ほぼ日テレビガイドシリーズ秋の連ドラチェック2018 あややとふたりのプロフェッショナル
さあ、秋です。連ドラがはじまります。
春と秋は、この3人の出番です。
すっかりお馴染みになりました、
脱線上等、冗長最高、雑談無限、
恒例の連ドラチェック座談会ですよー。
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今クールの連続ドラマについて語ります。
例によって、たっぷりのんびり
おしゃべりしますので、
どうぞよろしくおつき合いください。
有意義な話もなくはないはずです。
進行は、ドラマのことは相変わらず素人、
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストは、
「沼のハナヨメ」でお馴染みサユミが担当。
はいはい、それでは、はじめますー。 沼のハナヨメ
さあ、秋です。連ドラがはじまります。
春と秋は、この3人の出番です。
すっかりお馴染みになりました、
脱線上等、冗長最高、雑談無限、
恒例の連ドラチェック座談会ですよー。
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今クールの連続ドラマについて語ります。
例によって、たっぷりのんびり
おしゃべりしますので、
どうぞよろしくおつき合いください。
有意義な話もなくはないはずです。
進行は、ドラマのことは相変わらず素人、
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストは、
「沼のハナヨメ」でお馴染みサユミが担当。
はいはい、それでは、はじめますー。


  • あやや

    ほぼ日刊イトイ新聞随一のテレビッ子。
    どんなに忙しくても
    録画したドラマは必ずチェック。
    毎週発表される
    視聴率なども無意味に把握。
    幼少期から蓄積された
    テレビの知識は無尽蔵。
  •  荒井清和

    漫画家・イラストレーター。
    ほぼ日刊イトイ新聞にて
    『TVウォッチャーの逆襲』を
    超不定期連載中。
    「写真より似てる」という
    高品質な似顔絵には定評が。
    ドラマ、スポーツ、
    バラエティー番組などが好き。
  • 森下佳子

    脚本家。『JIN-仁-』
    『世界の中心で、愛をさけぶ』
    『白夜行』『天皇の料理番』などの
    名作ドラマを生みだす。
    NHK朝ドラ『ごちそうさん』で
    向田邦子賞を受賞。
    夏のドラマ『義母と娘のブルース』も
    大好評でした。



第1回
さあ、秋の連ドラを語りますよー!
その前に、春のナイスな判断を振り返る。
あやや
よろしくお願いします!
森下
よろしくお願いしますーー。
荒井
よろしくお願いします。
──
おなじみ、連ドラチェックです。
それでは、この秋にスタートするドラマを
みんなでチェックして‥‥。
あやや
いやいやいやいや、その前に!!
みんなで語っておくべきことがあるでしょう!
──
いきなり脱線ですか。
あやや
脱線じゃなくて大事なことですよ。
荒井
ああ、わかりました。
あれですね!
森下佳子さんが脚本を担当して大ヒットした、
『義母と娘のブルース』について語ろう、と。
森下
あら。
あやや
いや、それも違う!
──
違うのかよ。
森下
違うのかよ。
あやや
いえ、『ぎぼむす』も語ります!
ぜひ、語らせてください!
しかし、そのまえに語りたいことが!
──
秋の連ドラを語る前にふたつも語るのか。
荒井
今日も長くなりそうですね。
あやや
まず、語っておきたいのは、
あのドラマのことです!
森下
なになに?
あやや
私たちが春にイチおしドラマに挙げた、
『おっさんずラブ』です!
森下
あーーーー。
荒井
あれ、当たりましたね。
あやや
お手柄でしたよ、私たち。
森下
そうね、そうね、褒められていいよね。
だって、あれ、みんなでしゃべったの、
放送のずいぶん前だからね。
荒井
そうでしたね。
日本でいちばん早く『おっさんずラブ』に
目をつけていたといってもいいのでは?
──
残念ながら掲載したのは
放送開始後でしたから、
「いまごろ言ってんの?」みたいになりましたが。
あやや
おんどれの編集が遅いんじゃぁ!
