仕事が苦しい糸井さんと、辛い古賀さん。
第４回 糸井さんは「1億円はすごくない」と言う
- 古賀
- 糸井さんは、
例えばミリオンセラーになったら1億円だとか、
そういうお金っていうのは想像しますか。
- 糸井
- あのね、人はそれをすぐに想像するので、
無防備でいると、その人の小ささに合わせて
自分も小さく見えちゃうんです。
それは嫌なので、
僕はお金に対してはちょっと警戒心があって、
「お金好きです」っていう発言を
時々するようにしています。
- 古賀
- 喜びの源泉として、
「おっ、１億円」と思うことはあったりするんですか。
- 糸井
- それは全くないですね。
- 古賀
- ないですか。
- 糸井
- なぜないかというと、僕が得られるような数字って、
お金で言うと、ちっちゃいからですよ。
- 古賀
- （笑）
- 糸井
- どうしたってちっちゃいですよ。
町にいっぱい建っているチンケなビル、
これあなたのお金で建ちますか（笑）
- 古賀
- ええ（笑）。はいはいはい、わかります。
- 糸井
- 「古賀さん、その本売れて儲かったでしょ」
っていうのって、
チンケなビル以下なんですよ（笑）
- 古賀
- そうですよね、うん。
- 糸井
- そのくらいのお金で、
持ってるだの持ってないだの言うのは、
「モテちゃって大変じゃない」
と言うのと同じような。
- 古賀
- それ気づいたの、いつぐらいですか。
- 糸井
- 30代の頃ですね。
千万単位のお金を前にして、
「ああ千万単位ってこういうことか」
って思うときがありますよね。
それがたぶん30代のはじめぐらいでした。
そのときは、自分では
「ずいぶん儲かったな」
って思うんですね。
でも、意味ねえなって気づくんです。
実は手取りの収入だと、
みんなが思ってる額の半分ぐらいですよね、
税金とられるから。
- 古賀
- うんうん、そうですね。
- 糸井
- となると、プロ野球選手の年俸とか見てても、
実はこんなもんなんだよねっていうのを
想像できるようになるんですよね。
そしたら、ないがゆえに羨ましがってたり、
僻んだりしてる人達が言ってることって、
お門違いすぎて。
- 古賀
- そうですね、うんうん。
