第2回
「饅頭怖い」 を観て




永田 はい、いま第2話を観おわりました!
西本 お疲れさまでした!
糸井 いやあ、今日はノックアウトされましたねえ。
永田 もう、いいんじゃないですか。これは。
四の五の言わなくても。
西本 ええ。同感です。
「バウバウ!」と
手を叩いて終わりにしましょう。
永田 賛成! バウバウ!
糸井 ま、そう言いつつも、
しゃべる我々ですけどね。
永田 そういうコンテンツですからね。
けど、まあ、どこから行きますか。
西本 きっと糸井さんが、また、
どうでもいいことから始めてくれるでしょう。
永田 あ、なるほど。
それでは、お願いします!
糸井 そんなカンタンにどうでもいい話を
始められるわけがないでしょう。
‥‥ま、あの、うちの犬がですね。
永田 やんのかよ。
西本 やんのかよ。
糸井 うちの犬がですね、
テレビに動物が出ると吠えるんですよ。
もう、必ず、テレビに動物が出ると、
ワンワンワンワンと吠えるんです。
今日の放送でいうと、
ファンタのCMに出てくるヤギとか、
もう、吠えまくりなんです。
西本 はあはあ。
糸井 それであらためて気づかされるんですけど、
いま、あらゆるコマーシャルに
動物が出てるんですよ。
永田 なるほどなるほど。
糸井 でね、川原亜矢子さん。
川原亜矢子さんというともう、
犬とセットじゃないですか。
西本 はいはい、ブイヨンさんも吠えまくりで。
糸井 もう、それどころか、いまでは、
川原亜矢子さんがテレビに出るだけで
吠えるんです。犬は出ていないのに。
永田 まさに、パブロフの犬!
糸井 それどころじゃありません。
いまや、犬の出ていない川原亜矢子さんの
CMの音楽が鳴るだけで
吠えるようになりました。
西本 パブロフの犬を超えた!
永田 二手先を読む犬!
糸井 もう、詰め将棋みたいになってるんです。
「音楽」という駒の動きで、
のちの「犬」の駒が動くことを想定して、
先手4六「吠える」と動くわけです。
西本 で?
永田 で?
糸井 まあ、そのあたり、
教育していかなきゃいかんなあ、と。
ファンタのヤギのCMを観ながら
思ったわけですよ。
ふたり どうでもいい!
糸井 だからどうでもいい話だと
言ったじゃないですか!
西本 あまりにもどうでもよすぎます。
永田 もっと、イントロになるような
話をしてくださいよ。
糸井 あ、イントロで思い出した。
今日はね、放送の前に、
永田くんとちょっと一悶着あったんですよ。
西本 ほう。
永田 あ、あの話か。
糸井 もうね、あやうく永田くんに
怒られそうになるところでしたよ。
永田 ちょっと待ってください、
いきなり間違ってます。
ぼくは、きちんと怒ったつもりですよ。
糸井 もうちょっとで
どやされるところでしたよ。
永田 だから、どやしたんですって。
ってことは糸井さん、
まだ反省してないですね。
西本 なんなんですか。
糸井 いや、あのね、ちょっと新聞を読んで、
今回の話のあらすじを知ってたもので、
今日はこういう話だって
永田くんにしゃべったわけですよ。
西本 あ、それは怒るわ。
この人、異常なほど前情報を
シャットアウトしますからね。
糸井 でも、ちょっとだけですよ?
「今日は、阿部サダヲさんが
 『抱かれたくない男1位』に
 選ばれるらしいぞ」って。
それだけで、もうおもしろいよなって
それだけなんですよ。
永田 いや、ちょっと待った。
そんな感じじゃなかったんだよ。
昇太さんが真打ちになって、
 『抱かれたくない男1位』になって、
 落ち込んでたいへんらしくて、
 もうおもしろいに決まってる!」って
実際、爆笑しながら説明するんだよ。
「いや、聞きたくないです」ってこばんでも、
記事を読んで聞かせたりするんだよ!