──
すんまへん、すんまへん。
あやや
調べてみたところ、
春の連ドラの座談会を収録したのは、
4月9日でしたからね!
第1話の放送は4月21日でしたから、
もう、いってみれば、イチかバチか、みたいな。
──
バクチかよ。
森下
いや、でも、ほんとに
おもしろそうだったんですよね。
設定もキャスティングも。
荒井
ページも丁寧につくられていて、
準備してるなっていう感じでしたし。
あやや
そうそうそうそう。
SNSの使い方とか、めっちゃ上手だったんですよね。
吉田鋼太郎が扮する武蔵さんがやってる
「武蔵の部屋」っていうインスタが
放送前から準備されてて。
荒井
力が入ってるな、っていうのが
伝わってきましたから。
あやや
でも、じつは『おっさんずラブ』って、
座談会の前に私がリストアップしたもののなかには
入ってなかったんですよね。
──
そうだった、そうだった。
最後に、他に何かありますかって
みんなでざっとチェックしたときに。
あやや
森下さんが、
「深夜枠なんだけど、これが気になる」と!
森下さん、すばらしい!(拍手)
一同
(拍手)
森下
いやー、よかったです、よかったです。
──
しかも、そこで最後にみんなでチェックして、
おすすめドラマをひとり3本ずつ挙げたら、
3人とも『おっさんずラブ』を
おすすめに挙げていたという。
あやや
うん、みんな、ナイスでした。
森下
会心のチョイスでしたね。
──
個人的には、荒井先生が
挙げるとは思わなかったんですよね。
あやや
そうそうそう、荒井先生って、
趣味としてはあんまり
深夜枠とかいかないですものね。
いつも王道の話題作をチェックするというか。
荒井
ああ、そうかもしれませんね。
でも、おもしろそうだったんですよ。
なんか、ちゃんとしてましたよね。
森下
そうそうそう。
あやや
ほぼ日にもたくさんメールが来たんですよ。
『おっさんずラブ』のファンの方が、
「よくぞ選んでくださった!」というのと、
あとは、「もっと語ってください!」と。
荒井
ははははは。
あやや
森下さん、おすすめはしましたけど、
こんなに人気が出るって予想してました?
森下
いや、さすがにここまでとは。
荒井
でも、ほんとにおもしろかったですよね。
あやや
私、仕上がりがすばらしかったと思うんです。
だって、このご時世、言ってみれば、
いろいろ言う人だって多いテーマだと思うんですけど、
すごくからっと明るく、
たのしいドラマに仕上がっていて、
純粋におもしろかった。
森下
おもしろかったですねー。
私、見ながらなるほどと思ったのは、
あれ、ぜんぶ月9なんですよね。
あやや
えっ?
森下
あれは、月9のラブストーリーの構図を
おっさんに置き換えたものなんですよ。
あやや
ああー!
