怪・その41
「ご先祖様しか」
もう十年以上も前に経験した事です。
夏のある日、
怪談系だったか、あるテレビ番組で、
ある男性が自殺をされ亡くなった、
という話をしていました。
なぜか思わず聞き入ってしまい
「気の毒に‥‥可哀想に‥‥」と思い、
ホロリと涙がこぼれ落ちました。
その夜、眠っていると、
聞き覚えのない男性の声が
耳元で聞こえてきました。
「‥‥くれ‥‥」と。
そのうちはっきりと
「供養してくれ‥‥
供養してくれ‥‥」
と繰り返し言っており、
首を絞められました。
苦しくて、怖くて仕方がなかったです。
苦しい中で、私を助けてくれるのは
ご先祖様しかいない! と思った途端に
声も締め付けも消え失せました。
朝、母に伝え、
その日にお墓参りをして
ご先祖様にお礼を伝えました。
(こはこ)