怪・その46

「見ていただけなのに」



小学生の頃から祖母に
「こっくりさんをしてはいけない、
やっている人の側にいてもいけない」
と厳しく言われて育ちました。
もちろんやったことはありません。

50年くらい前の話になりますが、
ある日小学校から帰ってきた従兄弟が
「きつねうどんが食べたい」
と言ったそうです。

伯母は土間でうどんを作り始め、
その間に従兄弟に
風呂を浴びてくるよう言いました。

しかしうどんができても
従兄弟は風呂から出てきません。

何度呼んでも返事はなく、
心配になり覗いてみると従兄弟は
白眼をむき、
左手を湯船につけたり離したりと
パチャパチャさせていたそうです。

慌てて風呂から引き上げ
布団に寝かしました。

近所には霊的能力があり
お祓いのようなことを生業にしている人がいて、
「狐がついている」と言ったそうです。

こっくりさんをしていたとわかり、
お祓いを始めたところ、
突然ムクッと起き上がり、
裸足のまま庭に降りて
全速力で走り出したそうです。

そしてパタッと倒れたと思ったら
正気に戻っており、
座敷に大勢の人が集まっているのを
不思議がったそうです。

ちなみに従兄弟は
ただ同級生がこっくりさんをしているのを
見ていただけだそうです。

(いそだ)

こわいね!
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2021-09-05-SUN