怪・その17

「立っているギャル」



今年7月初めのことです。

仕事を終えて、
自宅マンションロビーに着いたのが、
夜の9時頃でした。

ポストを確認していた時、
20代の、茶髪で服装も今どきの
いわゆるギャルっぽい女の子が、視界に入りました。

私はとっても疲れていて、
ヘッドホンで音楽を聴きながらだったので、
そのギャルの方をよく見ずに小さく頭を下げて、
モゴモゴと挨拶しました。

ギャルもシャイな感じで
少し頭を下げたように見えました。

エレベーターに一緒に乗るのかなあ、
と思っていると、
付近にギャルの姿はもうなくて、
どこに行ったのかなと思いながら、
エレベーターにひとりで乗り込みました。

いつものように奥の鏡に向かって
自分の髪を触ったりしようとしたら、
鏡ごしにそのギャルが
エレベーターの前に立っているのが映っていました。

あ、やっぱりいるんじゃん。
乗るよね? と思いながら振り向いて、
開ボタンを押そうとしたら、
誰もいません。

え??? となりましたが、見間違いかと思い、
再び鏡の方に向き直ると、
やっぱりギャルが立っているのです。

またドアの方を振り返ると
やっぱり誰もいない。

私の頭が混乱しているうちに、
扉は閉まり、
エレベーターは動き始めました。

なんだか一瞬ゾーッと寒気が走りました。

家に着いてからも、
思い出して記憶を辿ったのですが、
どう考えても鏡に映ってたのに、
実際にはいなかったんです。

そう言えば鏡に映った彼女は
どこかボーッとしていて、
細身のスラっとしたスタイルに
ショートパンツとTシャツみたいな夏ぽい服装でしたが
顔や髪型はハッキリわからなかったです。
(i)

こわいね!
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