ほぼ日刊イトイ新聞

60歳になって、ようやくわかった。「わたしが服をつくる意味」

「FLY、FLY、FLY」HOUSE 島地保武 PH:上原勇(サン・アド) 協力:市原湖畔美術館 2018年

ひびのこづえさんの、60歳の創作論。

コスチュームアーティストの第一人者として
活躍するひびのこづえさんが、
「60」というタイトルの展覧会を開催しています。
ご自身の年齢を、そのまま冠したのです。
「若いころの自分だったら、
そんな恥ずかしいタイトル、ありえなかった」
では、なぜ今、その名をつけたのか?
60歳を前に出会った、本当にやりたいこと。
ようやくわかった、服をつくる意味。
多くの人が憧れ、目標にするひびのさんが、
ここまで貪欲に「つくりたい!」と
渇望してらっしゃることに、感動しました。
担当は、ほぼ日の奥野です。

ひびのこづえさんプロフィール

静岡県生まれ。
東京芸術大学美術学部デザイン科卒業。
コスチューム・アーティストとして
広告、演劇、ダンス、バレエ、映画、テレビなど
その発表の場は、多岐にわたる。
NHK Eテレ「にほんごであそぼ」のセット衣装を担当中。
中村勘三郎主演の歌舞伎
「コクーン歌舞伎・三人吉三」
「野田版 研ぎ辰の討たれ」、
現代劇の野田秀樹作・演出の「足跡姫」など
多数の舞台衣装を担当。
「ちいさな生きもの研究所」ワークショップを
毎月、渋谷LOFT6階で開催中。
2018年はダンス「サーカス」(5月、新国立劇場)、
ダンス「不思議の国のアリス」(7月、KAAT)にて
衣装を担当するほか、
大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2018
(7/29~9/17)に参加。

みずうみのほとりから広がっていく、ひびのこづえさんのアート。 糸井重里

ひびのさんのつくる演劇の衣装って、
アート作品ですから、
お芝居そのものを変えてしまうくらいの
パワーやインパクトがあります。
それでいて、「ああ、この衣装でよかった」って、
観客にも、仲間たちにも思われています。
ひびのさんの衣装を身につけた役者たちさんが
舞台を飛びまわっていることは、
美術通ではない、ぼくらふつうの人にたいする
アートの方法として、
とっても素晴らしいことだと思っていました。
アートって、どうしても、「展示される」ことで、
わかっている人たちだけの間に、
閉じこもってしまうところがありますから。
でも、ひびのさんがつくる衣装というアートは、
そうじゃないところに、
破裂して、ばらまかれていく感じがあるんです。
そう思っていたところに、こんどの展覧会です。
ひびのさんの衣装から、
ダンスパフォーマンスを組み立てていくそうです。
これまで、演劇のなかでいきいきと輝いていた
ひびのさんのアートが、
こんどは美術館で爆発するんだって、思いました。
いきものにくっつくことで、
とおくまで運ばれていく植物の種がありますけど、
ああいうことが起こるんじゃないかなあ。
ひびのさんの衣装からばらまかれるイメージが、
みずうみのほとりの美術館から、
どこまで広がっていくだろうと、わくわくします。
赤ちゃんが見に来てもいいって言うし、
美術に詳しくない人にこそ見てほしいと思います。
美術館に「作品」を見に来たはずの人にも、
別の何かを、くっつけてくれるんじゃないかなあ。
ぼくも今から、見に行く日を楽しみにしています。


市原湖畔美術館で個展「60」開催中。 合計で10回開かれる ダンスのパフォーマンスは必見です!

千葉県市原市・高滝湖のほとりに建つ
市原湖畔美術館で、
ひびのこづえさんの展覧会を開催中です。
ご自身の年齢「60」を冠した本展は
新作含めた作品約50点が展示されます。
また、ひびのさんの衣装をまとった
ダンサーがパフォーマンスする公演も
会期中に合計10回、開催されます。
還暦を迎えたひびのさんが
「やっと、やりたいことをみつけた」
という公演、ぜひ見ていただきたいです。
会期は、6月24日(日)まで。
とくに、これからの気持ちいい季節は、
水と緑のすばらしさも、堪能できますよ。
ぜひ、足をお運びください。

60 (rokujuu) ひびのこづえ展

会場:
市原湖畔美術館
住所:
千葉県市原市不入75-1
時間:
平日: 10:00~17:00
土・休前日: 9:30~19:00
日・祝: 9:30~18:00
休館:
月曜日(祝日の場合は翌火曜日)

パフォーマンス公演について

ひびのさんの衣装を身にまとったダンサーが、
展示室内のステージで、
音楽に合わせて、パフォーマンスを行います。
演目は、3つ。日程によって変わります。

「FLY、FLY、FLY」

島地保武×川瀬浩介
4月21日(土)22日(日) 15時~
5月12日(土)13日(日) 15時~

「WONDER WATER」

ホワイトアスパラガス×川瀬浩介
5月5日(土)6日(日) 13時~

「Humanoid LADY 市原湖畔美術館ver.」

引間文佳×川瀬浩介
5月5日(土)6日(日) 15時~
6月2日(土)3日(日) 15時~

チケット料金:一律 1,200円
 peatixにて販売中。
もしくは、美術館までお電話( 0436-98-1525)で
お問い合わせください。

詳細情報は以下の特設サイトからどうぞ。
https://hibinokodue60.tumblr.com