怪・その33

「夢を見たから」



彼女と同棲していた時の事です。
その日ぼくは彼女より先に寝てしまい、
ある夢を見て、
叫びながら飛び起きてしまいました。

まだ起きていた彼女はとても驚き、
「どうしたの?」と聞くので、
夢の内容を話しました。

玄関のドアが開き、
眩しい光に包まれた何かが
部屋へと入ってくるのです。
その何かというのは
お地蔵さんの形をしていて、
別に怖いものでもないはずなのですが、
部屋に侵入されるという恐怖感から、
叫んでしまったのです。

当時ぼくは、家の中に居る時、
ドアのカギは閉めていませんでした。

ですが夢の恐怖から、
その晩はすぐにカギを閉め、
再び眠りにつきました。

それから数時間後、

ガチャガチャッ、
ガチャガチャッ、

という音が聞こえたような気がして、
でもまだ半分朦朧としており、
結局そのまま寝入ってしまったのですが。

翌朝、ご飯を食べながら
彼女がぼくにこう聞いたのです。

「明け方にさ、
ドアノブガチャガチャ回す音したよね?」

あの夢を見なかったら、
ドアは鍵を開けたままでした。

(k)

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2023-08-25-FRI