怪・その22

「位牌から」



両親とマンションに引っ越したときのことです。
入居日当日、荷解きも問題なく進み、
収納作業もほぼ済みました。

ただ、「ご先祖様のお位牌と仏具」だけ、
起き位置が定まらずにいました。
後日仏壇を購入予定でいたので、
新居にはまだこれと定まる場所がありません。

父方先祖のお位牌ですが、
いったん、母の部屋に置くことになりました。

その晩、私は何かを呼ぶ声で、目が覚めました。
時計を見ると午前3時を過ぎです。
声の主は、隣室の母でした。

何かを呼んでいるようでしたが、聞き取れません。
しかし、寝ぼけているにしては声が大きいのです。

様子を見に母の部屋へ向かうと、
別室の父も起きて来たので、
二人で母のもとに行きました。

予想外に、母は起きていました。
寝ぼけた様子はありませんが、一言。
「お位牌をパパの部屋に持って行って!」と。

聞けば、
「位牌から白い着物を着た女の人が出てきた」
というのです。

母の話はこうです。
友達と話している夢を見ていた矢先、
急に重苦しくなり目が覚めたこと。
ふと位牌へ目をやると、
白い着物の女性が位牌から出て来たのが見えたこと。

女性は足下からのしかかって、
身動きできなくなったこと。

これはまずいと思って、
父の名を呼んだ‥‥と言っていました。

位牌が父方の先祖なので、
自分は嫁です、子孫は父だ、
と知らせようとしたのだそうです。

直ぐに位牌は父の部屋に移しました。
効果の有無はわかりませんが、
その後は何事もなく眠れた、といっていました。

後日、女性の顔は覚えているか聴くと、
思い出せないと言っていました。
髪は肩ぐらいまでの女性とのことでした。

不思議なのは、祖母、曽祖母と、
外見が一致しないことです。
母が見たのが本物だとしても、
どなたなのか、今は謎です。
(x)

こわいね!
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2022-08-17-WED