荒井
ああー。
──
はーー。
あやや
しかも、あれですね、いまの、
「いろいろやってる月9」じゃなくて、
以前の王道の月9。
荒井
ラブの月9だ。
森下
そうそうそう、
だから、懐かしいシーンがいっぱい出てくる。
ほら、歩道橋みたいなところで名前を叫ぶ、とかさ。
あやや
あああ、そうかも、そうかも、そうかも。
森下
「マキー!」って。
で、牧くん、こっち振り向いて、
「ちょっと待っててぇー」
って言ってたじゃないですか。
あれ、ぜんぶ月9をやってるんですよ。
抱き合ってるところ見ちゃうとか。
荒井
月9をおっさんでやったんですね。
森下
構図としてはそうですよね。
でも、おっさんがやったことによって、
これだけおもしろいドラマになったというのは
キャストとスタッフのみなさんの力で。
あやや
吉田鋼太郎さん、すばらしかったですよね。
森下
だって、ときどき、少女のように、
ほんっとに、かわいくなっちゃったからね。
あやや
そうそうそうそう(笑)。
もう、出てきたキャラクターが
みんなよかった気がします。
森下
マロくんも、すごくおもしろかったし、
蝶子さんとか、女の人もみんなよかった。
コミカルなギャグ枠の女子って、
ドラマの中にはよく登場するけど、
ギャグ枠だからといってほっとかないで、
ちゃんと丁寧に描いてるんですよね。
荒井
うん、大切にしてましたよね、
ひとりひとりを。
森下
なんていうんでしょうねぇ、
とにかく全編を通して、
やさしかったと思うんですよ。
あやや
そうそうそうそう。
森下
「男と男」にもやさしかったし、
「男と女」にもすごくやさしくて、
後味がすごくよかった。
あやや
ほんとにそうですね。
なんていうんでしょう、
深夜のユニークな設定のドラマですし、
出オチのインパクトを重視して、
さっとつくることもできたと思うんですよ。
実際、深夜枠ってそういう
割り切ったドラマもありますし。
でも、ちゃんとつくりきりましたよね。
構図はすごい王道なんだけど、
ちゃんとゲラゲラ毎回笑ったし、ほろりもあるし。
森下
きめ細やかにつくってる感じ、ありましたね。
最後まで丁寧に。
あやや
そうですね。
だから、これからのドラマの
教科書的な感じになるんじゃないですか。
荒井
あと、ドラマの醍醐味として、
展開がどうなるか、
最後までぜんぜんわかんなかった。
「‥‥どっち選ぶの?」みたいな。
森下
そうそうそう!
あやや
そうそうそう!
どっち行くんだろう、結末がわかんない!
っていう。
それもすごいよかった。
でも、まぁ、終わってみれば、
これしかないだろう、みたいな
腑に落ちるところに落ち着いて。
森下
そうなのよーー。
ああならなかったら、
いったい私たちは毎週毎週、7週も、
なにを観てきたんだ、って話だからね。
あやや
そうそうそう。
──
じゃあ、まさに
ドラマファンがこころからたのしめる、
王道なドラマだった、と。
森下
そういうことですね。
あやや
『おっさんずラブ』おもしろかったです!
そして、つぎのテーマに移りますが、
『義母と娘のブルース』、おもしろいです!
荒井
うん、『ぎぼむす』、おもしろいです。
森下
わぁ、ありがとうございまーす!
──
ええとこの座談会を収録しているいまは、
最終回を残すのみ、というタイミングです。
あやや
そう、どうなるんだろーー。
森下
知りたい?
荒井
言わなくていいです!
──
言わなくていいです!
あやや
なんで、なんで? 私、ぜんぜん平気。
森下
(笑)
あやや
あらためて、質問ですけど、
『義母と娘のブルース』、
ヒットの手応えというか、
人気作になりそうな予感はあったんですか?
森下
いえ、正直なところ、
ここまでいくとは思わなかったです。
そんなに強烈な話ってわけでもないですし。
あやや
原作の漫画が大人気だったかというと、
そういうわけでもないですし。
たしか、ドラマになる前は絶版というか、
手に入らない状態だったんでしょう?
森下
そうなんです。
あやや
森下さん、よくそれ見つけましたね。
森下
たまたまなんですけど、
『義母と娘のブルース』の漫画を
ネットで見つけて読んだら、おもしろかったの!
その頃、「なんかやりたいドラマなーい?」
っていう話があって、漫画をちょうど読んでたから、
「これおもしろかったよ」と言って提案したら、
それにしましょう、っていうことになって。
荒井
へーーー。
あやや
でも、「義母と娘」のドラマって、
ちょうどいい感じの意外性がありますよね。
森下
タイトルもいいんですよね。
『義母と娘のブルース』って。
荒井
たしかに、覚えやすいですし、
ちょうどいい引っかかりがあるんですけど、
そのタイトルで「見たい!」って思うかというと、
そうはならないじゃないですか。
森下
うん、うん、ふつうはね。
あやや
でも、見始めたらどんどん引き込まれて‥‥。
荒井
そう、不思議なドラマだなぁ、と。
森下
ねぇ。だんだん、話題になって。
ほんと、ありがとうございます。
あやや
あのー、森下さん、私、
じわじわじわじわ引き込まれながらも、
初回から見返しちゃったくらい、
気になったことがあるんです。
森下
な、なんでしょう(笑)。
あやや
竹野内豊さんと綾瀬はるかさんが
どうして結婚することになったのか、
というのは、ドラマのはじまりには、
明かされなかったですよね。
森下
うん、明かさなかったですね。
あやや
あれね、静かに、びっくりしました!
