ほぼ日テレビガイド
タイガー&ドラゴン
with ほぼ日テレビガイド

『離婚弁護士』『新選組!』に続く連ドラ企画第3弾!
毎週鑑賞、毎週雑談、毎週更新!
例の3人(糸井、西本、永田)がまたまたダベる。
意義など問うのは野暮ってもんです。
ひとつのんびりゆらゆらとおつき合いください。

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第11回
「子は鎹」を観て




永田 終わりましたねー。
西本 お疲れさまでした。
糸井 いやー、なんか、さびしいねえ。
永田 終わっちゃいましたねえ。
西本 最終回、よかったですね。
永田 うん、よかった。
糸井 よかったねえ。
オレがサーフィンやってたころにさ、
こういう番組を観たかったね。
永田 ‥‥サーフィンですか。
西本 ‥‥やってたんですか、サーフィンを。
糸井 うん。オレがサーフィンに夢中なころ、
こんなドラマと出会ってたらなあ!
永田 サーフィンをやってたと言い張るわけですね。
糸井 なつかしいなあ! あのころ!
西本 ‥‥群馬、海ないじゃないですか。
糸井 あ。
永田 うまいこと言った。
糸井 いいじゃないか! 海がなくったって。
海がない県は
サーフィンやっちゃいけないのかよ!
川があるじゃないか、川が!
西本 か、川サーファー!
糸井 あと湖。
西本 湖サーファー!
永田 どうして最終回の幕開けが
サーフィンなんですか。
糸井 オレがサーファーだったころに
見たかったという、讃辞だよ。
西本 だから、群馬に海ないですって。
糸井 なんでそんなにかたちにこだわるんだ。
サーフィンは心だよ。
西本 心で波に乗る、と。
糸井 そうだよ。ワックスとか塗るんだよ。
ビーチボーイズを聞きながら行くんだよ。
永田 USAじゃなく。
西本 群馬を。
糸井 群馬から長野を通って山梨へ行くんだよ。
西本 からっ風にのって。
永田 なんの話なんですか。
糸井 長野、山梨とサーファーは行くんだよ。
西本 トラベリングサーファー!
糸井 イエス!
永田 サーフィンの話はさておき、
最終回の話をしましょう!
糸井 はいはい。
西本 いやあ、最後はふたりとも
ぐいぐい来てましたね。
糸井 当たり前じゃないですか。
永田 泣くに決まってるじゃないですか。
西本 ぼくは例によって泣かなかったですけど、
とってもよかったですよ。
先に自分なりの結論を言っちゃいますけど
落語ブームとかどうでもいいくらい
ひとつのドラマとしてたのしみました。
永田 おお。
糸井 最初からすごいこと言いますね。
落語ブームは落語ブームで
あっていいんじゃないですかね。
サーフィンブームもあったことだし。
永田 どうあってもサーフィンの話を続ける気ですね。
西本 落語がテーマだろうが、
芸がテーマだろうが関係ないほど、
ドラマとしてたのしめたということですよ。
最終回を観ての、いちばんの感想です。
永田 なるほどなるほど。
糸井 ぼくの感想のひとつは
「なんでオレはこんな映像を観ながら
 泣いてるんだろう」っていうことですよ。
西本 といいますと?
糸井 だって、荒川良々が演じる亀、
つまり、小汚い鼻たらしの男の子と、
女装した西田敏行が会話しているという、
「絵的には絶対泣けないところ」で
オレはものすごく泣いてるわけだよ。
ふたり わははははははは。
糸井 冷静になるとおかしいだろう。
それがこのドラマのマジックですよ。
止まった絵でみたら泣けるわけがないところで
なんでオレはこんなにせつなく泣いているんだ?
永田 言えてます、言えてます。
ぼくは、「桃色バス」のピンク色の看板の前で
おかしな時代劇の格好をした
ふたりが見つめ合うところで
おいおい泣きましたから。
糸井 もう、いたるところでグッと来るんだよね。
いろんなところから、
どんどん波が押し寄せてくるんですよ。
永田 ビッグウェイブ、来てましたね。
糸井 ビッグウェンズデーですよ。
西本 金曜日ですけどね。
糸井 もう、なんていうの、こう、でっかい弓を、
きりきりきりきり最後まで引っ張って、
