怪・その37

「右肩だけが」

私はたまに
金縛りになることがありますが、
一度だけ、
いつもと違う金縛りになったことがあります。

私は自宅の和室に、布団を敷いて寝ていました。

いきなり右肩にもの凄い重みを感じ、
右肩だけが急に動かなくなりました。

これは初めてのことで、
何が何だかわからず、
必死で動こうとしました。

でもどんなに力を入れても
まったく右肩を布団から持ち上げられません。

焦って目だけで周りを見回すと、
白い着物を着た3人の人が
私の頭上を横切ろうとしているのが見えました。

はっきり見えたのは着物の膝から下で、
上の方は黒くて見えませんでした。

3人とも素足でした。
3人目の人は片脚だけが見え、
3人が通り過ぎたら
右肩がふっと動かせるようになりました。

私は怖くて、布団を被って考えました。

3人目の人は
私の右肩を踏んだに違いない。
だから片脚が見えなかった。
もの凄く痛かった‥‥。

もうこっちに戻ってこないでとひたすら祈り、
翌日は、完全に寝不足でした。

よく幽霊に足がないと言われていますが、
私は自分の経験上、足はあると思っています。

（co）