怪・その29
「実家の大きな仏壇」


私の実家は築150年の木造家屋です。

玄関を入ってすぐ仏間があり、
その奥の土間だったところを台所に改装してあります。

父がずっと住んでいましたが、病気をしてからは、
庭を挟んで隣の仕事場にベッドを入れて住んでおり、
家族が訪ねた時だけ、古い家は使われています。

家の仏壇は高さ2メートルの大きなもので、
父の父母と祖父母の遺影が掲げられています。

息子が2才のゴールデンウィークに
2人で父を見舞いました。

もちろん夜は2人で古い家のほうにいたのですが、
台所でお皿を洗っていた時です。

息子が

「ねえ、だれかいるよ。」

と言うのです。

最初は、
言葉を覚えたての息子の言うことだからと、
「そう?」と返事をして
気にも止めなかったのですが、
また、

「ねえねえだれかいるよ。」

振り返ると、
台所から仏壇の裏へ続く
廊下の入り口を凝視しています。

もう、どんな人?
なんて聞く余裕はなくなり、
皿洗いもそこそこに布団を被って眠りました。

次の日、自分たちの家に帰る時間が近づき、
仏壇にお線香をあげ
「お父さんをお守りください」と
ご先祖様にお願いをしました。

ふだんは無言で手を合わせるのですが、
息子に聞かせる意味もあり、
声に出しました。

すると、

息子が

私の顔を覗きこんで、

「うるさいって。」と。

(花ぱっか)
この話、こわかった! ほかのひとにも読ませたい。
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2011-08-22-MON