もくじ
第1回 2016-11-08-Tue
第2回 2016-11-08-Tue
第3回 2016-11-08-Tue
第4回 2016-11-08-Tue
第5回 2016-11-08-Tue

私の好きなもの
「ポケモン」

担当・秋田英美

第3回

どうして女の子に生まれてしまったのだろう。
絶対に克服できない「女」である自分のことが、
だんだんキライになってしまいました。

やたら自己肯定感が低くなり、さらに思春期が重なると
やたら死にたくなりました。
でも、一番低いところまで思考が落ちて
はじめて見えてくる世界や自分もあったのです。
死んでもいいなら「なんでもできる」ぞ、と。

そうしてある日、両親の前で、私は爆発しました。

「ちょっと冒険の旅に出てくるね!」

女の子は夜道をひとりで歩いてはいけない、とか
ちょっとした不自由さが、
私には大変生きづらかったのです。

中高一貫の女子校を卒業し、大学生になったとき
私は「女」を克服するために歩き旅をはじめました。


イギリスで。

幼い頃に感じたポケモンショックを、どうしてもどうしても
私には克服する必要があったのです。

「ぼうけん」したくてもできなかった自分を、
リセットしてもう一度やり直したいと思いました。
それに、女の子であることは変わらない事実でも、
強い女の子になって、社会のあらゆる理不尽に
負けないように、自信をつけたいとも思いました。

ということで、ポケモンGOが開発される何年も前に、
私はポケモンの「ぼうけん」を体感するべく
イギリスという国を選んで、ひとり旅をしていたのです。


歩いた道筋には、青い蛍光マーカーを引いていましたが、
もう、うっすらとしか残っていません。

地図もこの一枚しか残っていませんが、
私はひとりでイギリス本土を歩いて一周し、
「女の子でもぼうけんできる」ことを証明しました。

ちなみにイギリスを選んだ理由は、両親への建前です。
農業がダメなら、私は植物がスキだから
公園とか庭をつくる人になろうかな、くらいの勢いで、
ガーデニング文化のあるイギリスへと
娘は消えていったのでした。
(つぎにつづきます)

第4回