怪・その24

「キッチンにいる」



10年ほど前の話です。
私が夕食の支度をしていたら、
両手で背中を強く押されました。

「刃物を持ってるから危ないよ」
と言いながら振り向くと、誰もいません。

3人の子どもたちはリビングで
笑いながらテレビを観ていました。
「誰かキッチンに来た?」と聞きましたが
「行ってないよ」と、テレビに夢中。

気のせいかと思いましたが、
確かに両手で押されたのです。
ちょっと嫌な感じがしました。

その夜、夫がリビングのソファーで
うたた寝をしていました。
私は2階で洗濯物を片付けていました。

その時、
「わぁぁ〜」という夫の叫び声。
慌ててリビングへ行くと、

「誰かが腹を思い切り叩いた。
 目を開けても誰もいなくて、
 テレビの画面(消してある黒い画面)に
 白い髪の長い女のヒトが写ってて、
 キッチンの方へ消えた」

と、血相を変えながら一気に私に話しました。

次の日の夕方、
子どもたちのお迎えから帰宅して
お風呂洗いをしていると、
長男が「キッチンに誰かいるよ」と。

さらのその直後、
次男が「お庭からおねえさんのぞいてる」と
慌てて言いに来ました。

もちろん誰もいません。

前日のこともあるので、
子どもたちをリビングにあつめて、
みんなでおもしろいテレビを見ることに。

だいぶ落ち着きを取り戻したので
私は夕食の支度を始めようと立ち上がった時。

長女が目をまんまるくして
「ママ、キッチン行っちゃだめ。
 白い髪の長いお姉さんが、
 こっちを見てる。
 ママ、絶対行っちゃダメ」
と言いました。

娘が言っている場所は、
昨日私が背中を押された場所。

これは一回外へ出ようと思い、
子どもたちを連れて買い物へ出ました。
夫へも連絡し、帰宅途中で合流し、
一緒に帰宅しました。

家に中の様子に変わりはありませんでした。

でも‥‥、
子どもたちが見た、私が背中を押された場所に
長い髪の毛が数本落ちていました。
(私も娘もショートカットでした。)

その後も、防犯砂利を歩く音や、
玄関をガタガタ開けようとする音、
階段を昇り降りする足音、
庭を女のひとが通るのをカーテン越しに見るなど、
不可解なことが続きましたが、
いずれも防犯カメラには映っていません。

現在はその家から引っ越しているので、
その後の状況はわかりません。

一体どんな意味があったのか‥‥、
未だ不明で奇妙な出来事です。
(r)

こわいね!
Fearbookのランキングを見る
2022-08-17-WED