怪・その24

「貸別荘の女の子」



今から30年近く前、
社会人になって間もない頃の話です。

お盆休みに、学生時代の同級生数人と
伊豆の貸別荘に行く計画をしたのですが、
私は体調を崩してしまい、行けませんでした。

その後、友人たちと集まって食事をした時に、
貸別荘で大騒動が起きたという話を聞きました。

友人たちの中の一人は霊感があり、
彼女は別荘に着いた途端、
嫌な感じがしたのだそうです。

その感じは、
居間から台所に行くと
強くなったと言います。

その夜、みんなでお酒を飲みながら
盛り上がっていたところ、
窓の外から誰かが覗いていることに気付き、
全員パニックになりました。

別荘は高台の崖の縁に立っており、
窓の外に人が立てるはずのない場所だったためです。

しばらくは恐怖で動けず、
「喉渇いた」「何か飲みたい」と言いながらも、
誰も席を立てずにいたため、
霊感の強い友人が
思い切って台所に飲み物を取りに向かったところ、
例の嫌な感じが、
背後でより強くしたのだそうです。

目だけを動かし、
斜め後ろにある、
壁にかかった鏡を見たところ、
ショートカットの女の子の後ろ姿が
映っているのが見えたそうです。

当時、友人は腰まであるロングヘアでした。

鏡と自分の間に、
誰かが立って自分を見ているとわかり、
友人は恐怖で凍りついたそうです。

振り返らず、
横歩きで台所から居間に戻った友人から、
台所に女の子の幽霊がいると
聞かされたみんなは、
その晩は固まって寝たそうです。

翌日、車で東京まで戻ったのですが、
その日は霊感の強い友人だけでなく、
全員が車の影に
女の子が隠れている気配を感じたそうです。

さらに、一人ずつ荷物を降ろしたところ、
霊感の強い友人のバッグだけ、
中が水浸しになっていました。

連れて来てしまったとわかった友人は、
翌週末、一人でもう一度伊豆へ行き、
お祓いを受け、
女の子の成仏を祈って来たそうです。

みんなから私は
「あなたは一番の怖がりだから、
来れなくて良かったね」
と言われました。

聞いていて本当に怖かったので、
今でも忘れられない話です。

(もつ)

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2021-08-18-WED