森下
(笑)
あやや
そんなね、大ドン返しとかね、
意外なトリックとか伏線とかね、
そういうんじゃないですけど、
ふと気づくと「これ、すごいことだな!」と。
私、その理由がすっと明かされたときに、
びっくりしすぎちゃって、
前の回、前の回って、
さかのぼって見直しちゃったんですよ。
荒井
ああ、見逃したのかなと思って?
あやや
そうそうそうそう、
どっかで見逃した? とか思って。
でもね、そんなわけないんですよ。
あのドラマに関しては私、
ばっちり向き合ってるんですよ。
もう、「52インチのモニターと私!」
っていうくらい向き合ってるんですよ。
荒井
52インチ!
森下
デカいな。
あやや
あ、ごめんなさい、
私、テレビのデカさだけは、
どうしても譲れなくて。
せまい部屋でも画面はデカく!
──
それはともかく。
あやや
それはともかく、
ドラマと毎回向き合ってたはずなのに、
そんな大事なことを
私はなぜ知らなかったのかと。
で、見直したら見直したでおもしろくて、
けっきょく3回観ましたよ。
森下
はははははは。
あやや
で、ああ、やっぱり、これ‥‥
言わない手法だ! って。
荒井
3回見て確信(笑)。
森下
すみません、ありがとうございます。
あやや
びっくりしました。
だって、それを言わないって、
その、めちゃくちゃじゃないですか。
よくそんなことできるなって思って。
森下
それはね、私も原作読んでたとき、
まさにそう思ったんですよ。
ふつうの気軽な4コマだなぁと思って読んでたら、
途中からお父さんの設定がいきなり出てきて、
体の具合どうですか、みたいな。
「ええっ!」と思って。
その驚きがすごく新鮮だったので、
これは大事にしよう、と思ったの。
でも、テレビだから
ぜんぜんにおわせないのはないよね、
ということで、ちょいちょいにおわせながら、
という形にしたんです。
あやや
ほんとうにびっくりしました。
だって、森下さんの脚本って、すごく丁寧で、
視聴者を迷わせないように
いつも導いてくれると思って見てたので。
なのに、この一番大事なところを言わないという、
これはすごいな、と思いました。
森下
そこのところを最初に出しちゃうとね、
亜希子さんのやってることが、
一切笑えなくなっちゃうんだよね。
荒井
あぁーーー。
あやや
そうかーー、そうですね。
森下
もうすぐこの人いなくなっちゃうから
と思って観ると、
すべてがシンミリしちゃうので。
あやや
そこまでちゃんと考えて‥‥
いや、すごいですね。
荒井
でも、たしかに、そうなんでしょうね。
あやや
うん。だから、ふつうに見えるところに、
どんだけ配慮が隠されてるんだ、
ということですよ、このドラマ。
──
それは、そうだねぇ。
荒井
亜希子さんのあのキャラクターは、
原作でもああいう感じなんですか。
森下
名刺にルビがふってある、
みたいなところは原作どおりです。
ただ、もとの漫画は、あそこまで
ロボットみたいな感じではないですね。
ブルドーザーのようにパワフルなんだけど、
もっと喜怒哀楽がはっきりある感じで。
ただ、そのままテレビドラマにすると、
ふつうの「デキる上司」に
見えてしまう可能性があって。
荒井
ああ、なるほど。
森下
だから、ただの「いい上司」、
「いいお母さん」みたいにならないように、
はじめは、できるだけ、
とっつきにくい感じを出していこう、って話して。
いるじゃないですか、最初、
ちょっとクセがあるなぁと思ってた人が、
見慣れてくるとかわいく見えてくる、とか。
だから、最初はできるだけ
違和感があるようにして、見てるうちに
だんだん愛着を感じられるようにしようって
はるかちゃんと相談して。
あやや
え、つまり、綾瀬はるかさん、と。
森下
そうそう。
あやや
相談するんですね、森下さんは、
その、綾瀬はるかさん、と。
森下
そりゃ、まぁ。多少は‥‥。
あやや
‥‥‥‥うふ、むむむ、うひ。
──
久々に混乱してるな。
あれだ、テレビの中と自分がつながって、
とっちらかる現象だな。
あやや
いや、はい、ひゃい、すみません。
すみません、森下さん、質問ですけど、
その綾瀬はるかさんとの相談というのは、
「じかしゃべり」ですか?
