怪・その16

「ひいおばあちゃん」



私のひいおばあちゃんは心臓が弱く、
私が物心ついた時にはすでに寝たきりでした。

目もほとんど見えていないと聞いていましたが、
曾孫の私にお小遣いをくれる時に
金額を間違うこと無く
お財布からスルりとお金を取り出す、
何だか不思議なおばあちゃんでした。

そんな不思議なひいおばあちゃんのお話です。

私の家は当時、トイレ、お風呂が別棟の、
いわゆる古い家だったのですが、
ある時、トイレに行った時に、
トイレの戸口からひいおばあちゃんの手が
チラリと見えました。

あー、ひいおばあちゃんもトイレかぁと
しばらくその場で待っていましたが、
五分ほど待っていても
出てくる気配が無かったため
「ばあちゃんまだ?」
と声を掛けましたが反応無し。

おやっと思い戸を細く開けて中を見ると、
誰も居ない。
見間違いかぁと思い、
私はトイレを済ませ母屋に戻りました。

そしてひいおばあちゃんの部屋の前まで来てやっと、

「ひいおばあちゃん、
寝たきりだから部屋から出ないじゃん!
やっぱり見間違いだよね。」

ということがありました。

これだけなら、見間違いで済んだのですが
その後も何度か、
自室で寝ているはずのひいおばあちゃんの姿を
家の中で見てしまうことが‥‥。

1番ビックリしたのは、
ひいおばあちゃんの部屋から、
ひいおばあちゃんの首だけが転がって来たこと。

この時ばかりは、
ひいおばあちゃんの部屋へ飛び込んで
首がもげていないか確認しました。

こんな体験をしたのは、全て小学校に上がる前。
体が弱く、保育園にほとんど行けなかった頃の話です。

多分、家で手持ち無沙汰な曾孫を
ひいおばあちゃんなりにからかったのかな?
と思ったりしています。

なぜなら、これはすべて
ひいおばあちゃんが生きていた時に起こった事。

私が小学校5年生の年に93歳で亡くなりましたが、
亡くなってからはまったく
その様な事は起こりませんでした。

今思えば、直接ひいおばあちゃんに
このことについて尋ねなかったのを後悔しています。

でも、答えによっては、怖いですよね??

(もふ猫)

こわいね!
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2021-08-13-FRI