怪・その26

「追いかけてくる父」



当時、私は第2子を妊娠していました。

その頃、父が脳梗塞で亡くなり、
葬儀の日から私は
奇妙な夢を毎晩見るようになりました。

その夢と言うのが、

大きな円上を何人かと
間隔をとって歩いているのですが、
しばらく歩いて行くと
四角い棺が置かれていて
亡くなった父が起き上がって来るのです。

夢は毎回エスカレートしていき、
近づく私を、
父は棺の中に引きづり込もうと
追いかけてくるのです。

そんな夢を
父の四十九日まで見続けました。

法要の日の帰り、
兄夫婦と義姉の親戚のAさんに
車で自宅まで送って貰いました。

車の中で私が夢の話をしていたら、
運転をしていたAさんが、

「お墓参りをすればいいですよ」

と言ってくれたのです。

後日、夫と父のお墓参りに行くと
嘘のように父の怖い夢は見なくなりました。

ただ、助言をしてくれたAさんは
しばらくして病にかかり、
あっと言う間に亡くなりました。

父はAさんをとても信頼していたので、
ひょっとして、
私の代わりにAさんを
連れて行ったのかなとも思いました。

そして、私は父と同じ辰年の、
同じ誕生月の10月に
元気な息子を出産しました。

(かんち)

こわいね!
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2021-08-20-FRI