怪・その36

「通るたびに‥‥」



その道は、普段の通勤路ではないのですが、
幹線への近道として、車でよく通ってました。

ある曲がり角の家の横手に、
小さな庭と畑があり、
ある日の夕方、
野良着姿で小柄のおばあさんが
日なたぼっこするように石の上に座っていました。

翌週の夕方、
そこを通るとき、同じところに
おばあさんが座っていましたが、
少し、痩せたように思いました。

その翌週、
おばあさんの顔の目が
少し大きめで違和感があったのですが、
急いでいたのでさっと通り過ぎました。

通り過ぎた後でふと気付いたのは、
肌の黒味と、まぶたが無かったこと。

しばらくして、
また前を通る機会があり、
こわごわハンドルを握りしめてチラと見たら、

おばあさんのお顔は完全に
空ろな黒い髑髏に変わり、
眼球はなく、
ボロボロの野良着で
前のめりに座っていました。

それ以来当分その道を避けていましたが、
ある日、
午前中に通ったらその姿は無く、
庭のあった場所に駐車場が出来ていました。

無事に成仏されたことをお祈りします。

(チャーシュー麺。)

こわいね!
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2021-08-27-FRI