怪・その38

「その角は曲がらないで」



私と妹は若い頃、
門限など無いかのように
外で楽しく遊んでいた。

そんなある日。
遊び仲間が全員、
急用ができたり熱が出たりして、
今日は出かけられないと言う。

行きつけの喫茶店も
こんなときに臨時休業。
「仕方ない、家でのんびりするか」
と思った。

帰り道、暇を持て余していた私は
前を走る救急車を見て、
「ついて行ってみようかな?」
という気持ちがわいた。

すると、その救急車は
知ってる道をどんどん進む。

「その角は曲がらないで」
という思いもむなしく、
救急車は我が家に着いた。

携帯が鳴った。

「おばあちゃんが倒れて、
今、救急車来たところ」

「わたし今、
救急車の後ろ走ってきたから
外にいる」

そこに妹も到着。
友達と大喧嘩になり、
帰ってきたらしい。

祖母を家族全員で
見送ることができた。
(フク)

こわいね!
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2022-08-29-MON