森下
じ、じか?
あやや
「じかしゃべり」ですか!
──
つまり、直接おしゃべりしているのか、と。
荒井
ああ、「じかしゃべり」(笑)。
森下
あーー、「じかしゃべり」(笑)!
直に喋るから、「じかしゃべり」。
あやや
言いません? じかしゃべり?
業界用語?
──
ないから、そんな業界用語。
荒井
はははは。
あやや
いいなぁ、綾瀬はるかさんと
じかしゃべり‥‥。
──
それはともかく。
あやや
それはともかく!
竹野内豊さんもいいですよね!
私、思ったんですけどね、
一般の人って、けっこう、
竹野内さんの最近のよさを知らないんですよ。
なんならもう、『ビーチボーイズ』くらいで
止まってる人って意外と多いんです。
そういう人たちが今回の『ぎぼむす』で、
俳優、竹野内豊のイメージを
更新したんじゃないかと思います。
森下
ずっといいですけどねー、竹野内さんは。
あやや
『不毛地帯』とかねー。
荒井
『BOSS』とか。
森下
『BOSS』の竹野内さん、
よかったですよねーー。
天海祐希さんとのバランスがいい。
あと、『選タクシー』とかもよかった。
荒井
『選タクシー』の
竹野内さんはよかったですねー。
あやや
ドラマファンは知ってますけどね、
やっぱり、今回の『ぎぼむす』くらいの
視聴率があってはじめて
届く人たちって、やっぱり多いんですよ。
その人たちは、竹野内豊さんを
再発見したと思いますよ。
あとは、やっぱり、佐藤健くん!
『半分、青い。』の律に対して、
『義母と娘のブルース』の麦田。
森下
そうそう(笑)。
あやや
律と麦田。
両方やってるのがすごいですよね。
荒井
しかし、視聴率20%と15%に
同時に出てるって、すごくないですか。
あやや
すごいですよ、すごいですよ。
あとね、すごいと思ったのが、
麦田って、ほんとにしょうもないじゃないですか。
森下
ほんと、しょうもないのよ(笑)。
あやや
あのしょうもない麦田を、
あんなにしょうもなくやれるイケメンって、
すごいと思いますよ。
森下
はははは、あれは本人もたのしいと思いますよ。
そう信じたい。
荒井
律とまったく違うキャラクターですもんね(笑)。
あやや
あいかわらず、努力家ですか、佐藤健さんは。
森下
うん、すごい努力家で負けず嫌い。
当然、パンは焼けるようになってます。
しかも、ちゃんとうまい(笑)。
荒井
ははははは。
あやや
あと、あれですよね、
パブリックイメージからいうと、
佐藤健さんは、わりと天然というか、
なにも考えずに体当たりする感じで、
竹野内豊さんのほうが
ちょっと神経質に見えるじゃないですか。
でも、いまの話を聞くと、逆って感じがして。
森下
真逆、真逆。
だから、竹野内さんと綾瀬はるかちゃんが
いっしょにいると、もーーー、
現場がほっこりして。
荒井
へぇー(笑)。
マイペースどうしで。
森下
そうなんです、
マイペース×マイペースなの。
荒井
意外ですね。
あやや
そのマイペースの感じが、
悲しい設定なのに、それを感じさせない
あの良一さんのキャラクターに
つながってたのかもしれませんね。
森下
そうですね。
竹野内さんも、最初はちょっと
良一さんという人がよくわからない、
みたいなところもあったそうです。
でも、撮影に入って、初日か次の日ぐらいかな?