ぱーんっ! と放ったような最終回でした。
永田 しかも、その、
でっかい弓を引き絞ってるあいだにも、
途中で、小さい矢がぴゅんぴゅん飛んできて、
ぷすぷすぷすぷす刺さるんですよね。
糸井 そうそう(笑)。
細かい矢、あった、あった。
永田 でっかい矢に備えて盛り上がりながらも、
細かい矢にしょっちゅうやられるんですよ。
糸井 あれは、いわゆる吹き矢?
西本 ええ。モンゴル兵の短い矢ですよ。
永田 しかも、吹き矢の矢じりに、
ぴりっとしびれる毒が塗ってある。
西本 そりゃしびれるわけだ。
糸井 オレはこの回、もう一回観るね。
土日のどっちかで、きっと。
西本 ちゃんと録画できてるんですか?
今日は野球で30分遅れで始まりましたよ。
永田 多くの視聴者が、最終回の後半を
録り逃していると思われます。
糸井 なめてもらっちゃ困りますよ!
うちの録画体制はばっちりです。
西本 おお、たのもしい。
永田 最近の家電の複雑さに
さじを投げていた
糸井さんらしからぬ発言ですね。
糸井 克服したんですよ!
ぼくはまずね、
『タイガー&ドラゴン』を録画して、
そのあとの5分番組も録画して
そのつぎの『恋するハニカミ』も
録画することにしたんですよ。
永田 めちゃめちゃ手動じゃないですか!
糸井 番組と番組のあいだが一瞬、
切れちゃったりするのが難点なんだけどね。
西本 もっとこう、いまどきの家電っぽい、
「野球延長モード」みたいなやつがあるでしょ。
糸井 そういうのについては‥‥ええと、
昔のサーフィンには
そういうのはついてなかった!
永田 なにがなんでもサーフィンを引っ張る、と。
糸井 ほら、いまはネットサーフィンの時代だし。
永田 「ネットサーフィン」という
ことば自体が古いでしょう。
西本 ♪ニャニャニャニャニャ
ニャニャニャ〜ニャ〜ン
ニャニャニャニャニャニャ〜ン!
糸井 ‥‥それ、なに?
永田 ‥‥それ、なに?
西本 『サーフィンUSA』の口まね。
糸井 ぜんぜん違う!
永田 うろ覚えにもほどがある!
西本 まあまあ、ドラマの話をしましょう。
糸井 そうなんですよね。
でも、最終回って、どうも
「もういいじゃないですか、
 どこがどうだとかというような
 細かいことはさ」
みたいな気分になっちゃうんだよね。
永田 わかります、わかります。
でも、言わないとはじまりませんよ。
糸井 まあ、ほんとうによかったですよ。
前半、虎児に帰る家がないっていうあたりは
ほんとうにさびしかったしね。
刑務所から出てきて、
虎児の顔が変わってたじゃないですか。
ぐわっ! という顔じゃなくて
ほー、みたいな顔をして。
あのあたりからもう、さびしかったね。
さびしくなかった?
にしもっちゃんはさびしくないのか。
西本 いえ、まあ。
糸井 どうしてにしもっちゃんは
ああいうときにさびしくないんですかね?
永田 でも、グッときてることは、きてるんでしょ。
もしくは明日のニッポン放送での
オールナイトニッポンのイベント
(無事終了いたしました)のことを
考えているんでしょ。
西本 ‥‥それは考えてるかもしれませんね。
糸井 明日は明日の風が吹くじゃないか!
風が吹いたら波がたつ。
波がたったら川サーファー。
永田 (無視して)
周囲を気にしすぎてるのかな。
にしもっちゃんって、
笑った後に周囲の反応みるじゃん。
「いまのはよかったッスね」みたいな。
糸井 政治的な笑いだね。
そんなことだから泣けないんですよ。
西本 いや、泣けないのはね、
ひとつトラウマがあるからなんですよ。
永田 あ、そうそう。
こないだはじめて聞いた。
糸井 なに?
西本 ぼくは小学校のころの通信簿に
「泣かないようにしましょう」
とずっと書かれてたんですよ。
糸井 えっ。
西本 1年生の一学期は
「二学期は泣かないようにしましょう」
二学期は
「二学期はあまり泣きませんでした」
三学期は
「2年生になるので泣かないように」
みたいなことを書かれていたんです。
糸井 なんで泣いてたの?
西本 とにかく、
ちょっとでも悲しいと泣いてたんです。
