ほぼ日刊イトイ新聞語録。
各界を代表する名言や、元気をもらっちゃう言葉など、
「ほぼ日」に掲載された、オススメの肉声を紹介します。
(特に、新年度に疲れてる人に効く話を、選んでみました)
言葉の選択は、下記連載担当者の
「ほぼ日」木村俊介です。
 
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「枠なんてなくていいんじゃないの?
 枠を取り払った中だともっと自由になれる」
という考え方は、確かにあるんですけど……
ぼくはそれをちょっと疑問に思うんです。
すべての枠を取り払うというと、やっぱり、
そのうち、やることがなくなるんですよね。
どこかでパターン化して、
どこかで同じような配列が出てきてしまう。
ジャズピアニストの山下洋輔さんは
「だからぼくは、自分にとっての演奏の手がかりは、
 自分の中に、作っていくわけです。
 そういう自由のほうが、闇雲な自由よりも、
 ずっとかっこいい、と思っているんです。
 ほんとに好き勝手やっているだけだと、
 ぼくからすれば、それはつまらないの」
といった。
ブランドを考える上で、いちばん大事なのは
「お客さんの期待値を超えて
 はじめてブランドだ」
ということです。
日本マクドナルド社長の原田永幸さんは
「いいブランドとは、
 有名とか高級とかいうことではないし、
 グレートデザインということだけでもないと思います。
 精神的な無形の価値をどれだけ創っていくかが
 ブランドなのだと思うんです」
といった。
理想の新人は、余計な色がついていない人。
料理人の斉須政雄さんは
「調理場で働く人たちと同じものを宿さなければ、
 異物になってしまいますから、新人は、
 今の自分の持っているもので減るものと捨てるものとを、
 選択しなければいけません。
 捨てられないものをひきずりながら
 あたらしいものを手に入れようという
 ムシのいい若者もいますが、
 『それでうまくいくことは、ないよ』
 『欲しかったら、ぜんぶ捨てなさい』
 と思うのです」
と話してくれた。
言葉は自分のものではなく、みんなのもの。
「話す」と「離す」は、同じことなんです。
社会学者の橋爪大三郎さんは言葉について
「言葉は習ったり使ったりするもので、
 もともと勝手に作るものではありません。
 相手にわかってもらえない言葉は、言葉ではないんです。
 相手にわかってもらったら、
 言葉は『私』の手を離れてしまうんです」
と述べた。
ムダな能力を持っている子は、
仕事にどっぷり浸かれない。
苦しくなったら他を見ます。
能力のない子は苦しくても
ひとつの仕事しか見られない。
それが、たのしいことなんだ。
宮大工の小川三夫さんは
「修業するのに苦しいとか思う人がいますけど、
 それは、その雰囲気の中に入りこんでいないから
 苦しいんです。
 入りこんでしまえば、なんでもない」
といっていた。
考えには限界があって、
その考えの範囲を知ったあとには、
おもしろくなくなっちゃうんだけど、
偶然はそうではない。
自分の意図を超えてできたものは、
自分でさえもたのしい。
写真家の十文字美信さんは
「生まれたものには、ぜんぶ価値がある……
 今って、特にそういうことを
 感じなきゃいけないと思ってる。
 今、自分でいちばん大事にしているというか、
 価値があるものだなぁと思っているのは、
 偶然なんですよね」
といっていた。
いえないこともいおうとしないかぎり、
言葉としての力を持たないように、
わからないことも含めて
わかろうとしないと、
わかることにはならないと思うんです。
作家の保坂和志さんは
「年長者の評価にしても、おばあちゃんの智慧に頼るとか、
 そういうことも『役に立つ』という価値で
 決めてしまっていますよね。
 だけど、ほんとは、なんか若い人が
 説明をできないところで大事なんです。
 八〇歳生きたおじいさんのよさを、
 若い人がわかるはずがないというか。
 結局、役に立つものが大事というのは、
 理解できるものが大事という考えなんです」
といっていた。
ありがとうという言葉って、
いわれた人よりも、
いう人のほうがうれしいんです。
レストラン経営者の岡田賢一郎さんは、
尊敬する人に会えた時のことを
「ありがとうと伝えることが、
 こんなにうれしいものなのか、と、
 自分でもびっくりしました。
 感謝を伝える言葉が、世界中にある秘密が、
 ちょっと、わかったような気がしました」
と話してくれた。
オレはオレで行くという感じが、
たぶん、おとなになるということだと
思うんです。
作家の重松清さんは
「若い時のは、人のせいにしたり時代のせいにしたり
 社会のせいにしたりできるし、
 若い頃のツッパリって、いろんなものを封印しながら
 とにかく前に進んでいくことだとも思うけど、
 それじゃいかない時期が出てくる。
 守らなければいけないことが出てきて、
 けっこう攻めていけない……
 おとなになってからの思い通りにいかないことって、
 言いわけがきかないでしょう?
