怪・その29

「ただ、涙が。」

2015年の「ほぼ日の怪談」に、
広島で、原爆の慰霊の千羽鶴に反応して涙が‥‥、
という話がありましたが、
私も違う場所で
そっくりの体験をしたのを思い出しました。

念願の長崎観光、
素敵な建築物を眺めたくて、
お目当ては古い教会群でした。

私はわくわくと楽しい気持ちで
2人旅を満喫していたのに、
とある施設に入って、
資料展示に近付いた途端、
涙があふれてきてしまいました。

ある外国人神父さまについて、
信仰と布教に尽くされ、
悲しい最期であった、という苦難の一生が、
そこの展示パネルには記されていたとおもいます。

それを読む前から、涙がどんどん‥‥。

私はクリスチャンではありませんし、
もちろん、その神父さまには
何の思い入れもありません。

なので、自分でも動揺してその場を離れ、
慌てて涙をぬぐいました。

するとぴたりと涙がとまりました。

何食わぬ顔をして、同行者のもとへ戻り、
先ほどの外国人神父さまの古い写真や
資料展示の所へ近づくと、

また涙が‥‥。

それを何回か繰り返して、驚きつつも、
その場では何がどうなっているのか、
説明出来ず。

ただただ、静かに泣いているようにしか
見えなかったと思います。

私自身の意に反して、
「ご苦労なさったのね」
と貰い泣きするかのような、
まるで信仰心厚い人間のような
反応が起こってしまい、とても不思議でした。
私、浄土真宗なんだけどな。

(R)

こわいね!
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