ちょっと怒られただけでもなくし、
道徳のテレビを観てても泣くとか。
あまりにも「泣くな」「泣くな」と
教育されているうちに
幼いころに抑制がかかりすぎたんでしょうかね。
それから悲しいことで
あまり泣けなくなってるんですよ。
糸井 思いがけず、ちゃんとした理由ですね。
永田 そうなんですよ。
つまり、構造としては、
幼いころのトラウマで笑いを忘れた虎児と
いっしょなわけですよ。
糸井 えっ、そう来るか。
永田 いわばにしもっちゃんは、
「糸井事務所の虎児」なんですよ!
糸井 「糸井事務所の虎児」かあ‥‥。
それにしちゃあ、モテてないね?
永田 どひゃあ。
西本 そんな比較、ありですか。
糸井 ざっくり言って虎児というのは
モテてる男じゃないですか。
それにくらべると、うちの虎児はねえ。
永田 まだ前座ですから。
西本 これからがんばらせていただきます。
糸井 でも、「泣かないようにしましょう」
っていうのはさ、みんな子どものころに
一度はそう決意するわけでしょ?
でも、オレはそれじゃ損だと思って
どんどん泣けるようにしようと思って
自分で引き立てましたよ。
西本 だからそれがうらやましいんですよ。
ふたりのように泣けることが。
糸井 スイッチを手にもつんですよ。
「おばあちゃん、
 なにかあったら押してくださいね」
みたいなスイッチを持った
気持ちでいるんですよ。
それで押せばパーンと泣けるんですよ。
永田 最終回も脱線三昧だなあ。
西本 いや、ぼくは、この「テレビガイド」で
素直に泣く訓練をしている最中なんですよ。
最終回もほんと、泣きそうになりましたよ。
「タイガータイガーじれったいがー!」
と言いながら長瀬くんが
舞台から降りてくるところなんかは
それまでの虎児のキャラクターや
台本や演出を飛び越えた感じがしましたから
「よかったなぁ」と、グッときました。
11話までいろんなシーンがありましたけど
ラストシーンが
一番泣きどころに近かったですね。
永田 あそこは爽快に泣けたなあ。
糸井 よかったねえ。
永田 なんていうか、
オーソドックスな最終回でしたよね。
切なくて、あったかくて、
昔のドラマの最終回って
こんな感じのテンションだったなと
思いながら観てましたけど。
糸井 うん。最終回らしい最終回でしたね。
また、あの、いいところでお笑いにするという
このドラマのクセがすごかったですけど。
永田 泣きながら笑って、
笑いながら泣いて、という。
西本 あと、最終回はこれまでの出演者が
それぞれいいところを見せてましたよね。
なんだか総決算な感じで。
糸井 銀次郎なんてよかったよねえ。
永田 よかった!
西本 よかった!
永田 ドラマを通して助演男優賞をあげたいです。
全体を通して、虎児と銀次郎の関係は
どんどん引き立っていきましたよね。
ひょっとしたら、
宮藤さんが当初予定していたよりも
銀次郎のキャラクターって
ふくらんだんじゃないかなと思いました。
ちょっと乱暴な感想ですけど、
ぼくは「タイガー&ドラゴン」よりも
「タイガー&シルバー」のほうが、
物語の後半は見応えがあった気がします。
糸井 やっぱり、ヤクザという背景がありますからね、
物語がうねると動き出すキャラなんでしょう。
ただ、それも役者の演技が
あってこそでしょうけど。
西本 塚本高史さんですね。
永田 あの流星会の事務所のシーンは
よかったなあ。
糸井 思えば、このドラマって
みんなが自分に対して
「似合わないことをやっている」
って言い続けてるんですよね。
西本 竜二の洋服屋、虎児の落語家、
銀次郎の二代目‥‥。
永田 青森のりんご農家だったメグミ、
じつは本番に弱いっていうどん太、
鶴瓶さんの組長も‥‥。
糸井 けっきょく、万全っていうことはなくて、
流星会にしても、鶴瓶さんが引退して、
銀次郎が不本意ながら継いだら
安定したっていうことでしょう?
つまり、萩本欽一さんが言ってることと
おんなじなんですよね。
「自分は、いままで、
 不本意な仕事ばっかりやってきたんだ」と。
西本 あああ、なるほど。
