飯島食堂へようこそ。  おじさんを 雑に扱う いい女 清水ミチコさんと、 健康ごはん。

『LIFE2』にエッセイを書いてくださった 清水ミチコさんを、飯島食堂にお招きしました。 CD『バッタもん』が完成し、 全国ツアーをひかえた清水さん。 ひさしぶりに会った糸井重里(ダイエット中)と、 そりゃまあほんとによくしゃべりながら、 笑いながら、毒もちょっとまじえつつ、 ヘルシーでおいしい 飯島奈美さんのごはんをいただきました。
第1回 ダイエットをはじめたんだよ。 2010-02-22
第2回 モノマネしなくていいからね? 2010-02-23
第3回 伸坊とおんなじだ。 2010-02-24
第4回 ぞんざいですね。 2010-02-25
第5回 そんなあなたに言われたくないです。 2010-02-26
第6回 アイムフリー! 2010-03-01
第7回 お化粧を落として。 2010-03-02
第8回 じつは、みんなモノマネができるんだよ! 2010-03-03
第9回 人を体重で判断したらいけない。 2010-03-04
第10回 ユーミソさん。 2010-03-05
第11回 清水さんちのゴハン。 2010-03-08
第12回 とりつけの日。 今日の更新

その12 とりつけの日
糸井 清水さんのモノマネを似てるとか、
似てないとか、ダンナさんは言わない?
清水 言わないですね。
似てるとも言わない。
糸井 つまり、大きく言えば、
仕事の話はしないってことですね。
清水 そうですね、うんうん。
糸井 それはうちもそうなんですよ。
まったくしないんですよ。
訊かれたりすれば言うかもしれないんだけど、
でも、1年に1ぺんもないね。
清水 へぇー。
飯島 へぇー。
糸井 ない。
あとオレがやってる仕事についても
訊かれない。
社員に対してのほうが
よっぽどいろんなこと言ってる。
清水 ふーん。
ああ、そうかそうか。
三谷幸喜さんのところも
お互いの作品を見ないし、
批評っていうかね、
感想を言い合わないそうですよ。
糸井 いや、わかるわ、それ。
清水 わたしの周りのプロの料理人で
家に入るともう料理したくない、
って人多いですけど。
飯島 ほんとですか。
糸井 飯島さんは、つながってますよね。
飯島 そうですね。
清水 すごーい。
糸井 板前さんとか男の料理人さんって
家でもやってますって人、
ものすごく多いですよね。
飯島 つくるものがちがうんでしょうね。
仕事ではこういうのをつくりたいというのと、
趣味ではこういうのをつくりたいというのが、
ちがうかもしれないです。
和食の人はアウトドアクッキングとか
すごく好きな人がいたりします。
糸井 趣味でモノマネしないよね?
あ、するよね!
清水 するよ!
糸井 するんだ!
清水 そんな怒ることないじゃん。
糸井 するねぇ!
なにがちがうんだろう。
商品と商品じゃないものか。
清水 でも、わたしが好きな人は
みんなも好きな人だし、
まぁ、公の人が多いからじゃないですかね。
芸能人が好きだから。
糸井 学校の先生のモノマネっていうんじゃないもんね。
清水 学校の先生に
憧れの人がひとりいたんですけど、
そのときは、
みんなの前でやらなかったですね。
糸井 ぶふふふっ。
憧れの先生のモノマネ。
清水 自分の部屋でやってました。
アサダ先生によくなってました。
糸井 すっごいなぁ。
『ガラスの仮面』みたいですね。
清水 ぷっ(笑)。よく言えばね。
糸井 セーラー服着た子がさ、
誰もいない部屋に入ってさ、
先生のモノマネ!
勉強してるかと思ったら、
また先生のモノマネ!
清水 だって好きなんだもの。
でも、みんなやってるかと思ってたからね。
わたしは。
糸井 国民全部ね(笑)。
清水 うん。
でも、負けませんからね、その日が来ても。
糸井 飯島さんだって、もともとは
好きではじめたことだからね。
清水 ちっちゃいころからお料理好きでした?
飯島 そうです、好きでした。
最初はママレンジっていうの買ってもらって。
清水 あ! 持ってました。
飯島 それで、褒められてすごい好きになって。
清水 持ってなかったでしょ、男子。
糸井 ふふ。
うまくいかない料理っていうの
つくっちゃうことあるんですか?
飯島 あります、あります。
糸井 その時は、やっぱり
近寄れないような人になるの?
飯島 あ、ぜんぜんそんなことないです。
大丈夫です。
ま、これはこれ、みたいな感じで。
糸井 清水さんはいかがですか。
まずくできちゃったら。
清水 料理とかはぜんぜん平気です。
糸井 ぼくは落ち込むんです。
ただ焼きそばぐらいでも、
食べてる最中とか、さびしい。
清水 食べなきゃいけないからねえ。
糸井 食べなきゃいけないし、あと‥‥
このあいだ犬に取られたチキンって、
フライパンの上で3分っていうのを、
そんなところまでまじめにやっちゃって、
強火で3分っていうのをしたら、
焦げたんですよ。
その焦げちゃったのを、
かみさんがいない間だったんで、
取ったりしてるときに、
もういっそやり直そうかな‥‥とか。
でも、その焦げてる皮を
はがしてるとき、かじったら、
すでにうまかったんですよ。
だから、いいんだこれは、
このくらいの面積はなかったことにしよう、
と思って、ごまかした。
でも、あの一瞬はほんとに悲しかったです。
清水 飯島さんのレシピっていうのは、
自分でつくりだしたんですか。
飯島 そうですね。チキンとかも、
ヨーグルト入れたら柔らかくなるかなとか、
どうかなとか、想像したものを試してみて、
もうちょっとこうしようかなって
どんどん変わっていくんです。
それを突き詰めていくみたいな。
清水 それを逆算してレシピにしていくわけですね。
文字にしていく過程はたのしくないでしょ。
飯島 いえ、けっこうたのしんでますよ。
清水 ほんと?
糸井 すごいよ。
飯島 肉団子ひとつにしても、
まずみんながつくりやすい300グラムで
一回、途中までやって、
ここからパン粉を半分は2分の1カップ入れて
こっちは4分の1カップ入れてみよう、みたいな。
で、食感を試してみて、あ、こっちのほうがいい
ってなると、勝ち残り戦みたいに。
ちょっと入れ過ぎたかもしれないから、
じゃあ今度は3分の1にしてみよう、っていうのを
また今度やったときに、同時に前によかったのも、
同時につくって、同時にまた食べて。
清水 へぇー!
一同 へぇー。
糸井 その夜に来ればいろいろ食えるんだよ。
そういうときにさ、
ちょっと電話してもいいよ。
清水 あはははは。
糸井 あっ! オレ今日とりつける日だった!
忘れてた!
── とりつけ?
清水 鶏を漬けるほうね。
糸井 ヨーグルトを入れた漬けダレに
漬けておくってことを、今日する日だ!
つまり、それのつもりで、
今日用に買った鶏がある!
あるんだ!
一同 (笑)
清水 そんな(笑)。
それ心で思って。
口に出さないで(笑)。
糸井 ‥‥だって、
オレの中では‥‥。
清水 ものすごく大事なことなのね。
糸井 うん。
清水 わかる、わかるけど。
ほぼ日手帳つけてる?
糸井 つけてる。
でも、鶏漬けるのは書かなかった‥‥。
清水 (スタッフ席に)ねぇ、
そのコーヒーゼリーって余ってるの?
── はい、余ってます。
清水 もらっていい?
糸井 お持ち帰りですか。
清水 食べるんです。
いい、もらって?
飯島 どうぞ、もちろんです。
糸井 強欲な女だねぇ!

