はちみつ探検隊 桜並木のはちみつ、の巻。1万年以上前から人が食べていて、いまも変わらない食べかたで親しんでいるもの、それは、はちみつです。ある日、わたしたちはひと瓶の、花のかおりあふれるはちみつに出会いました。それは作家の塩野米松さんからいただいたものでした。日本の花と蜂がもたらすめぐみをもらう旅。はちみつ探検隊、一歩ずつ進みます。 はちみつ探検隊 桜並木のはちみつ、の巻。1万年以上前から人が食べていて、いまも変わらない食べかたで親しんでいるもの、それは、はちみつです。ある日、わたしたちはひと瓶の、花のかおりあふれるはちみつに出会いました。それは作家の塩野米松さんからいただいたものでした。日本の花と蜂がもたらすめぐみをもらう旅。はちみつ探検隊、一歩ずつ進みます。
1958年福島県生まれ。福島県喜多方市の酒蔵「峰の雪酒造場」の4代目。日本ではめずらしいはちみつ酒のつくり手。/はちみつ探検隊 ほぼ日乗組員3人、S 蜂が好き、O 花が好き、T 酒が好き
第1回 目を見合わせた、はちみつ酒。
こんにちは、はちみつ探検隊です。
私たちがこの探検隊を結成したのは
2017年ごろなのですが、
当時からひとつの夢がありました。
チーム結成当時、私たちは、
はちみつについて勉強するために、
さまざなまイベントやフェア、講習会に参加しました。
おいしそうなはちみつを手に入れては試食し、
同僚からの旅のおみやげは黙っていてもみんなはちみつ、
ということになり、
机の上がはちみつの瓶でいっぱいの日々を送っていました。



そんなある日、イベントで探検隊OとSは
ある「お酒」に出会いました。
はちみつのお酒です。
はちみつ酒は英語で「mead(ミード)」といいます。



探検隊の3人は、じつはそれまで
いろんなミードを飲んでいました。
それは、はちみつの名産地である
ポーランドやリトアニア、ドイツのミードでした。
既成品に飽き足らず、ミードキットを購入し、
アルコール1%以下のなんちゃってミードを
つくったりもしていたのです。
▲自作ミード。
ところが、そのイベントでOとSがひと口飲んだミードは、
飲んだことのない味がしました。
産地は福島県の会津地方でした。
ミードなのにスッキリしていて、あまったるくなく、
それでいて香りがゆたかで飲みごたえがある。



「これ、大好きかも!」

「私も!」



OとSは顔を見合わせ、
会社に戻って酒好きのTに報告。
それからはそのお酒のファンになって、
3人で買い込んでは、飲んでいました。
「いつか、このお酒を
はちみつ探検隊の『日本の花』のお店で紹介したいね」
といつも話していたのです。



ご存知のとおり、お酒の販売には免許が必要です。
ほぼ日のWEBストアでは酒類を扱わないので、
私たちの夢はなかなか実現しませんでした。



でも、このたび丸の内で開催される
「生活のたのしみ展」
実店舗販売なら可能性があるよ、
ということになり、酒屋さんに出展協力をいただき、
このたび、長かった夢が実現することになりました!



「生活のたのしみ展」限定ではありますが、
我々探検隊3人が大好きな、その
国産のはちみつ酒を販売します。



いったいどんな味なのか? 
ほかのミードと何が違うのか? 
これから3回の連載でお伝えしていきます。
「生活のたのしみ展」では、
試飲もしていただけますので
(もちろん20歳以上の方が対象なのですが)、
グイッと味見にいらしてください。



そのはちみつ酒の名前は、
「花織」「美禄の森」といいます。



つくっているのは、福島県の
蔵のまち喜多方市にある、
峰の雪酒造さんです。
▲会津磐梯山の近く。
▲峰の雪酒造場さん。
清冽な山の水に恵まれた喜多方は、
古くから酒づくりが盛んな土地だったそうです。
いまも味噌蔵や酒蔵など、
2000以上の蔵が軒を連ねています。
▲四代目の佐藤利也さん。
峰の雪酒造場は、
国産のトチのはちみつを使って
日本でミードをつくる、
「国産+国産」の貴重な醸造場です。