糸井 「似合わないですよ。
 代わってほしいっすよ」って
銀次郎が言いますけど、みんなそうやって
似合わないようなことをやりながら、
不本意なことをやりながら進んでいくんですよ。
西本 欽ちゃんの話につながりますね。
糸井 だから、若い人って、
「自分の道が見つからない」とか
「ホントにやりたいことがわかりません」とか
言うんだけど、バカ言ってんじゃないよ、
ってこともいえるわけですよ。
みんな不本意なことをがんばって
こなしてるんですよ。オレだってそうですよ。
オレだって、もとは
群馬でサーフィンをやってたわけですよ!
西本 おっと、ここでサーフィンに戻ってきたよ。
永田 うわあ。
ちょっとよさそうな話だったのに
台無しだわ。
糸井 いや、ここにつなげたくて
サーフィンの枕をしゃべったんだよ。
ふたり うそだね。
糸井 マジメな話に戻るとね、
こないだ、雑誌の取材で、
鶴瓶さんについてしゃべったんですよ。
で、「鶴瓶さんについて心配なことは?」
っていう質問があってね。
いまの話に通じるようなことを言ったんです。
「落語のことを
 『やっと好きな道を見つけた』とか
 あまり思わないほうがいい」と。
つまり、「落語がオレを呼んでる」とか
「オレには落語という道があった」とか
思わないでほしい、と。というのは、
鶴瓶のほうが落語より大きいんです。
落語は鶴瓶のなかにあるんです。
鶴瓶さんに限った話じゃなくて、
あらゆる人が、
なにか好きなものを見つけたときは
自分の中にそれがあるんです。
逆じゃないんだよ。
自分の外側に、知らないところに
なにか自分の道があるんじゃないかと
思ってるとわからなくなるんです。
不本意な道をね、行くんです。
「好きなことをやって」なんて
学生じゃないんですから。
不本意を生きるということなんです。
たとえば子どもがいてね、
ギャーギャー騒いでね、
泣くこと自体をかわいいとは
思えないかもしれない。
だけどそれを育てる。養う。そこですよ。
そのあたりがね、あの、銀次郎の気持ち?
表れてるんじゃないですかね。
だから、よかったねえ。
西本 よかったですね。
永田 よかったなあ。
糸井 オレもね、ほんとはサーフィンを‥‥。
西本 サーフィンはもういいです。
永田 サーフィンはもういいです。
糸井 ちょっとした照れ隠しですよ。
ふたり わかってますよ。
糸井 ほかに、よかったシーンはどこでしたか。
西本 ぼくがジーンと来たのは、
喫茶店で虎児がクセのない素直な落語を
つつーっとしゃべりはじめたときです。
永田 ああ、あそこもマジックだったね。
西本 あの3年の刑務所生活のあいだの積み重ねが
芸の土台を作って、
さらにあの落語がおもしろくなるんでしょうね。
永田 あそこ、ほんとに
「ずっと練習してたんだな」っていう
自然体の落語だったよね。
それが伝わってきてジーンとした。
西本 3年間、ひとりでマジメに修行してたんですよ。
刑務所で落語を覚えるシーンに、ぼくはつい、
「桑田ロード」をだぶらせて観てしまいましたよ。
永田 解説すると、桑田ロードというのは、
巨人の桑田投手がケガをして
二軍で長く過ごしたときに、
球場の外野のフェンス際を
来る日も来る日も黙々と走り続けて、
とうとうそこの芝生がはげて道のようになって
それが「桑田ロード」と呼ばれ、
二軍でがんばる選手を勇気づけたという話です。
西本 サンキューです。
永田 桑田投手も近日中に
いよいよ一軍復帰というニュースがありました。
心から応援しています。
糸井 サーフィンのつぎは野球ですか。
西本 サッカーの話もしましょうか。
永田 けっこうです。
糸井 けっこうです。
西本 あと、やっぱり、
みんながグッときたシーンでしょうけど、
鶴瓶さんと西田さんのやり取りですかね。
糸井 あそこねー。くるよねー。
永田 ほんとにヤバかったなあ。
今回、基本、半泣き状態で
表面張力でこらえてるような感じで
ずっと観てたんですけど、
あそこでもう、ダメですよ。無理ですよ。
糸井 西田さんと鶴瓶さんがどーんとぶつかると
やっぱり西田さんが勝っちゃうね。
