土鍋を買ってから、あることを思い出していた。
百鬼夜行だ。
妖怪は粗末に扱われた道具たちが、
行列を組んで夜中を徘徊する、あの百鬼夜行である。
道具に目と手足がついて、ぞろぞろと歩いている姿は
なんだかユーモラス。
人間味を感じさせる表情や動きを見るのがおもしろい。
昔の人たちは道具にも魂が宿ると考えていた。
だからこそ、「道具が付喪神になって出てくるぞ」
という発想が生まれたのではないだろうか。
そんなことを思っている。
そういえば、「道具に魂があり、妖怪になって歩く」
といった話は、外国でもあるのだろうか?
(ご存知の方がいましたら、ぜひ教えてください)
今回購入した鍋だが、家に持ち帰って袋から出した時に
「よう、これからよろしくな」
なんて、心の中で呼びかけしまった。
もちろん相手からの反応はないのだが(あったら、ちょっと怖いぞ)、
魂が宿るくらいに、土鍋を使い込んでやろうと思う。
さて、私の土鍋くんのデビューはご飯を炊くことで幕を開けた。
我が家ではステンレスの鍋で、ガス火を使ってご飯を炊いている。
それと同じ要領で土鍋で炊いてみた。
今まで土鍋を使ったことがないので、
どのように扱えばよいのか、よく分からない。
「うまく炊けるかねぇ」
そんな少しの不安も込めて火にかけたが、出来上がりは上々。
蓋を開けると、おいしく炊き上がった証拠のカニ穴もある。
よしよし、いい感じだ。
「なんとなく、ご飯が甘い気がするね」
「うん、水気もちょうどいいかも。」
「今度は土鍋で何作る?」
ご飯を炊いただけで会話が弾むのも、こいつのおかげである。
やるじゃん、土鍋。
発見:土鍋でご飯を炊くと、会話が弾みます。

(続きます)