瓶さんとかも、ものすごく上手。
さんまさんも。
いい見本が関西には多いね。
あの人たちにとってみれば、
みんな「ご近所」なんですよね。
- 田中
- たしかに、そうなんでしょうね。
- 糸井
-
いやぁ、今日はおもしろかったです。
‥‥ここでは、田中さん「これからどうなる?」
なんて、聞きませんから。
ただ、なんかこう、釣りの「当たり」みたいな
おもしろさにはたどり着いてみたいですよね。
魚が、生存をかけてひったくる、あのかんじ。
- 田中
-
ああ、そうですね。
いやぁ、身体性の話は、
何か僕のこれからに影響してくると思います。
本当にいい時間でした。
- 糸井
-
みんなは、こんなおもしろい話を
ただで聞けましたしね(笑)。
- 田中
-
(笑)
ほんと、今日はありがとうございました。
- 糸井
- ありがとうございました。
(おしまい)