しょうがないよね。それは職業違いだね。
西本 あれはエチュードみたいなもんですからねえ。
糸井 間とかが違うんですよね。
そこはもう、西田さんを中心に
キャスティングした
っていうことの勝利でしょう。
あのシーンはほんとうによかったね。
永田 西田さんは、
泣いてるときも、泣かせるときも、
コミカルがふつうに共存してるから
すごいですよねえ。両方があるから、
効果がどっちも倍増するというか。
糸井 また西田敏行を観たくなっちゃうね。
弟子の名前を継ぐっていうあたりも
いい話でしたね。
小さく「ハッ」とさせる展開で。
西本 二代目小虎のあとに小猫になるっていう
小さなどんでん返しで。
永田 寄席のシーンは辰ちゃんがよかった。
「おっ、『子別れ』だねえ‥‥」っていう
あのお馴染みのシリーズのセリフで
泣かされるとは思わなかった。
西本 違う芝居をしてましたよね。
ベタな泣かせかたかもしれないけど
尾美としのりさんの味が活きてた。
永田 ベタじゃないところで
変な泣きかたをしちゃったのが、
さっきも言った、
バスガイドパブの前で、
劇中劇の姿のどん兵衛と虎児が
会うところなんですよ。
あそこを、現代を舞台にしたまま、
しかもセットじゃなくて
ふつうの街にふたりを立たせたのが
ものすごく特別な感じがして、
「このカードを最後までとっておいたのか」
って思えて、うまさで泣けました。
糸井 独特の泣きかたですね。
永田 そうなんですよ。
「よくできていると泣けてしまう」という。
どうやってここにたどり着いたんだろう?
とか思いはじめると泣けるんです。
西本 あそこのシーン、ぼくは
フランキー堺さんの
『幕末太陽傳』を思い出したんですよ。
あれも古典落語を下敷きにしたドラマでしたし、
予定ではラストシーンは時代劇なのに
主役のフランキー堺が現代の街中を
走るシーンだったらしいのですが
当時、大反対をうけてそのラストシーンは
実現しなかったらしいんです。
でも、ここでは時代劇と現代が
ごっちゃになるところが実現したわけです。
永田 え? なになに?
糸井 いきなりなにを言い出すんですか。
西本 昔、ぼーっと観てたんで
きちんとは覚えてないんですが
ちょっとアマゾンで注文して
観返してみようと思いました。
糸井 『ゴッドファーザー』は観たんですか。
西本 ばっちりDVDーBOXを入手しました!
まだ観てませんけど。
ところで、今回の、ドラマ全体を通した
MVPを選ぶとしたら誰ですか?
糸井 それは長瀬くんですよ!
永田 そうですね。長瀬さん、
最後の、高座が終わって
拍手を受けているときの、
「素」で放心しているような表情には
ジーンときました。
糸井 あれはファンになっちゃいますよ。
永田 なるなる。失礼ながらぼくは、
「演技する長瀬さん」を観たのは
はじめてだったんですけど。
糸井 農業してたり、魚釣ったりっていう
人として観てたんでしょ。
永田 ええ。もう、ほんとうに。
この子はまっすぐだなあ、
くらいにしか思ってませんでした。
失礼しました。
岡田さんもそうです。
あの、シャンプーのCMとか
出てるじゃないですか。
いままではただのいい男として
気にもとめてなかったんですけど、
いまは「お」と思って観ちゃいますね。
ドラマをずっと観てたから
思い入れが出るっていうんじゃなくて、
純粋に、才能ある人だなあと思いました。
糸井 岡田くんは『木更津』とかだと
もっといいですよ。
永田 そうらしいですね。
糸井 MVPの話に戻ると、
このドラマ、難しい役を要求されてたのは
なにせ長瀬くんだと思うんですよ。
彼に全員が共感するように
持って行かなきゃいけないわけでしょ。
で、軽々とそれを超えちゃってますよね。
それはやっぱりすごいなあと思いますよ。
永田 ベストの回ってどの回ですか?
全体を通して好きな回。
ぼくはやっぱり「猫の皿」が好きなんですけど。
あとは、「饅頭怖い」「粗忽長屋」
糸井 ええっと、いきなり言われると
むつかしいな。
西本 ぼくは毎回、
いちばん新しく観たやつが
いちばん好きです。
