怪・その6
「黒い服で穏やかに」


まだ幼かった頃のある日、
私がお昼寝をしてた時、
金縛りにあいました。

怖くて、怖くて、
思わず目を開けてしまったのです。

すると、部屋の隅っこに
黒い服を着た妊婦さんらしき人がいて、
私の事をじっと見つめ、微笑んだのです。

妊婦さんの穏やかな顔に、
不思議と恐怖はなくなり、
金縛りもとけ、目が覚めました。

初めて、あんなにはっきりと霊らしき人を見たので、
すぐに、その事をお姉ちゃんに話したのです。

そうしたら、
姉はびっくりした顔で私に言いました。

その妊婦さん、昨日の夜、
私の部屋でも見た。

姉も金縛りにあい、ふと目を開けると、
黒い服を着た妊婦さんの後ろ姿をみたそうです。

妊婦さんは、姉の部屋の隅っこで、
一生懸命何かを探してるようだったのです。

私の姉と私の部屋は隣同士。

妊婦さんは
自分の子供を捜してたのでしょうか?

まだ幼かった私を見て、
自分の子供と重ねていたのでしょうか?

(f)
この話、こわかった! ほかのひとにも読ませたい。
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2011-08-03-WED