怪・その42
「鳴り響く部屋」


10年ほど前、まだ中学に通っていた頃の話です。

私の部屋にはエアコンがなく、
むしむしとする部屋の中、
扇風機だけで頑張って熱帯夜を乗り切る毎日でした。

もちろん窓は全開です。

ある夜、いつものように
窓を開け扇風機で涼をとりながら眠っていると

突然、


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


甲子園で流れるサイレンのような音が
大音量で部屋中に響き渡りました。


女の人が、絶叫している声にも、聞こえました。

あまりのうるささと怖ろしさに、
耳をふさごうと思ったのですが、
緊張で手が動きません。

マンションだったので、
住民に火災を知らせるサイレンかとも思いました。

それにしては、誰も起きてこないのです。

「もしかして、私の部屋でしか聞こえてない?」

そう考えると冷や汗が止まりませんでした。

大音量で響き続ける音‥‥。


朝、家族に聞きましたが、
やはり誰一人そんなサイレン音は
聞こえなかったと言っていました。

鳴り止んだあと、
耳がジンジンと痛むほどにうるさかったのに。

いったいあの音は何だったのでしょう‥‥。

(おこめさん)
この話、こわかった! ほかのひとにも読ませたい。
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2011-08-31-WED