糸井 そんなのありですか。
永田 なに、口説き文句みたいなこと言ってんだよ。
西本 ぼくは毎回、
いちばん新しくみたやつが
いちばん好きです。
糸井 なんで2回言うんですか。
永田 糸井さんの好きな回は?
糸井 どの回だったかくわしく言えないんですけど、
すごく覚えてるのは、
寄席の客席に荒川良々さんが
いろんな格好をして座ってたときなんですよ。
あの瞬間、
「このドラマはどこまでいっちゃうんだろ?」
って思ったんですよね。
あのへんまでって、その、回を追うごとに、
どんどんどんどんおもしろい人が登場する
っていう流れだったじゃないですか。
永田 あああ、そうですね。
おかしな人がどんどん出てきて、
しかもその一回で終わるんじゃなくて
レギュラーに加わっていく、
みたいな流れがありましたね。
糸井 うん。だから、
この調子でいくと
このドラマはえらいことになるぞ!
ってわくわくしたのがあの瞬間なんですよね。
こう、無尽蔵な感じがしたんです。
永田 なるほどなるほど。
糸井 あと、ゲストが印象的だった回でいうと、
古田新太さんと清水ミチコさんの回ですね。
西本 えーっと、「厩火事」ですね。
あの回は、古田新太さんが孔子をやった
劇中劇が最高だったなあ。
ふたり あったあった(笑)。
西本 思い返すと、印象的な場面だらけなんですけど。
糸井 今後はどうですか。
宮藤官九郎さんにどんなことを期待しますかね。
西本 このドラマって、定番ものとして
続編がつくれそうな感じですよね。
連ドラっていうよりも特番とかで。
糸井 ああ、そうですね。
西本 もしもあるとしたらそれは
ぜひ観てみたいですね。
永田 この11話って、糸井さんが前に言ったように
「タイガーストーリー」だったから、
ドラゴンがメインの2時間スペシャルとか
観てみたいですね。
糸井 また「何年後‥‥」
みたいなかたちでもいいしね。
コクのあるドラゴンを見せてほしいね。
西本 また、芸人として、いい感じで
壁にぶつかったりしててほしいですね。
テレビで売れたはいいけど、
寄席でうけなくなってたりとか。
寄席にあがるとキャーキャー言われて
けっきょく、誰も落語は聞いてくれないという
悩みを抱えてるだとか。
永田 あと、まったく別な期待としては
宮藤官九郎さんの
なんかゆったりしたものを観てみたいですね。
糸井 あああ、なるほどね。
「小津安二郎『東京物語』をクドカンで!」
みたいな。
永田 そんな感じです。宮崎駿さんが
『ナウシカ』! 『ラピュタ』
とつくったあとに、
『トトロ』をつくったみたいな感じで。
西本 ぼくも、新しいものを期待しちゃいますね。
過去の観てないドラマシリーズを
観てみようかなとも思ったけど、
やっぱりつぎの作品が気になります。
糸井 あと、ぼくは、プロデューサーの
磯山さんっていう人が気になりますね。
彼女の描いたマンガも読んでみたんだけど、
やっぱり「ただの女の子だった」みたいな人が
この現場を束ねていくというのは
すごいことだと思うんですよね。
西本 あああ、興味ありますよね。
糸井 うん。現場の話とか聞いてみたいですね。
しかし、このチームは
終わるときはさびしいだろうなあ。
永田 ああ、そうでしょうねえ。
昇太さんが、自分のひとり会で、
芝居のスタッフの連帯感を称して
「お芝居は農業なんですよ!」
とおっしゃってましたが。
西本 このドラマはほんとうに
最後まで観ててよかったと思いましたよ。
ただ観てただけなのに、
ラストシーンはもうドラマの制作スタッフに
加わったような気持ちになりましたもん。
永田 制作スタッフに!
にしもっちゃんらしいほめかたですね。
糸井 西本さん、西本さん、
あなたはこのドラマの
制作スタッフじゃありませんよ?
西本 えっ、ぼくはスタッフじゃないんですか?
永田 もういいよ。
糸井 あああ、終わっちゃったなあ。
終わっちゃうと、さびしいなあ。
永田 終わっちゃうと、さびしいですねえ。
西本 おつかれさまでした。
お約束なので、最後にウンコ行ってきます!
ふたり 行ってらっしゃい!