おれが、あれだけ、年がら年中、
「前情報はかんべんしてください」
って言ってるのに。
西本 「情報永田農法」と
異名をとっている永田さんに。
糸井 いいじゃないか、それくらい。
永田 よくないですよ。
だって考えてもみてください。
その数時間後にはいっしょに
そのドラマを観るわけですよ?
来週はさあ、とかそういう話じゃなくて、
ちょっとあとに観るドラマですよ?
そんなん、言われなくても
数時間後にはわかるわけですよ。
なんで言うんですか、それを。
糸井 いいじゃないか、それくらい。
永田 よくないですよ!
西本 まあ、ぼくにとっては
あなたがたのやり取りそのものが
どうでもいいですけどね。
ふたり そりゃまあそうなんだけどさ。
西本 ともかく、今回は、阿部サダヲさんが
『抱かれたくない男1位』に選ばれるという
ひじょうにキャッチーなところから
はじまりましたけど。
糸井 いい、つかみだよなー。
永田 それは同感。
いきなり笑っちゃっいましたよ。
西本 「どん太」という芸人の
キャラクターがくっきりとしましたよね。
「出川さん以上なんだ!」と想像できるあたりで
彼がお茶の間でどれだけの存在かというのが
一瞬で体感できるというか。
永田 わざわざ2位にこれ見よがしに
「出川哲朗」って出てるんだよね。
人物描写のエピソードなんかを挿むより
よっぽどわかりやすい。
で、ほかの名前も誰がモデルか
すぐにわかるような名前で、
ホントと虚構を混ぜてて。
糸井 あのへんは、もう、気持ちよく
ぐしゃぐしゃになってますよね。
「ぐしゃぐしゃ」というのは
このドラマのいい特長だよね。
あの、客席にちょんまげの人が
平気で入ってきたり。
永田 あの演出は何度観てもいいですねえ。
ミラクルですよね。
西本 細かいことですけど、
あれ、後ろの席の人たちは
出てきたちょんまげを無視して
高座を観てるじゃないですか。
永田 そうそうそう!
あのへんがきちんとしてるよね。
虎児とメグミだけがちょんまげを見てて、
ちょんまげの世界に入っていく。
糸井 いわゆる、プリコラージュというんですか?
西本 知りません。
永田 わかりません。
糸井 ‥‥まあ、とにかく、
あの、いろんなものを
ぐしゃぐしゃと混ぜていく演出は
素敵じゃないかということですよ。
永田 それで思い出したのは、
ボーダフォンのCMですよ。
あの、ぼくらが3人とも、
CMになったのを気づかずに観てた瞬間が
あったじゃないですか。
糸井 ああ、キャベツとアンチョビのパスタを
つくってるやつね。
西本 3人とも、本編かと思って観てたら
CMだったという。
永田 そうそう。あれをドラマの続きだと
思って観ちゃってるということこそが、
いかにこのドラマが「なんでもあり」で、
しかも観てるぼくらがそれを好意的に
受け入れているかっていうことですよね。
糸井 ああ、そうだねえ。
西本 テレビ局まわりのものが
なんでもかんでも
スッと入り込んでるんですよね。
糸井 そこらへんはゴージャスですよ。
しっかりクオリティーをたもって
混ぜてるからこそ効果があるんです。
あの、どん太の奥さんが歌う
浅草の歌なんかもそういうことですよね。
西本 『泣いて国際通り』。
永田 ちゃんと作詞作曲して、
ちゃんとカラオケつくって
ちゃんと歌って、
歌詞に合わせて街を探すシーンがあって。
糸井 ゴージャスな遊びですよ。
永田 雑誌の遊びもゴージャスでしたよね。
ちらっと出てくるだけなのに
しっかりananもどきだったり、
SPA!もどきだったりして。
くだらないことを全力でやってる。
糸井 メディア横断の遊びですよね。
このメディア横断ぷりはいいですね。
おもしろいなあ。
あのあたりは演出家の力というか、
