怪・その10

「川に戻ろう」



私の高校の後輩の話です。
彼女が中学生の頃、8月のお盆の時期、
彼女は親の実家へと家族で帰省していたそうです。

ある晴れた日、
彼女は友人たちと河原へ出かけて遊んでいました。

日が暮れ始めたので、
暗くなる前に帰ろうと
みんなで川から離れ歩き始めました。

しかし、
たくさん遊んで疲れているはずなのに、
なぜか彼女は帰らずにまだ遊びたいと
友人たちに告げます。

友人たちは、暗くなると危ないからと
やや強引に彼女を連れて帰り始めました。

その道すがら
彼女の様子はだんだんとおかしくなります。

歩き始めてからも、
彼女はひたすら
「ねえ、戻ろうよ。あそこでもっと遊ぼうよ。」
と静かに言い続けました。

友人たちは、
彼女のいつもとは違う雰囲気に怖くなり、
彼女の手を強く引いて帰り道を急ぎます。

そして、川から離れていくにつれて
彼女の言葉の勢いは増していきました。

「お願い! 戻ろう!」

それにかまわず歩き続けて、
帰り道の途中の神社を通り過ぎようとしたとき、
彼女は急に静かになり
何かが彼女から落ちたような感じがしました。

友人たちが彼女の様子をうかがうと、
彼女はいつも通りに戻っていました。

しかし、
川からそこまでの帰り道での出来事を
覚えていませんでした。

彼女が感じたのは、
ただ、どうしても川に戻りたかったということ。

その後はみんな無事に家まで帰れたそうです。
(w)

こわいね!
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2022-08-08-MON