怪・その25

「廊下で浮いている」

もう30年以上前、
私が小学生の時に体験した話しです。

夏休みに学校のグラウンドで
テントを張って一泊するという、
校内キャンプがありました。

ゲームや花火をやり、
夜も更けていましたが、
寝ている子はあまりいませんでした。

私は友達と、いま何時なのか気になり、
2人で、体育館の壁にかかっている時計を
見にいきました。

体育館はみんなのいるテントから、
百メートルは離れた場所だったと思います。
暗い中を歩いて、
やっと時間が確認できるところまで来ると、
時計はきっかり2時を指していました。

その時、テントに近い方の廊下とトイレが、
真っ暗になっている事に気づきました。

「あれ?
先生、ずっと電気つけておくって言ってたよね?」

と、友達と話をした時。

体育館と校舎をつなぐ渡り廊下の真ん中辺りに、
何かぼわっと、光るものが見えました。

よく見ると、
それは白い着物を着た
若い女性でした。

首がカクンと横に倒れた女の人が、
こちらの方を見て、
天井近くで
浮いているような感じでした。

私達は悲鳴をあげて、
一目散にテントまで走って戻りました。

私達のただならぬ様子に驚いたクラスメートが
「どうしたの?!」と聞いてきたので
私は「あれ!あれ!!」と
女の人が見えた方を指差しました。

渡り廊下は、もう真っ暗でした。

そして不思議なことに、
ついさっき真っ暗に見えたはずの
テント側の廊下とトイレには、
ちゃんと明かりがついていました。

友達は泣いていましたが、
私は驚きのあまり
泣く事もできませんでした。

(ふくろう)

こわいね!
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2020-08-20-THU