演出でなんとかしてくれるだろうという
脚本家の信頼感みたいなものも感じますね。
西本 西田さんが『饅頭怖い』を
高座で演じている最中に
どん太さんのカットが何度も入ってくるあたりも
たまんなかったですけど。
わさび入りのまんじゅうを食べて
「ツラいんだけど、芸人としてはおいしい」
という状況と『饅頭怖い』を重ねてて、
見事でした。笑いました。
永田 落語部分とドラマ部分の重なりは
ほんとに見事だったなあ。
その点は前回の『芝浜』より
上だったんじゃないかと思うんですけど。
糸井 有名な話だけに、
どう重ねるんだろうと思いましたけどね。
結婚式の「ハップニング」に向けて
見事に重なっていってて。
永田 「ハップニング」に。
西本 「ハップニング」に。
糸井 「ハップニング」に。
鶴瓶さん、あの役はたのしいだろうなあ。
永田 あれは、いったい、
どうやってつくっていくんでしょうねえ。
落語があって、話の筋をつくるのか‥‥。
あの、『饅頭怖い』と結婚式の
「どん太、きらーい!」を
重ねるところまではまだわかるというか、
いや、それだけでもすごいんですけど、
そのふたつの軸に、三つ目の軸で
どん太の落ち込みと立ち直りを
きっちり合わせてるところがすごい。
糸井 いや、よくできてた。
西本 よくできてましたねえ。
げらげら笑いましたよ。
永田 笑ってたねえ。めずらしく。
西本 ええ。ぼくはドラマ観て
声出して笑ったことって
たぶん、そんなにないと思うんですけど。
永田 うん。ちょっと意外なくらい。
ていうか、いままでずっといろいろ観てきて、
3人が声を出して一斉に笑うということが
ほとんどなかったよ。
西本 そうですよね。
たいてい、ふたりくらいが笑ってても、
誰かが苦虫を
かみつぶしたような顔をしてたはず。
‥‥まあ、とくにオレですけど。
糸井 おまえだ。
永田 あんただ。
糸井 え、ちょっと質問なんですけど、
にしもっちゃんはバラエティを観るときも
そんな感じで苦虫モードなんですか?
西本 あああ‥‥そうですねえ。
そうかもしれませんねえ。
100パーセント笑うのはさんまさんなんですが
ほかの番組は打率が低いですねえ。
糸井 それはなんでですか?
西本 うーん‥‥。
永田 にしもっちゃんが笑うには、
「おかしい」の前に
「リスペクト」がいるんですよ。
にしもっちゃんが笑うときは、
「おもろい」というよりも、
じつはエールを送ってるときなんですよ。
西本 元・吉本興業ということで
そうなってしまうんですかね。
糸井 でも、それは変ですよ。
おかしいですよね。
永田 ええ。ねじれているといえば、ねじれてます。
糸井 「笑い」は「エール」じゃないですよ。
西本 絶対に笑わないというわけじゃないんです。
こないだ観た
『松本人志のすべらない話』なんかは
ずっと大爆笑してましたよ。
ふたり あれはおもしろかった。
西本 だから、クオリティーがあれば笑いますって。
今回もクオリティーで笑ったわけですから。
永田 笑ったなあ‥‥。
あの、ぼくが笑ってしまうポイント、
阿部サダヲさんの「カツラ」が
早めに出てきてどうなるかと思ったんですけど、
その後の「カツラ」ネタがさらに強力で。
糸井 あの、横の人がカツラをとって
叩きつけるというのはアイデアですよね。
永田 ええ。ぼくはむしろ、
笑ったあとでちょっと心配になりましたよ。
「つぎのカツラはどうするんだろう?」って。
糸井 まだ第2回ですからね(笑)。
西本 というか、スペシャルも含めて、
まだ3回しかやってないのに
お母さんが泣くところなんかも含めて
お約束ができ上がっているというのも
すごいですよね。
永田 それをできたそばから裏切っていくというか
