怪・その3
「木の扉の目」
私の実家は昔、
古いお店をやっていて、
入口に門から石畳が伸びて
最奥にお店がある、という構造でした。
石畳の横には木の塀が、
自宅を覆うように立っていて、
その塀に隠し扉があり、
そこを開けると
自宅の玄関に繋がっていました。
ある日、
自宅を出ようと玄関を開けると、
木の扉の隙間に目が覗いていて
反射的に大声で叫んでしまいました。
すると母が外から木の扉を開いて
「どうしたの?!」と慌てて入って来ました。
「なんだ母だったのか」と
2人で勘違いに笑って
その場は終わったのですが、
その日の夜、ふと
その時の事を思い出した時に、気づきました。
木の扉から覗いた目は2つ。
縦にならんで、こちらを見ていました。
(T)