怪・その39
「BYE--BYE」
15年ほど前のことです。
夫の叔父が入院をしていて、
病状がだんだん悪くなり、
もうあまり長くないといわれたので
夫婦で夜間の面会時間に
お見舞いに行きました。
意識はもうなかったのですが、
お見舞いをして、
その日は帰宅しました。
夫より先に家に入り、
居間に入った瞬間に、
何も触っていない
DVDレコーダーが急に起動して、
そして、すぐにダウンしたんです。
そのレコーダーは、
電源がオフになるときに、
BYE--BYE
と字が浮かぶのです。
なにか録画でもしていたかしら?
と気になって記録を見ましたが、
その時間帯には
全く録画の予約もしていませんでした。
だいたい、
録画のために起動したのであれば、
すぐにダウンするのもおかしい。
その時に、
「あ、おじさんだ、
あいさつにきてくれたんだ」
と気づきました。
そして、ものすごく、残念な気がしたんです。
どうせなら、私じゃなくて、夫に見せてあげたかった。
かわいがってもらった叔父さんだったのだから、と。
数日後、
叔父さんはお亡くなりになりました。
後日その話を友人にしたのですが、
友人が
「甥っ子が来るのは当然で、
お嫁さんが一緒に来てくれたから、
『ありがとう』って思われたんじゃない?」
と言われて、ああ、なるほど、思いました。
(J)