おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1066
自分を可哀想に思わないためのレッスン 2
―それとこれとは別

言い方ひとつでも、いくぶん、
自分を可哀想に思う気持ちは減る。

例えば、

“誤解された” と言うか、

自分のいたらなさから
“誤解を招いた” と言うか、

あるいは、あえて客観的・俯瞰的に見るために、
“誤解が生じた” と言うか。

ツラい出来事があった時、
必要以上に被害感情を増やすことは、
自分の心の負担になるから、

私の経験から負担を減らす考え方をお伝えしたい。

昨年、私は、ツラい出来事があった。

ちょうどそのツラい時期が、
父が旅立つ時期と重なっていたので、
私は、つい、こう思いそうになった。

“家族がこんなに大変な時に、ヒドい”

しかし間髪入れず、
自分が自分にツッコミを入れた。

「それとこれとは別!」

「そうやって、
不幸と不幸をリンクさせて考えるのよくないよ。

みじめさが募って、自分が苦しくなるだけだよ。

先方は、お父さんのことを知らない。
たまたま時期が重なっただけ。
だから、それとこれとは分けて考えようよ、私。」

すると、すーっ、と、自己憐憫が止まった。

不幸と不幸が重なった時、人は、つい、
2つをリンクさせて考えがちだ。

例えば、
(例は例として作ったもので実際にあった事ではない)

「春から収入がガクンと落ちる部署に、
異動を命じられた。」

「春から子どもの大学進学で出費が激増する。」

と、悩ましいことが2つ重なった時、
つい、こんな考えをしてしまいがちだ。

「うちの家計は、
今がいちばん大変な時なのよ。

そんな時に、よりにもよって、部長はヒドい。

部長のせいで、うちの娘は、
ボロアパートしか借りられなくなったのよ。

他のお友達は、大学近くの
きれいなマンションに住めるのに。
私はいいんだけど、娘が不憫で‥‥」

いろいろツラい気持ちはわかる。

でも、部長は、というか、会社は、
そうした家庭の内情を知らないのでは?

百歩ゆずって、故意だとしても、
それは「部長と本人」の関係の問題であって、
決して部長からお子さんへの悪意ではない。

それとこれとは別。

「異動について自分の納得ラインはどこか?」

と、「それはそれ」で、会社に異動理由を聞くなど、
子どもの進学問題とは分けて考えていく。

一方、「これはこれ」で、

「仕送りが減っても、子どもの
より良い学生生活をどう支援していくか?」

情報を集め、創意と工夫をこらして考えたい。

私は、学生寮に住むという学生を知っている。
昭和生まれの私のイメージとは違い、
今どきの寮は快適だ。

さらに、留学生のお世話をすることで、
多少の御給金が出て、そのぶん
寮費から引いてもらえるそうだ。

もともと家賃が優しい上に、
御給金も出て、留学生との交流もでき、
海外の言葉や文化も学べる。
そんなふうに、

「不幸と不幸を安易にリンクさせない」

「それとこれとは分けて考えていく」

すると、予想外のいい展開もあるかもしれない。

誤解のないように言っておくが、

私は、被害感情が悪いと言っているわけではない。
世の中には、
本人何も悪くなく一方的に被害にあう場合、
被害感情を持っても自然という場合も多い。

また、「被害感情を減らす」というようなことは、
人につきつけては、
苦しんでいる人を追い詰めてしまいかねない。
家族とか親友とかよほど信頼関係がある人でも、
伝えるのが難しいことだと私は思う。

だから、このレッスンも、
前々回の「自分を可哀想に思わないためのレッスン」
も、
あくまで「自分が」、
自分を可哀想に思うのは嫌だな、
被害感情を軽減したいな、
と思った時に、たたき台としてほしい。

それでもどうにも、
自分を憐れんでしまいそうな時、
私は、こんなイメージをした。

「そんな悩みだったら代わってくれよ。」

と、「誰か」が私に言っているイメージだ。

私の悩みを見て、
“小さい・軽い・自分よりよっぽどましだ”
と思う誰かが、私に向かって、
“その程度で落ち込むんなら、
入れ替わってくれよ”
と言っているのをイメージする。

例えば、ある日は、その誰かが、死んだ人で、

「そんなことで悩むんだったら、
代わってくれよ。
もう一度生きられるんだったら何でもやるよ」

と私に言ってるのをイメージする。
すると、

「いまの自分には命がある」
ということに実感を持って気づける。

そこから、

自分には命がある。
だからこうして陽をあびることもできる。
行きたいところにも行ける。
食べたいものも食べられる。
生きてるだけで素晴らしい。

と、「いまの自分に与えられているもの」が、
どんどん見えてくる。

この方法は、正直、
善いことなのか悪いことなのか自分でもわからない。
でも私は、この方法で、
自分を可哀想という気持ちはピタリと止まる。

昨年は、人の優しさに支えられた年でもあった。

うまく人に逢えない年もあるのに、
昨年は、偶然の流れがあり、
自ら働きかけずして、たくさんの人々に逢った。

とくに友だちの心の美しさに癒された、

「その苦しみあって、この出逢いあり。」

「不幸」と「のりこえて得たもの」は、
おおいにリンクさせて考えたい。

“不幸があったからこそ、幸せに気づけた”
“追い詰められたからこそ、智恵が生まれた”
“壁にぶつかったからこそ、新しい習慣が生まれた”

それがこの先、困難に臨む底力になる

と私は思う。

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「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

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「この先を行く特別な講座をひらきたい。
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●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

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他ならぬ私をわかってほしい。

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かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
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注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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