怪・その28

「家に帰りたい」

ある日、会社帰りに母より電話がありました。

今日の夕方、
デイサービスに通っている父が家に戻る頃に
家に帰らなかったか、と。

私は、残業で遅くまで会社で仕事をしていたので、
帰る訳がありませんし、
母も仕事で帰りは夜の7時位。
不思議なことを訊くなぁと思って電話を切りました。

家に帰って事情を聞くと、
父がデイサービスの施設から
家まで職員さんに送ってもらい、
家の鍵を開けると、

玄関に女の人が立っていたと言う事でした。

誰もいないと思っていた家に人がいるので、
父や職員さんがみんな驚いて、
見ていると、
その人はすぅっと消えてしまったそうです。

その頃、施設で暮らしていた
私の祖母が亡くなっており、
四十九日をもう少しで迎える頃でした。

施設に入る前は、
一緒にこの家に暮らしておりましたので、
祖母が大事に祀っていた仏壇が家にありました。

祖母が亡くなったので、
仏壇は叔父のところに引きとられたのですが、
不思議な女性が現れたのは、その翌日の事でした。

ずっと、家に帰りたい、と言っていた祖母。

叔父も、お仏壇を運ぶのは、
四十九日まで待ってくれてても良かったのにね、
と母とそんな話をしていました。

(s)

こわいね!
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