怪・その9

「自転車の後ろにいた生徒」



私が高校生だった頃の話なので、
かれこれ20年ほど前になります。

当時自転車通学だった私は
テストの一夜漬けがたたり、
寝坊してしまったために
慌てて自転車を漕いでいました。

通っていた高校は校門の前に国道が通り、
広めの横断歩道がありました。
ちょうど赤信号になってしまい、
自転車を止めて青信号になるのを
今か今かと待っていると、
校門に生徒指導の先生が立っているのが見えました。

これは怒られるに違いないと思いながら
青信号で自転車を漕ぎ進めると、
案の定先生に静止されてしまいました。

「寝坊してしまって遅れました。」
そう正直に話したのですが、
先生は私の後ろをやたら気にしながら

「二人乗りは駄目だと言っているだろう。
もう1人はどこに行ったんだ。」

と言うのです。

ひとりで来たこと、
私以外の生徒には会わなかったことなど
説明したのですが、
先生は頑なに
私の自転車の後ろに生徒が立っていたと言うのです。

しばらく押し問答が続きましたが、
始業のチャイムが鳴ってしまい解放されました。

その後は滅多に遅刻することなく、
ひとりでの登校も
数えるほどしかありませんでしたが、
そのたびに毎回先生の
執拗なほどの視線を感じながら
登校するはめになってしまいました。

私の自転車の後ろにいた生徒は、
学校に来たかっただけなのでしょうか。
そうだといいのですが。
(くもり)

こわいね!
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