怪・その21

「末っ子を迎えに」



昨年、父が亡くなった時のことです。

お葬式の翌朝、興奮した声で
母から電話がかかってきました。

なんと、父が夢に現れたのだそうです。

夢の中の父は、タオルを1枚胸にかけただけの裸で、
全身びっしょりで玄関に立っていたそうです。

お父さん! どうしたの? と声をかけると
すっと消えてしまったとか。
お風呂大好きだったのに
最後の頃は身体を拭くだけしかできなかったから、
あの世でゆっくり入ってるのかなぁ、と
二人でしみじみ話しました。

その2日後、母から電話が。
明け方また、父が夢に出てきたと言うのです。

今度は、上が白のワイシャツ、
下が紺色のズボン姿で、
玄関ドアの外に
家の方を向いて立っていたと言います。
しかも隣には、
少々乱れた髪の白い着物のおばさん。

亡くなってすぐに、女の人つくって!
と母がすねるので、
きっとあの世に連れて行ってくれる
道案内の人じゃない? と慰めました。

それから3ヶ月ほど立った頃です。

実家でみんなでアルバムを見ていたら、
母が、嘘っ! とつぶやいて固まってしまいました。

その指さす先には、癖毛の中年の女性の写真。

「あの時お父さんと一緒に
玄関に立ってた女の人よ亅

結婚前に亡くなったので
会ったことのない父のお母さんでした。

可愛がっていた末っ子のお父さんを
お迎えに来たのでしょうか。
最後に母に挨拶に来てくれたんだね。
(まる)

こわいね!
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2022-08-15-MON