怪・その16
「葬祭場の夜」
義母のお通夜の夜。
葬祭場で、私たち家族が
義母と最後の夜を
同じ部屋で泊まることになりました。
夜の8時頃、葬祭場の職員の方が挨拶にみえて、
これで職員はすべて引き上げるということと、
正面玄関のドアは
外からは絶対に開かないので注意して、
という旨の説明をして帰られました。
一時間おきに起きて、
お線香を絶やさないように確認していたのですが、
木のふすま1枚隔てた、
先ほどまでお清め会場だった食堂で、
片付けをするように
椅子をガタガタ出し入れする音がずっとしていました。
もちろんとっくに全て片されているのですが、
私は
「あぁ、まだ片して下さってる方がいるんだなぁ」
と何故か普通に思っていました。
でも真夜中だし、
帰る挨拶まで来られてるので
そんな筈はないのですが‥‥。
後で聞くと、次女だけは
やはりその音をずっと聞いていたそうです。
(t)