 オレはオレで自分のハッピーを行く、というしかない」
といっていた。
監督と選手は、同じ釜のメシを食う仲間ですから、
できるだけ、近い存在になっていないといけない。
そうしないと、選手は、肝心なときに、動かない。
藤田元司・元巨人軍監督は、監督時代、
選手にはできるだけ近づき、
チームメイトのよさを憶えておいて、
大事なときにそれを出していくということを
重視したのだという。
チームでいちばん
つまらない思いをしている連中が、
どんな意識で競技に打ちこんでいるのかが、
その組織の価値です。
大学駅伝監督の大後英治さんは
「ぼくは選手になぜこの大学を選んだかを問うんです。
 二四時間のうち三分の二は競技のことが中心。
 膨大な時間と、仕送りも含めて、
 費やすお金を無駄にするならもうやめろと。
 ぜったいにレギュラーになれないとわかってる選手も
 一所懸命にやるんです。ここにいるだけで価値があると。
 ぼくはそういう選手に神経を遣います」
といっていた。
一年中、一日、十九時間ぐらい働いてる。
もう、働いている時間とは
思っていないんです。
達成感が、ものすごいエネルギーを
くれるのね。
医師の日野原重明さんは、毎日徹夜で原稿を書けたときの
「あぁ、よかったねぇ」という瞬間が
もっともうれしいのだという。
人づきあいのわずらわしさも、抱えこむ。
これは、あとでものをいってくるんです。
「子どもを車で送っている
 オレのほうが絶対にかっこいい」と思う。
矢沢永吉さんは
「子どもさえいなければどこでも暮らせるけど、
 子どもがいると海外ではなおさら
 学校の設備が整ったエリアに住まなければならない。
 当然、何のためにアメリカに渡ったんだという現実も
 人づきあいのわずらわしさから何から
 抱えこまなきゃいけないわけ。
 でも、抱えこまない自分がいたら、
 ぼくの人生は、後悔するものになったと思います」
といっていた。
利益を生むには、
違いを生まなければならない。
経済学者の岩井克人さんは
「違いを生みだす能力や知識を持っている人間が
 いちばん価値を持つ存在だ」
といっていた。
先に、高い敷居をまたげ。
ハードルの高いところで思いきりがんばると、
知らないうちに自力ができてくる。
作家の山本一力さんは、小説の修業時代について、
こう語ってくれた。
言葉、法律、貨幣など、
人と人との間をつなぐ「媒介」がなければ、
人間は、人間として、存在できないのです。
人のアイデンティティに関わるものが
物理的なものではなく、
人と人の「あいだ」にしかないものに気づき、
経済学者の岩井克人さんは、
学者として大きな転機を迎えたという。
したくない仕事しか来ないんです。
でも、運は、そこにしかない。
萩本欽一さんは独立した時、所属事務所に
「司会の仕事はぜんぶことわってください」といったが、
司会の仕事しか来なかったそうだ。
自分がやりたいことよりも、人が、
あいつにこういうことをやらせたいというものに
「運がある」と感じたのだという。
「あらゆる人生は不本意なものだし、
 そのへんにいる人全員が
 『不本意ななかにいるという、
 いちばん、おもしろい人生』を
 歩もうとしているんだからね」
誰も信用できなければ、
どうして集団のなかで暮らすことができますか。
信用できなければまわりは敵とおなじですよね。
小野田寛郎さんは、おたがいの信頼があってはじめて
ひとつの集団が団結できると力説した。
おたがいに引き受けたことを精一杯やることで、
自分の意識している以上の力が出るのだともいっていた。
自分をどう見てもらいたいかを
意識しすぎていて、
公平かどうかを、考えていないでしょう?
