怪・その32

「忘れないように」



ある年の春、
24時前にはいつものように
2階の自室で眠っていました。

家にはネコが数匹おり、
必ず一匹は私のそばで眠ります。

寝ていると
唸り声で起こされました。

夜中の2時頃だったか、
ぼんやりとなんだろうと思いながら
周りを見ると、
横で寝ていた猫が
部屋の入り口に向かって
毛を逆立てて威嚇しています。

暗闇が苦手で
常夜灯を付けているので、
入口を見ましたが、
特に変わったこともなく
眠気にまかせ猫を撫でながらなだめ、
再び眠りにつきました。

翌朝、祖父が亡くなったと知らせがあり。
ああ、あれはおじいちゃんだったんだ。
と昨晩のことを思い返しました。

私はおじいちゃん子でしたので、
最後に顔を見に来てくれたのだと思います。
そして、その日は私の誕生日であり、
祖父の命日となりました。

忘れっぽい私が
忘れないようにしてくれたのかもしれません。

(猫屋)

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2023-08-25-FRI