(このあと、なぜか糸井重里が
 「前川清とクール・ファイブ」を
 強く清水さんに薦めますが、
 あまりに長いので割愛します)
糸井 オレ、一ヶ月後ぐらいに
また清水さんに会いたいな。
清水 うんうん。
前川清さん、たぶん聴いてみると思う。
糸井 「あのときに、あれ聴いて
 わたしはあのときはうなずいてたけど、
 なに言ってるんだ、このおやじは
 と思ってたのよ」と。
一同 (笑)
清水 それ、想像シーンですかね。
わたしの。
糸井 「ところがあのあとわたしは、
 廃盤になっちゃいそうだって聞いたんで、
 5枚買ってみんなに配ったわよっ」
清水 自分のモノマネはじめて見ましたけど、
そんなですか。
「わよっ」ってこう(笑)。
糸井 都家かつ江みたいになっちゃた。
清水 あたしゃね。
糸井 内海好江みたいになっちゃった。
清水 はははは。
そんなですか!

(おわりまーす!)

2010-03-09-TUE




清水ミチコさんのライブがあります!
清水さんの新作CD『バッタもん』



清水ミチコの試供品無料進呈
「歌のアルバム」を語りまくる90分。
矢野顕子感謝祭。
一夜かぎりのくだらなさ
飯島食堂へようこそ。
「ばななさんとおいしいごはん。」
飯島食堂へようこそ。
「堺雅人さんと満腹ごはん。」
飯島食堂へようこそ。
「藤原帰一さんと、映画のごはん。」
LIFE なんでもない日、おめでとう! のごはん。
書籍『LIFE』『LIFE2』
かもめとめがねのおいしいごはん。

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN