おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1008
「私の質問にちゃんと答えて」 と
つめよるまえに
2.沈黙の正体

「刺さった!」

「痛テテテテ!」

「刺さり過ぎて息がとまった!」

あちこちから悲鳴があがった前回の
“「私の質問にちゃんと答えて」 とつめよるまえに”
あまりに大きな反響に私も驚いている。

「私の質問に答えてない。ちゃんと答えて!」

そう言われた瞬間、私は、
心臓あたりをグッとつかまれたように
強い圧を感じ、身がすくんだ。

そして、オドオドと自分から、
相手の機嫌をとるような態度に出て、
屈辱感にさいなまれながら、
どうにかその場をやり過ごした。

そのあと、私は黙ってしまった。

そのあとも会は続いた。
黙っている私を、
まわりの人々は、
心配したのか、不快に思ったのか、
たびたび私に話すようしむけた。

そのたび私は、
必死で平気なふりをして、
重い口をふりしぼって、
最低限の返答をした。

「さとられてはイケない。」

私がショックを受けてるとさとられたら、
みんなは、
“この程度のことで?!”
“気にし過ぎ〜!”
と私を責めるだろう。

そうなったら、相手は、
「山田さん、仕事は厳しいものなの、
この程度のことで‥‥」
と噛みついてきそうで恐かった。

うわべは平気を装ったけど、
中身は貝のだんまりで、早く終われと願っていた。

「あの沈黙の正体は何だったのか?」

あれから、ずっと謎だったが、
読者の反響から徐々に答えが見えてきた。

まず、読者のおたより2通を見てみよう!

 
………………………………

<息子はさぞ苦しかったろう>

自分は今まさに、
する側される側の両方。
それぞれの側で刺さりました。

する側の私は、
思春期・反抗期真っ只中の「息子」に対して。

される側の私は、「上司」から。

「される側」の私は、

上司からの詰問に何度も答えを正され、
それが自分の意見として置き換えられていく
苦しさ、悔しさを、
分かっているのに、反論できない。

「する側」の私は、

息子の為だと信じて、
息子から答えない・考え中の選択肢を排除した上、
的外れな答えが返ってくると苛立ち、
急かしていました。

息子はさぞ苦しかったと思います。

両方の立場に置かれて気づいた事が一つ、
詰問する側には時間と心に余裕が無いという事。

時間はともかく、
心の中だけでも余裕を持てば、
詰問が質問に変わり、
相手の意見を聞きたいという
最初の問いに戻れるんだろうなと思います。
心に余裕、意識していきます。

(わに)

………………………………

<母の正義に、自尊心を削られ>

6月16日の「おとなの小論文教室。」を読んで、
なんとなんと、「詰問」についての内容。
ずっと長い間、私が母に対して抱いていた内容。

もちろん世界は広く、
私と同じような経験をされた方は
たくさんおられると思うのですが

ここまではっきりと
文章化されたものを見たのは初めてで

「詰問を恐ろしく感じるのは、私だけじゃなかったんだ」と
ホッとしてしまいました。

私の母は、言い合いになると必ずというほど
「私の質問に答えてない。ちゃんと答えて!」
といった内容の言葉を発します。

そこには母の確固たる信念があり、
正義があり、
娘である私を正さなければ、
といった使命感も感じます。

…が、言われた私は萎縮するばかりで。
自分なりに答えても、母の求める答えに達するまで
なんどもなんども同じ質問の繰り返し。

ズーニーさんが書かれていたように

「相手の機嫌をとるように丁寧に答えを紡いだ。
屈辱感がわぁっと湧きあがって、みじめだった。」

といった言葉がぴったりで、
そういったやり取りが増える度

自尊心が削られていくような気がしました。

数年前に結婚し、夫の影響もあって、
削られ続けてきた自尊心は回復しつつあるものの
母に対しての恐れは未だ残っているように思います。

何故なのか、自分では文章化出来なくて
ずっとモヤモヤしていました。
今回の「おとなの小論文教室。」のおかげで

あ、私は、
「思考を牛耳られること」が、
「答えを強要されること」が、
こんなに嫌で苦しいのだな、と感じることができました。

心の中で、一歩踏み出したような気持ちです。
ありがとうございます。

(M)

………………………………

ズーニーです。

実は前回のコラムで、
つかいたくて、つかえなかった言葉がある。

「支配」と、「暴力」だ。

支配されたという感覚が、
私にはずっとあり、
タイトルは、
“私の質問にちゃんと答えてという暴力”
にしようと思った。

しかし、“大げさだと笑われるのでは”、
“自分は相手を悪者にしたいのか”、
と考えなおし、
“牛耳る”などのおさえた言い方にした。

だが更新直後から、
Twitterはたちまち4桁の“いいね”。
3桁にのぼる深い感想をいただいた。

「自分も親に同じことをされました」、
「まさにいま夫にされてます」と、
実体験から出たリアルな読者の方々の声に、
はっきりと、

「支配」、「暴力」

という言葉が出て来て、
私のほうが驚いた。

「いっぱつ殴られた気がした。」

というような声もあった。
それらの反響を読み込んでいくうちに、
私は、すとーん! と腑に落ちた。

なぜ私は身がすくんだのか?
なぜ自分から相手の機嫌をとるようなまねを?
なぜあのあと押し黙ったのか?

そうか!

「あれは、
一発ビンタをくらったのと同じだったんだ!」

たとえば友達どうしでしゃべっていたとき、
急にビンタをくらったら、大抵の人は、

一瞬、固まるよね。

ふいうちをくらって「驚き」、
自分に何が起こったのかわからず、
状況をうけとめられない「とまどい」。

そして、「痛み」。
ツーンとつきあげて、
じんじん、じわじわ広がっていく苦痛。

さらに、「恐怖」。
何が起こったのか、
これからどうなるのか、
相手への、暴力への、恐怖。

そして、「怒り」。
それが湧きあがる手前で、
ショックアブソーバーが働くというか、
「なんでもないふりしようとする自分」がいるというか。

つまり、たった一瞬に、
自分のキャパオーバーのいろんな感情が
あふれて、「フリーズ」してしまう。

一発ビンタだと考えれば、
自ら相手のご機嫌とりに出たのも納得だ。
痛いし恐いし、とりあえず言いなりになろう、
2発目を食らうのだけはごめんだ、と思う。

あのあと、黙ってしまったのも、
一発ビンタを食らったあとなら、納得だ。
すぐさま、なにもなかったように、
相手やまわりと談笑できる人の方が少ないだろう。

沈黙の正体は、
思考の自由という尊厳をくじかれた痛みだ。

だけどこれは、目に見えない暴力。

相手は手をあげたわけでもないし、
恫喝したわけでもない。
だから、相手も、まわりの人たちも気づけない。

「あのとき、私はどうすればよかったんだろうか?」

ビンタであれば、
かわす術(すべ)や、受け身のとり方、
なにかできる気がしてきた。

「支配の破り方」

という声を、Twitterでいただいた。

相手が、「問い」を、
考える「道筋」を、「答え方」まで、
牛耳ってきたとき、
そこから自由になる方法。

心当たりがある人は、ぜひ教えてほしい。

この問題引き続き考えていきたい、と私は思う。

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TEL:0120-33-1791  Mail:nyushi@kinjo-u.ac.jp

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キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
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自分を貫くテーマを発見したり、
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●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
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連絡先をおたずねください。


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それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

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かけがえなく必要とされたい。

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「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
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「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

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書くことによって、人は考える。
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自分を知り、自分を表現することができる。

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山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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