その3

 

その3 わたしたち、おしゃれじゃないよ?!

── おしゃれって思われてる人が、
意外とおしゃれじゃないことってありますよね。
ブランドものを着ていても、
そのブランドだけで「もう、決めた」という人よりも、
いろんなブランドを見て、
シーズンごとにマメにチェックして、
組み合わせてる人のほうが
やっぱりおしゃれだと思うんですよ。
岡戸 そんなことはしたくないのよ。
決めるとラクなんだもの。
── 「ラク」への道ってありますよね。何でも。
コーヒーはこれとか、オリーブオイルはこれだとか、
少しずつ決めていくと、どんどんラクになっていく。
伊藤 でも、着るものって、自分とセットになるから、
それこそ加齢によって、
首の下辺りから腰の下あたりまでが
ぼやけたりとかするじゃないですか。
岡戸 うまい。確かにぼやけるわ(笑)。
伊藤 「あれ? これ、この前までは似合ってたはずなのに、
 なんとなく、おかしくない?」みたいな。
岡戸 ありますよ。
伊藤 といって、それを維持するための努力も
全然したくないし。
岡戸 しない、しない。
服を変えればいいんだもん(笑)。
「隠せばいいのよ」みたいな。
‥‥どうしよう。
おしゃれじゃないっていう話になっちゃってるよ。
でも本当なんです。年を重ねて、
「何も服が似合わない」
「着る服がない」って、
ますますみんな言ってるわけです。
共通の知人にSさんていうかたがいてね、
伊藤さんよりすこし年上なんだけれど、
「服がない、服がない」って、
30代の末くらいからずっと言ってるわけ。
でも、伊藤さんの格好見ると、
「これでいいいんだ!」とも思うんですって。
伊藤 いやいや、それは‥‥。
── 人を見て「これでいいんだ」
って思う気持ち、わかりますよ。
この人は決めたんだって見えるんです。
岡戸 「変わっていくのが楽しい」という人も、
おおぜいいるのかなぁ?
伊藤 先日、マガジンハウスの男性編集者と話をしていて、
「伊藤さん、マニュキュアとかしないんだ」って。
だって、お化粧とかも面倒なのにって答えたら、
「え?」ってすごく驚かれました。
「女の人って変わっていくのが嬉しいから、
 化粧するんじゃないの?」って。
私にとっては、お化粧は、
「仕事だからしょうがないか」。
── 最低限しておこう、という伊藤さんタイプもいますし、
毎朝メイクに3時間くらいかけて
それが「楽しい」と感じている人もいますよね。
伊藤 その男性編集者、
女は全てそれだと思ってたのかな?
岡戸 そうなんじゃない?
伊藤 彼はそういう女性とばかり
つきあってきたんですね‥‥(笑)。
岡戸 言ってみて。
「女をそういうふうに思ってるんでしょう、全て」って。
伊藤 さんざん「伊藤さんっておもしろいよね」って言われて!
でも、岡戸さんも、お化粧はしないじゃないですか。
それもすごいなぁと思って。
岡戸 そうね。なんでだろう。
自信もないのに。見られたくもないのに、人から(笑)。
伊藤 そして、イヤリングを必ずしている。
ミキモトですか?
ミキモト
日本ではじめて真珠の養殖に成功した
御木本幸吉が1899年(明治32年)銀座に開設した
日本初の真珠専門店「御木本真珠店」が前身。
1972年に社名変更以降、総合宝飾店として名をはせ、
いまやNY、パリ、ロンドンにも店を構える名店に。
岡戸 そう、会社から一番近かったから。
粒の大きさもずっと同じです。
7.5ミリという小ぶりのサイズ。
伊藤 ということは何個も持っている?
岡戸 失くしては買い、失くしては買い、同じものを。
私、仕事で、
「小ぶりなパールが大人に見える」という提案に、
「そうだよ」と思って、買ってみたんですよ。
伊藤 見ていいですか?
岡戸 どうぞ。
伊藤 かわいい!
