怪・その22
「タンスに潜り込む人」


今から12年ほど前のことなのですが、
住んでいた実家の団地はそのときすでに
築40年以上経ってました。

その時、隣に住んでた人たちは
毎日ではないけれど、
夜中にお経を読む習慣がありました。

その日も寝つきそうになった時に
ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ‥‥、
と聞こえてきました。

隣のおじさんがまた
お経を読み始めたんだなあって思ったのです

ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ‥‥、

いい加減うるさいなあ。て思ったら

部屋のタンスが
空いたりしまったりする音がし始めたんです。

ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ‥‥、

そのお経だと思ってた音は
隣の家からじゃなくて
自分の部屋から聞こえてくることに
気づいたのです。

母親が私のタンスをいじってるのかな?
と思い目を開けなかったのですが

タンスの開閉音もその声も
どんどん大きくなってきたので

「もう、うるさーーーーーーい!」

と、頭の中で思ったのです。

そしたら耳元で

大きな声で

「うるさいのか!!」

て知らないおじさんの声がして

目が開けたら

タンスの横の机の上においてあった
飲みかけのイチゴ牛乳のブリックのパックが

ぐしゃっと潰れて中身が吹き出たのです。

にぎりつぶされたような後のブリックのパックが
机の上に倒れ、

タンスのほうに気配を感じて見てみたら

小人のようなおじさんが
タンスの中にもぐっていくのが見えました。


本当に怖くて怖くて
今思い出してもゾクっとします。

耳元での大声は
あの小さいおじさんが出した声とは
思えなかったのですが、
すごく不思議な体験でした。

(H)
この話、こわかった! ほかのひとにも読ませたい。
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2011-08-17-WED