そんなに、自分を、いい子に見せたいの?
アナウンサーの八木亜希子さんが
明石家さんまさんに言われた言葉。
八木さんはこの言葉を
「お客さんが見ていておもしろいかどうかを
 考えなきゃいけないんだ、と、
 改めて、考えるきっかけになった」
とふりかえった。
余韻の残る番組は、とにかく
「突然」起こることものです。
こうしておけば番組はできる、
ということだけをしてると、
予想外のことを見逃してしまうんです。
テレビプロデューサーの有吉伸人さんは、
いい番組についてこう語ってくれた。
「整然と作られている番組より、
 ゴツゴツしたひっかかりが、大事だと思うんです。
 放送は本と違って読みかえせないですよね。
 一回流れてしまえば終わりで、
 映画みたいにくりかえしがない。
 でも一生懸命作るし、見てくれた人の中に
 何かが残ってほしいですから」
何を表現するかなんて、
そんなこと考えていないわけです。
絵の場合、思想を表現するなんていう
バカなことはしない。
そういう意味では、ラクですね。
横尾忠則さんは、芸術の評価について
「中にはそんな人がいたりプロパガンダとして
 考えてる人もいるんだけれども……
 何かいうことによって、自分を主張したり、
 その道の人は、お金をもらっているわけなんだよね」
といっていた。
一度読んだ本は、読んだことにならない。
二度読んで、はじめて読んだことになる。
経済学者の岩井克人さんが実感していること。
「一度目に読むときには、自分の持っている先入観か、
 世間でいわれているその本に対する評価を
 読みとってしまうんです。
 二度読む価値がある本は非常に少ないですから、
 長年の経験や、いい先輩のアドバイスが重要になります。
 もう一度読んでくださいね、というのは
 私にとって学生への唯一のアドバイスなんです」
言葉は大きな力を持っていますが、
言葉では表現できないものに
大事なことがあったりします。
本にも、書かれていないけど
大切なことがありますから、
底辺に流れているものを
感じてもらえるように翻訳します。
翻訳家の池田真紀子さんは
「文字で伝えている部分はごく一部。
 そのぶん訳者は責任重大です。
 訳が正確でないために少しでも誤った方角に
 読者を導いてしまったら、
 一冊の間にその方角のずれがどんどん大きくなって、
 最後にはとんでもない場所に到着させてしまう。
 言葉の裏にあるものを読者がつかむための
 手がかりみたいなものを
 一生懸命に書いているのが作者です。
 間違った訳をすれば、読者に間違った手がかりを
 与えることになります」
といっていた。
ものをわかるというのは
「わかる、と、わからない、の境界に達する」
ということ。
そこまで行くと「わかるとは何なのか」が
わかるわけです。

宇宙物理学者の松井孝典さんは
「何のプロでもいいけれど、
 やっていることの境界を知っているのが
 プロフェッショナルということだ、と思います」
といっていた。
人に迷惑をかけてでも、
好きなことをしなさい。
「ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「父から、わたしが高校生なりに真剣に悩んでいたとき、
 言われました。十年経った今でも忘れられません。
 人に迷惑かけてでもやりたいこと見つけられれば、
 幸せですよね」
どんなにたいへんに思える仕事でも、
かならずいつか終わる。
「ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「ただの経験談を、前に後輩にいったら、ある日、
 『あの言葉を思い出すと、がんばれるんです』と
 いわれました。
 自分の言葉が、思わぬところで影響を与えていて
 驚きました」
こんなに努力したのに、
と思っている時点では、
圧倒的に努力が足りない。
「ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「高校時代、都内の強豪野球チームで
 ベンチに入るか入れないかという
 ボーダーラインにいた頃、
 どうしたらベンチ入りできるかをコーチに聞いて
 返された言葉」
なのだという。
「当時は真の意味を咀嚼できずにいましたが、
 一生懸命やっても結果が出ないときに
 上の言葉が頭によぎり、冷静さを取り戻すことが、
 よくあるんです」
神様は、がんばっている人のところにしか
降りてこない。
ただし、
あぁ、ほんとにがんばってるなぁ、では
まだこない。
殺してくれえと叫ぶほどがんばっていると、
ふと降りてくる。
ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「編集者の先輩にいわれた言葉です。
 しめきり前の苦しい時はいつも思い出します」
こういうのは、自分のためと思うと
妥協するだろう?