「ああ、なんか良一さん、わかってきた」
っていうふうになったらしく、
そこからはあの役が
とても好きになってくださったそうです。
あやや
はい、なんか、ぴったりきてる感じがしますよ。
あの「ひだまりみたいな」人に。
だから、ドラマの中の人も、見てる人も、
みんな好きですよね、良一さんのこと。
荒井
うん、うん。
森下
ああ、よかったです。
そして、やっぱり原作の力も大きいんです。
あの、亡くなっていくのに静かな感じは、
原作の持っているすばらしいテンポ感なんです。
あやや
へぇーーー。
森下
ああ、あと、これはこぼれ話なんですけど、
良一さんが亡くなる場面が、
竹野内さんのクランクアップだったんですけど、
娘役のね横溝菜帆ちゃんが
そのときに、泣いちゃって泣いちゃって(笑)。
あやや
あああ、お父さんが死んじゃったから?
森下
役としてお父さんが死んじゃったというのもあり、
もう竹野内さんが
現場に来なくなるというのもあって、
ずっとしとしと泣いちゃって。
あやや
いやー‥‥
もらい泣きしちゃいますね(笑)。
荒井
はい(笑)。
森下
でね、竹野内さんの最後のシーンが終わったあとも、
綾瀬さんと菜帆ちゃんはシーンが残ってたんです。
でも、悲しんでる菜帆ちゃんを残しておけなくて、
竹野内さん、最後まで現場に残ってくれたんです。
ほら、お父さんも見守ってるよ、みたいな感じで。
あやや
きゃーーーー。
──
泣けるなぁ。
森下
竹野内さん、やさしいんですよ。
──
さぁ、話しているとキリがないですが、
ぼちぼち、今季の話を。
森下
はい、そうですね。
あやや
あああ、最後にこれを言っておかなきゃ。
森下さん、『ぎぼむす』のクレジットに
『言いまつがい』と『小ネタの恩返し』を
参考文献として入れてくれて、
ありがとうございました。
──
そうだった、そうだった。
森下
いえいえ、ありがとうございました。
あやや
もう、協力できることがあったら、
なんでも言ってください!
森下
あああ、そういえば、
あややに訊こうと思ってたんだった。
あやや
えっ! なんですか! なんでもやります!
森下
佐藤健くんが演じる麦田が
しょっちゅうことばを間違うじゃないですか。
で、あややの天然の「言いまつがい」を
参考にしようと思ってたんですよ。
だから、セリフに出てくることばを、
あややだったら、どう言いまちがえる?
というのを聞いておけばよかった、って。
あやや
‥‥え?
荒井
それは、本人には答えられないのでは?
──
うん、森下さん、それは無理ですよ。
本人、「言いまつがい」のつもりもなく、
ただの天然でいつも間違えているので。
森下
あーー、そうか、そうだよねぇ(笑)。
あやや
なに、この扱い。
──
だって「じかしゃべり」なんてことば、
ふつうに口から出て来ないですよ。
荒井
たしかに(笑)。
あやや
「じかしゃべり」は
「言いまつがい」じゃないでしょ!
森下
「言いまつがい」というかなんというか‥‥。
──
次元が違いますよね。
あやや
森下さん、私、もっと、
テレビの裏方的なことで
ご協力させていただきたいんです!
なんなら、スタッフや、役者さんたちと、
「じかしゃべり」させていただきたい!
──
「じかしゃべり」はいいから、
秋のドラマの話に入りましょう!
こんなにしゃべって、
まだ1本も紹介してないって‥‥。


(つづきます)
2018-10-05-FRI

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN