でも、そんな私も上京して2か月半経つとさすがに焦ってきました。
「やっぱり私も標準語を日ごろから使わなきゃいけないのかな…。」こう思ったのにはワケがあります。1つ目は私と同じように宮崎から上京してきた友人たちが標準語を使いこなしていたから。2つ目はお店とかで注文するときに訛っていると恥ずかしいと思うようになったから。友人からも「何で?何で宮崎弁のままなの?」と言われる始末…。直さなくていいや!って思っていたけど、東京にいて開き直ってペラペラ宮崎弁を喋っていくのか、東京にいるんだから努力して標準語を話すのか…。いろいろ悩んでいました。そして、ある出会いがあったのです。
去年5月。私は1人でほぼ日のショップである、TOBICHIの展覧会に行きました。
TOBICHIのことは、幼い頃から、ほぼ日ファンの母から聞いていたので知っており、東京で暮らすようになってから、たびたび行ってはワークショップなどにも参加していました。その日は動物の絵の展覧会をやっていました。会場にいると、ある人がやってきました。その人物を見て私はとても驚きました。なんとやってきたのは糸井さんの奥様、ソフトバンクのCMに出演している、あの樋口可南子さんだったのです!

(その時の写真)
宮崎から出てきた田舎娘が初めて芸能人に会った瞬間です。当時の私はまだ訛りがバリバリにあった時期でした。ほぼ日の乗組員の方と会場にいた他のお客様と樋口さんと話していると、樋口さんが言いました。
「あなたすごく訛っているわね。どこ出身?」
「宮崎です。大学進学で上京してきたんですけど…。訛っていますかね…。直さなきゃって思っているんですけど、なかなか直らなくて…。」
訛っているからおかしいって思われたのかな。恥ずかしい、憧れの樋口さんの前で…。と思っていると、樋口さんが言いました。
「チャーミングねぇ。直すな、直すな~(笑)」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
チャ、チャーミング…⁉樋口さんからチャーミングって言われた⁉喜べ、宮崎県民!宮崎の訛りがチャーミングって言われたぞぉぉぉ!と私は心の中で力強くガッツポーズをとりました。
私は驚き、そしてとても嬉しくなりました。
「訛りを早く直さなきゃ。」って思っていて、でも標準語で話すのがつらいと思っていた。そんな私にとって樋口さんの言葉が私に自信を与えてくれました。
そして私はその時、決心しました。
「あの樋口可南子さんが『チャーミング』って言ってくてた宮崎の訛り。私は直したくない、大事にしたい。みんなに『直せば?』って言われても絶対直さないぞ!」
その後も、私はいろんな人に方言のことを言われましたが、言われる度にこう思いました。あの、樋口可南子さんに褒められたこの訛り、直さなくてもいいもん!
私は改めて宮崎の訛りが大好きになりました。そして、自分の大切な人に自分の気持ちをまっすぐに伝えられるのはぎこちない標準語じゃない。この宮崎のこの独特の話し方だ!と確信したのでした。
(続きます)