違うんだ……
「地球のためにやってるんだ」と思え!
「ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「高校の頃、野球部でした。
 練習はけっこうスパルタのきついもので、
 甲子園という目標があっても、それを忘れて、
 妥協してしまいそうなメニューの連続でした。
 そのとき、ひとつ上の先輩にいわれた言葉です。
 ぜんぜん意味わかんないけど、なんかおもしろくて、
 いまでも、なんだか我慢しにくいとき、
 『地球のため、地球のため』と唱えています」
手を抜くほうが疲れる。
「ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「私の仕事は漠然としていて、手を抜こうと思えば
 バレずに手を抜けちゃいます。
 そんなことを思っていたとき、この言葉を聞きました。
 たしかに、色々手抜きの方法を考えたり
 コソコソするのって、疲れるよなぁと同感しました。
 これをいったのって、木村拓哉さん、なんです。
 以来、彼に対して、一目置くようになりました」
一日は短い。悩むにはもったいない。
「ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「バイトを辞めるにあたっていろいろと悩んでいたとき、
 バイト仲間さんからいただいた言葉です。
 ちょうど母くらいの歳のもの静かなかたなんですが、
 お話を聞くと今まで大変なこともたくさんあった模様。
 そんなとき、この言葉で、乗りきってこられたのかなぁ」
苦しくて、倒れそうなときに、
ふんばって出るのが本当の技。
「ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「高校時代、朝晩夢中でやってた柔道部の練習の合間の、
 心に残ってる先輩の言葉です。
 辞めるのはいつでもできるともいわれました」
あと何日で終わりじゃなくて、
何日のうちに自分に何ができるのかを考えないと、
あなたはこの仕事をする人として成長はできない。
「ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「教師一年目で担任したクラスは、
 三月には授業が成り立たないくらい、
 秩序がなくなってしまっていました。
 学校や教室へ行くのが苦痛で、
 子どもたちと別れられるまでの日数を
 指折り数える毎日でした。そんな私の姿を見て、
 そのクラスを前年度担任していた方が
 いってくれたのです。
 この方の言葉はこたえました。
 このままじゃいけないんだと教えてもらった言葉です」
何もやらない人ほど、いいわけが多いです。
「ほぼ日刊イトイ新聞」読者投稿。
「生活や仕事でミスしていいわけをしているときって、
 実際は何にもやっていないことが多いんです。
 ちゃんとやっている人って、
 ほとんど言いわけしないですよね」
捧げたい対象があるのかないのかは、
作る側としては大きな違いだと思う。
シンガーソングライターの大貫妙子さんは
「昔は音楽でも絵でもパトロンがいて
 その人のために作っていたわけです。
 パトロンのために作ろうという行為が個人的なために、
 すごくいいものができたんだとも思うんですね。
 今は誰のために作るのかわからないから
 グッとこないというか。
 でも、パトロンがいなくても、今だって結局
 そういう作りかたをしているとは思いますが」
といっていた。
まず、自分を知っちゃおう。
その上で、自分の不安材料をつぶしていくと、
それを見ている女がかならずいる。
ホストの零士さんは
「モテるやつは、いつも女のことばかり考えているんです。
 考えてなければ……そりゃモテるなんて無理ですよ」
といっていた。
心が清らかじゃないと、わびれないんです。
「わび」の世界って、どうひねくれようと、
一回負けたヤツじゃないかぎりわからない。
写真家の十文字美信さんは
「負けたことがなければ、わびれないですよ。
 誰がなにをいおうと
 『あんた、一回負けたことあるの?』
 っていうことが大事なんです」
といっていた。
誰かと暮らすより、ひとりのほうがいいの。
ピーコさんは
「誰かと暮らすのって、もの珍しいから、
 二、三日はいじったり触ったりするかもしれないけど、
 同じものばっかり見てれば飽きちゃう。
 生活感のない部屋で、好きな絵を飾ってあって、
 季節が変われば絵を替えて、お金がちょっと貯まったら
 部屋を替えて、家具も替えて……
 自分のごはんは自分で作れるし、お掃除も上手だし、
 洗濯も上手だし、何の苦もないわけじゃない?」
といっていた。
い ま ま で の ほ ぼ 日 語 録
2005-04-12 語録 No.001〜032
2005-04-13-WED
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