もくじ
第1回自分はどうありたいのか?を考える 2017-05-16-Tue
第2回仕事も趣味もバランスを取るには? 2017-05-16-Tue
第3回仕事はタイミングだと思うよ 2017-05-16-Tue
第4回みんなが好きなことを仕事にしたら? 2017-05-16-Tue

フリーで編集とライターをしています。
鳩サブレ勉強家です。

「働くということ」に悩んでいます

「働くということ」に悩んでいます

担当・マチコマキ

第4回 みんなが好きなことを仕事にしたら?

最後に話を聞いたのは、
同じチームで働いていた先輩・Yさんです。
私と同じタイミングで会社を退職し、
現在は違う業種のお仕事をしています。
1年ぶりに会いました。

ーー
いつもYさんには仕事の相談をしているのですが、
あらためて一緒に働いていた会社について話をしたくて。
私にとって、あまり良い思い出になっていないんです。
Yさん
今と昔の自分を比較して
昔のほうが輝いていたんだって思うのはね、嫌だよね。
人からそう思われるのも癪だし…。
でも、そんなに考えなくても良さそうだけどね。
ーー
理由として、
再就職がうまくいかなかったからかなと思っているんです。
Yさん
タイミングはあると思うよ。
あのとき(2008年から2009年頃)は大不況だった。
俺、忘れもしない出来事があるんだけどさ、
後輩と歌舞伎町へ飲みに行ったの。
歌舞伎町って混んでいるし、客引きもいるじゃない?
11月か12月の25日だったかなぁ。
交差点に客がいなかったの。まったく人がいないの。
ーー
お給料日なのに。
Yさん
何があったんだ一体、って思ったね。
俺の知ってる歌舞伎町じゃないよと後輩に言ったら、
彼も「これは何かあったんですかね?」と驚いていたくらい。
リーマンショックのせいなんだけどさ、
本当に閑散としてて、大変なことが起きてるんだと実感した。
ーー
出産したばかりで、私が家にこもっていた頃ですね。
知りませんでした。
Yさん
あの時、再就職は難しかったと思う。
子供が生まれたこともあるから、
客観的に見ても最悪なタイミングだったんじゃないかな。
働くということはね、縁や運みたいな外的要因も大きいからね。
ーー
外的要因も理由だと思うのですけど、
どこまで努力したら就職できるんだろうと悩みました。
30代後半になると管理職経験というものが求められますよね。
それを経験しなきゃって躍起になっていた時もあって。
Yさん
自分がこうありたいという気持ちが強くて、
理想と現状のギャップを感じていると、
過去のことを忘れたいに繋がってしまうのかもしれないね。
もしくは、自分のやりたいことの方向が
昔の延長線上にないから苦しいのかも。
ーー
なるほど…。
Yさん
みんな、口に出して言わないけど悩んでいるよね。
とくに40代特有の危機、
ミッドライフ・クライシスというものがあるんだけど
不安になったり、憂鬱になったりするの。
ーー
子供も思春期だし、仕事でも責任が重くなる時期ですよね。
いろいろ悩みがあっても表に出さないのかぁ。
Yさん
年取るとさ、俺もそうなんだけど執着が強くなってくるのよ。
ーー
逆に気にならなくなるものだと思っていました。
Yさんは「僕は僕」というスタンスだと思っていたのですが、
考えが変わりました?
Yさん
変わった、変わった。
たとえば、子供が大きくなったり友人との関係が変わったり、
時間が経つことによって環境が変化することに
慣れていないんだよね。
変わらないことに満足していた部分があるのかもしれない。
保守的になっている気がします。
ーー
40才を過ぎても、価値観が変わることがあるのですね。
Yさん
しんどいと思うのは、労働者としての自分の人生よりもさ、
プロダクトやサービスの寿命のほうがはるかに短いということ。
年をとっても、新しいことをし続ける必要が出てくるわけです。
ーー
「あと10年で消える仕事」のような話を聞くと、
気が重くなります。
Yさん
嫌いなこと、やらされていると感じている仕事から、
新しいことって生まれにくいよね。
そうなると、好きなものでないと勝負できないなと思う。
ーー
好きなことじゃないと、そもそも続けられないです。
Yさん
たとえばね、80才ぐらいのおばあちゃんがやってる、
めちゃくちゃ安い飲食店があるの。
おでんと焼酎飲み放題で2000円ぐらいのお店。
「東京ひとりでやってるババアの店」って呼んでるんだけど。
ーー
(笑)
Yさん
なぜそんなに安いのかというと、
おばあちゃんたちは自分が店をやってる、
好きな仕事をやってるというのが大事だから。
採算はさておいて、その価格に落ち着くんだよね。
 
どんなに年をとっても、「ありがとう」と感謝されて嬉しいし
「働いてないとダメだ」と考えている。
これって仕事の究極的な形だと思わない?
ーー
お孫さんとかハラハラしちゃいますね。
おでん作ってる場合なの、おばあちゃん!みたいに。
Yさん
やらずにはいられないんだよね。
仕事って、本当はそういうものなのだなと思う。
自分の好きや生きがいが
「東京ひとりでやってるババアの店」には、
ぎゅっと詰まっている感じがする。
そういう人を見ていると元気になるから。
働くってこういうことかという、ベースの部分が見えてくるな。
ーー
おばあちゃんも、
昔は家族を食べさせるためにお店をやっていたかもしれなくて。
働くって、時期によって目的も変わりますよね。
Yさん
100年後ぐらいになったら、
人が働かなくてもいい世界がくるかもしれないからさ。
本当に好きなことだけでみんなが勝負していくことになったら、
「東京ひとりでやってるババアの店」みたいなのが
いっぱい出てくるんだなって。
ーー
素敵ですねぇ。

おわりに

働くということは、なんだろう?
悩みに悩みましたが、
すっきりとした答えは見つかっていません。
でも、私が感じていた過去の仕事へのわだかまりについては
さまざまな視点での考え方を知り、
とても気持ちが楽になりました。

悩む姿を人に見せるのは恥ずかしいものです。
素直に悩むと、自分の傲慢さもでるし、
弱さにも気づきます。
その分、少しずつ前に進んでいるなと思える瞬間が
何回もありました。

悩むことって、喜怒哀楽と同じ、
当たり前のことなのかもしれない。
また「働くということ」について悩んでも、
悪いものじゃないって思える気がしています。

(悩みは尽きませんが、終わります)