怪・その28
「吸い込まれていく」


中学生の頃の夏の放課後、
体育の先生からボールを借りて
校庭で遊んでいた時のことです。

何人かでバレーボールをしていると、
先生が
「そろそろボールを返して、家に帰りなさい。」
と言ってきました。

それじゃそろそろ、と
全員で校舎のほうへ近づいていった時、

3階の窓から

学生服を着た男の子が飛び降りました。

びっくりした私たちと先生は慌てて駆け寄り、

「大丈夫?」と叫んだ瞬間、

その男の子は

水が

土に吸収されていくように

スーッと消えてしまいました。

しばらく呆然と全員で
男の子がいた場所を見つめていましたが、

友達のひとりが悲鳴をあげたとたん、

いっせいにかばんを持って、校庭から飛び出しました。

校庭を出たところで

一瞬振り返りましたが、

先生はそのままその場所に佇んでいました。

次の日、いつもどおりに登校しましたが、
誰もその時の事を話題にする人はいませんでした。

(珈琲)
この話、こわかった! ほかのひとにも読ませたい。
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2011-08-22-MON