例えばレストランに行く時は
どういう格好をするんですか? おしゃれ。
岡戸 ジャケットを着ますね。
伊藤 いまの格好の上に?
岡戸 そう、ジャケット着ちゃう。
伊藤 どういうジャケットですか?
岡戸 普通のテーラードですよ。
これに似合うようなジャケットを買ってるんですね、
きっと自然と、無意識に。
── 白いシャツは好きでも、
「クリーニングに出さなきゃいけないのが面倒くさい」
という人もいますよね。
岡戸 手で洗えばいいじゃない?
Tシャツ洗うのも一緒よ。
アイロンだけ頼んでもいいんだし。
── あと「着こなせるかどうか自信がない」
という人も。
白着てる人って、かっこいい印象があって。
シュッとしてる。
ダラダラできない気がしちゃうっていうか。
岡戸 わたしも、『大人はおしゃれ 着る?』(ku:nel別冊)
という本を作った時に、
「白いシャツの似合う人って、どういう人なのかなぁ?」
ということを考えたんです。
自分は全然好きとは思っていなかった。
伊藤さんに言われるまで、
「え? そんな、私、白いシャツ多いかな?」
と思ったくらいで、自分は違うと思ってました。だから、
「自分ではない人の、白いシャツの似合う人って、
 どういう人なのかなぁ?」
と思って、取材を進めたところ、
やっぱり白いシャツが似合う人はね、
おしゃれな人が多くて、ジャストサイズを知ってる人。
自分の体を知ってる人。特に男の人。
ホンマタカシさんと、チューブのデザイナーの
斉藤久夫さんに取材をしたんです。
斉藤さんは、古着を買って、
自分サイズに、全部作り替えてるのね。
伊藤 へぇ!
岡戸 ホンマさんは、アーツ&サイエンスで買った服の裾を、
必ず、2センチカットするんだって。
伊藤 えぇ?!
岡戸 自分に合わないからって。
男の人は、特にジャストサイズっていうのが
すごくカッコよく見えるじゃない?
伊藤 なんか男の人のそういうこだわりって、
ハンパない感じがしますよね。
岡戸 斉藤久夫さんのこだわりったら、なかった。
「あぁ、でも、パンツもそうだけどね」って。
古着のパンツも自分サイズに作り替えてる。
すごいおしゃれさんでしたね。
伊藤 それを聞いた時の岡戸さんは、どう思ったんですか?
岡戸 「すごい」と。
わたし、そこまでじゃないんです。
「着やすいほうがいいなぁ」と思うし、
「シャツのダブダブだけはちょっと」くらいな感じで。
伊藤 そういえば、試着しますか? シャツ買う時。
岡戸 あぁ、しませんね。
もうみんな知ってるから、試着する必要がないわけですよ。
アーツのシャツは、初めてのとき試着したのに、
間違えて大きいの買っちゃったけど。
伊藤 なんで(笑)。
岡戸 間違っちゃったのよ。
伊藤 だから同じブランドを買う。
岡戸 そうそう。ね、早いじゃない?
伊藤 わたし、ジーンズがそうです。もう。
岡戸 どこのジーンズですか?
伊藤 ドレステリア(DRESSTERIOR)なんですけど。
ドレステリア
イギリス・フランス・イタリア、日本国内から
質の良いもの、普遍的でそこにしかないものなどを
オリジナル商品と組み合わせて提案するセレクトショップ。
上質なベーシックアイテムで人気がある。
岡戸 もう試着する必要がないって感じなのね。
カットは?
伊藤 カットは、前のを持って行って、
「これと同じ長さにしてください」。
岡戸 試着するのが苦手なのね。
伊藤 そうそうそう!
岡戸 なんでしょうね。
「恥ずかしいから、早く出ちゃおう」
っていう感じよね(笑)。
伊藤 なぜだか恥ずかしさがつきまといますよね、買い物って。

(つづきます)



2013-03-21-THU


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写真:有賀傑