モギコ
「ドラゴン、ドラゴン、無言電話!」

りか
「会見会見、開高健、オーパ!」

あやや
「ばいしょう、ばいしょう、
 損害ばいしょう」

ゆーないと
「どーん、どーん、どーん、
 ビーバップハイスクール!」

モギコ
そんなふうにムリヤリ景気よく
はじめてみましたが‥‥。

3人
終わっちゃったよーーーー!

モギコ
ていうか、今回はいつも以上に
男子部がこまかいことを
しゃべくりまくりやがっており。

あやや
そうそうそうそう!

りか
いつもながら後攻めは不利ですね。

モギコ
しかし!
残り物をきちんと拾っていくのが
女子部の伝統なり。

ゆーないと
ハイッ! いっちょ行きます!
新流星会の「怖い顔の人たち」、
超うけたーー!
坊ちゃんのツッコミも完璧!

りか
なかでもいちばん
すごい顔をしてたのは‥‥。

3人
橋本じゅんさん!

りか
ほとんど白目でした!

あやや
ハイッ、行きます!
超強引に、「ナン」が登場!
「小虎さんじゃないですか!
 サインください!」
ってナンを差し出す谷中ブラザーズ!
わからない人には
まったくわからないのでは?

りか
スペシャル版『三枚起請』
デス・きよしのナンのエピソードを
ここにひっぱるとは!

ゆーないと
しかも落語のサゲまでナン!

りか
鶴子さん、また妊娠?
沙耶ちゃんがいきなり大きくなってたのに
ほとんど違和感なかった!

あやや
え? 大きくなってたの?

ゆーないと
気づかなかった‥‥。

りか
それよりなにより、
こっそりおもしろいのは太郎ですよ!
髪の毛が天然パーマじゃないですか!

モギコ
え? それがなにか?

りか
だってどん太のチリチリ頭はヅラですよ!

3人
ああああーーーー!

りか
ヅラをとると直毛でしょ?
ってことはなに? ヅラが遺伝?

ゆーないと
もしくはあの若さでヅラ?

あやや
芸人英才教育?

モギコ
それでは私もひじょうに細かいことを。
劇中劇の場面、大工姿の長瀬くんを
思わず「弥次さん!」って
呼んでしまった人は多いはず。
江戸の町と思われるあの場面、
『真夜中の弥次さん喜多さん』
弥次喜多が江戸をたつときに
ダンスを踊ったあのシーンと
まったく同じ場所だったような。

あやや
そうだ、そうだ!
どうりで、
どこかで観たことがあると思った!

りか
ひょっとすると『新選組!』でも?

モギコ
未確認ですが、
同じような場所はありました。
1.竜馬と相撲をとるあたり
2.山口一(後の斉藤一)が
  借金取りをするあたり
3.黒船を見に行く時にわたる橋のあたり
ではないかと。

3人
さすが幕末&チョンマゲ好き!

モギコ
♪ラーラーラーララララー。

ゆーないと
辰っちゃんのヨメ、笑った!
浅草サンバカーニバルで出会った
ブラジル人!
しかもそばアレルギー!

あやや
ジャンプがヨゴレ芸人に!
熱湯ブロにどん太のうしろから
そ〜〜〜っと入ってたのがうけた!

りか
細かくファッションチェック☆
リサちゃん! 代理店長になって、
アイライン強めのきりり顔もかわいい。

モギコ
‥‥むーーーーーー。
男子部の語ってない部分を、
細かく突いてはみたものの‥‥。

あやや
やっぱり言わせろーーーー!!
一番の号泣スポットは、
どん兵衛師匠と、鶴瓶組長のところ。
どん兵衛師匠が、
「ここに座ってたんだよ!
 3年前まで!
 なんでいまいないの?
 家族だと思ってもさ、
 やっぱ家族じゃないから、
 会いたいときに会えないから
 だからつらいんじゃねえかよ」って。
もう、あそこ、泣きすぎて、大洪水!!

ゆーないと
そうそうーあたしも
あそこが一番きましたよー。
「なんでいないのぉ???」
子どもみたいに、ストレートに。
そうだよねーそうだよねー。

モギコ
「オレだって迎えにいきたかったよ」の、
あそこで、
泣きすぎて観るのいやになったくらい。

りか
わかるわかる!!
「ここに座ってたんだよ!
 なんでいないの?」って、
わーん。いま思い出しても泣ける。

3人
わーん。

りか
もうこうなったら、泣きどころ、大解放☆

あやや
みんなから愛されまくりの虎ちゃん!
太郎が壊れたにせロレックスを
持っていたのを見て、
どん兵衛師匠は裸足で、
竜ちゃんは、めぐみのサンダルをはいて、
すっごい勢いで家を飛び出す!
じーーーんときた。

ゆーないと
大慌てでねー。みんなかわいかったわ〜。

モギコ
流星会での銀次郎のかっこよさは
男子部がさんざん語ってたけど、
部屋を出ようとする銀次郎に、
虎児が言ったセリフが泣けた!