佐藤さんにお話をうかがうと、
味の違いの理由がたいへんよくわかりました。
▲「こんにちは」とおじゃまする私たち。
▲佐藤さんにお話を聞きます。
着席するなり「大好きなんです」を
連発する私たち。
2年前からずっとずっとファンなんです、
とお伝えすると、佐藤さんのお顔が
ちょっとほころびました。
▲そうですか、とほほえんで。
「おいしい、って言ってもらって、
扱ってくれるのはうれしいです」



私たちは「花織」「美禄の森」のこれまでの印象を
話しながら、佐藤さんにお話をうかがいました。





私たちは日本酒も好きで、よく飲むんですが、
この「花織」「美禄の森」は、
米の酒に負けない香りと風味がありました。
日本酒でもワインでもない、
あたらしいのに定番のような味がします。



じつはミードにはこれまで
あまったるくてこくのあるイメージがあったんです。
しかしこれは、風味がゆたかなのに
スッキリしています。
おいしさの秘密って、いったいなんですか?
佐藤さん
「ミードははちみつを原料とするお酒なんですが、
うちのミードは、
はちみつを純粋に発酵させているんです」



というと、ほかのミードは
はちみつではない‥‥んですか? 



「いや、もちろんはちみつを使っているんですが、
ほかのものが混じっていることが多いんです。



みなさん研究されてご存知でしょう、
はちみつは殺菌力があると言われていて、
発酵しづらいんですよ。
通常のミードづくりは、
ハーブや果汁、穀物等を混ぜこむことで
発酵を助ける役割をさせるんです。
でもうちは、そういったものを入れずに、
はちみつ+飯豊山系の伏流水+清酒の酵母、
この3つだけでつくりあげます。
ですから、はちみつ本来のおいしさがいきるんですよ。



発酵を助ける混ぜものを入れないため、
清酒づくりに使用する酵母の
およそ100倍の量を入れます」
アルコール度数も11%あるんですね。
国産のミードを見たのは、
私たちははじめてでした。



「そうですね、おそらく国産のミードは、
数えるほどの蔵元しかつくってないんじゃないでしょうか。
しかもうちは、原料のはちみつも国産です。
会津で採れた、トチのはちみつなんですよ」



はい、トチのはちみつが原料とおうかがいして、
私たちはとてもうれしく感じました。



というのも、トチは、
私たちに日本みつばちを教えてくれた
盛岡の藤原誠太さんが、
「みんなもっと植えて!」と言っていた木なんです。



トチは日本に古くから自生していて、
森を豊かにしてきたのに、
造林政策により針葉樹が植樹されたことで、
激減してしまった、とおっしゃっていたのですが‥‥。



「そうなんですよね。
このミードの原料となるトチの花も、
会津の山の
標高600~800mに自生してるんです」



しかし、トチのはちみつって、
ちょっとくせがありますよね?
(でも探検隊Sはいちばん好きなはちみつです)
なぜこのミードのしあがりは
こんなにくせがなくスッキリしているんでしょうか?



(明日につづきます)  
生活のたのしみ展でミードを味見できますよ!「ほぼ日のはちみつ 日本の花」

はちみつ探検隊が扱う会津のミードは、
2019年4月17日~21日の5日間、
東京・丸の内で開催する
「生活のたのしみ展」で販売します。
お店の名前は
「ほぼ日のはちみつ 日本の花」です。
エリアは世界サイドの丸ビル、
Marunouchi Café × WIRED CAFEあたりです。
試飲も行いますので、ぜひ味見にいらしてください。
ミードのほかにも、
この探検隊の名物人気商品である、
日本みつばちの貴重なはちみつ、
夏におすすめのユリノキのはちみつなども揃います。
(「ベアハンド」は完売のため今回は扱いません)

▲日本みつばち「ドロップ」。
さわやかで飲みものにとけやすい。
はちみつらしい味。
卵焼きやヨーグルトにもバッチリ。

▲西洋みつばちの「ユリノキ」。
盛岡の森で育ったユリノキのはちみつ。
紅茶やあっさりした飲みもの、
フルーツやパンにもあいます。

▲会津ミードの「花織」180ml。1,512円。

▲会津ミードの「美禄の森」520ml。3,240円。

売り場近くのカフェでは、
カレーなどのお食事と一緒に、
ミードをグラスでもご提供いたします。



※ミードの「花織」と「美禄の森」は
パッケージが違うだけで、中身は同じです。

2019年4月17日~21日 <入場無料>

11~20時(お店によって営業時間がちがいます)

2019-04-15-MON