あやや
「おい、銀次郎よぉ!
 ‥‥すげぇ似合ってるぞ!」
あそこの男どうしのやりとりは、
しびれたねええええ。くううううう。

ゆーないと
あれは女にはマネできない!
つーか女にはないですよね、あの感じ!!
うらやましいわー。
超かっちょえーっす。

りか
同感☆ きゃ☆

ゆーないと
あたしがグッときたセリフは、
竜ちゃんの、
「うぜーんだよ!
 やりてえと思ってること、
 他人にやれって言われるの、
 すっげーうぜーんだよ!
 オレもわかりますよ。
 あんときのあんたの気持ち。
 やりたいものを、
 人にやれって言われるのが、
 どんなにうざってーか、わかるだろ!」
竜ちゃんが落語に戻るとき
背中を押したのは
うざったい虎ちゃんだったから、
今度は逆に、竜ちゃんが背中を
ってゆーか、
手を引っ張ったんだね〜〜。
ナイスコンビネーションだよ、
タイガー&ドラゴン!

3人
タイガー&ドラゴン!

モギコ
名残は惜しいところですが、
最後の挨拶をきちんとするのも
ほぼ日テレビガイド女子部の伝統なり。

りか
みなさん、
長々とお読みいただき‥‥。


4人
どうもありがとうございましたー☆








=
寂しくもあるのですが
でも心にはこんなにもほんわりとした
優しさを残していて‥‥。
こんな最終回も珍しいなと思います。
寂しさよりも満足感の方が、
見終わった今、とても強いです!
『タイガー&ドラゴン』は
思いっきり笑って思いっきり泣けるドラマでした!
このドラマを見て泣いたり笑ったりするのは
全然恥ずかしくなかった。
すごく無防備に、
素をさらけだして向き合える存在でした。
今結構、何にしても構えてしまうところがあって
真っ白な気持ちでテレビ見ることって少ないです。
空気を読んで笑ったり泣いたりしてます。
だけどこれはそうじゃなかった。
別に笑おうとしてないのにいきなり笑わされて、
夜なのにすっごいでかい笑い声が
出ちゃって恥ずかしかったり、
涙がどうしても止まらなくて、
鼻水ずるずるの赤ら顔を親に見られたりと、
そんな瞬間がかなりありました。
ドラマって作りこまれてるもののはずなのに‥‥。
それを見てる人間は
素を引き出されるなんて不思議ですよね。
とにかく大好きなドラマになりました。
そしてなるべく親孝行しようって思いました。
(きよみ)

=
バスガイドパブで、小虎が、西田さんに、
三年ぶりの再会をはたしたときのシーンで、
床に転がって、西田さんに抱きつく長瀬君が、
「師匠、師匠‥‥」と泣きながら、
西田さんのポロシャツのすそをまくりあげ、
おなかを出して、その裸のおなかを
ピシャピシャと叩いたのに、受けました。
なんか、岡田君が、笑いをこらえているような
顔しているようにも見えて‥‥。
(Manago)

=
「子は鎹」といえば、
別れた家族がウナギ屋で再会する話ですが、
銀次郎が流星会の二代目襲名と
ウルフ商会とのかための杯を交わしたあの広間、
神楽坂のウナギ屋さんの一室だそうです。
ロケを目撃した知人が言ってました。
見えないところまでこだわってるのでしょうか。
すごいなあ。
(マルコ)

=
「やりてぇと思ってることを、
 他人にやれって言われんの、ウゼぇんだよ!」
このセリフが、圧巻でした。終わってみれば、
この一言のためにこのドラマがあった、
とも思えるくらいです。
いや、ほかにも、よかったところは
数え切れないほどあるんですが、
数え切れないので、数えません。
(お)

=
「なんで居ないの?
 ここに居たんだよ」
すごい台詞ですね。
もちろん、西田敏行の腕あってこそ
イヤミなく成立したのかもしれないけど。
こんなにシンプルなのに、
こんなに力のある台詞(シーン)って
最近お目にかかれなかったから、
ちょっと衝撃でした。
(もぞ。)

=
今度飛行機乗る時には、J-POPではなく、
落語のチャンネルに合わせてみよう、
そう思います。
追伸:
日向さんは民主党の岡田克也議員に
似ていませんか???
(ゆか)

=
何と言っても、
最終回でも「平常営業」なのが気に入りました。
最近のドラマって、最終回スペシャルと称して、
15分拡大とか多いですよね。
普段通りの時間で、きちんと下げる。
よかったです!!
(里緒)
2005-06-30-THU
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