すぐにひねっていくのがびっくりしますよ。
あの、よく糸井さんが言うことで、
「歌の一番ができたら、
 二番をつくるのはカンタンなんだ」
という話があるじゃないですか。
西本 はいはい。
「春を愛する人は心清き人」ができたら、
「夏を愛する人」をつくるのは
そんなにむつかしいことじゃないんだと。
永田 で、この『タイガー&ドラゴン』でいうと、
スペシャルと第1話を観せられて、
観ている側としては、お約束を理解して、
「あとは二番をつくっていただければ
 こっちはそれを十分たのしみますよ」
という気分でいるわけじゃないですか。
ところがどんどん二番を
すっ飛ばしていっちゃうから、
観てて「え、どうすんの?」っていう
気持ちになるんですよ。前回みたいに、
落語と本編がパラレルに進行していって
サゲのひとことを
虎児が言うのかと思ってたら、
あっさり西田さんが
『饅頭怖い』を最後までやっちゃうし、
カツラは早めに脱いじゃうし。
もう、どうすんの? って。
糸井 つまり、この人たちは、
安易に二番をつくるつもりが
ぜんぜんないんですよ。
永田 そう、そうなんですよ。
糸井 ずっと一番をつくってるんですよね。
永田 だから後半はとくに
やられっぱなしでした。
前半は笑いながら「どうすんの?」で、
後半はそれが解消されていく爽快さがあって。
糸井 まあ、そういう乱暴な構造も、
阿部サダヲという非凡な人が
主役になってるからこそできる
ことなんでしょうけど。
西本 そうですね。
糸井 阿部サダヲの悲しい芝居、
影の部分っていうのが
じつはものすごく効いてるんだよな。
笑ってても目がつりあがってて、
猫目になってて、妙な悲しさがあるよね。
永田 マジメな場面だと顔が違いますよね。
じつはすげー童顔なんだなあ、
とか思ったりしました。
西本 芸人・どん太の悲しさの演出も効いてましたよ。
どん太の部屋がいっぱい映ってたけど
いろんな色のカツラがあったじゃないですか。
レギュラー7本を勝ち取った
彼の激しい芸人人生を感じましたよ。
永田 同時に、売れっこでもあるということも
アピールしてるんだよね。
それが最後の立ち直りの
隠し味というか、下味になってる。
糸井 嫌われながらもそれを売りにして
7本のレギュラーを持っているという
芸人の「すごみ」というものを
部屋をつくっているときにも
誰かが考えるんだろうな。
脚本家がいて演出家がいて役者がいて
というだけじゃない、
みんながいろんなことを用意している感じ
というのがすごくいいんですよね。
おでんの屋台のおでんなんて、
ふつうおでんが
いっぱいあるだけじゃないですか。
それが、あの、
「はんぺんは染みたのがいいか」
みたいなセリフのやり取りと、
おでんの屋台のつくりで
自分が「なにを食べたいか」というところまで
興味を持っちゃうわけですよ。
卵を食ってるときは美味そうだな、とかね。
逆に、そのあとでメグミがおでんを
無造作にすくってるのを見ると、
「おいおいそんなカンタンに選ぶのかよ」
っていうふうに感じて、
それが人物の個性になったりね。
ふつうはあんなふうに
ディテールを見ていかないですよ。
永田 ドラマの中のディテール1コに
「こんなところにこんなことが!」
っていうふうに反応して、
「おれだけがおもしろがってるのかな?」
って感じたりすると、
ほかの場所にもそういう
ディテールがあるに違いないと思って
いろいろおもしろがって見ちゃうんですよね。
糸井 そのディテールのかたまりが
今回の阿部サダヲさんの役ですよね。
ぼくなんかは、どん太を見ながら
「林家三平のバリエーションなんだろうなあ」
って思ってましたから。
林家三平さんが受けた非難みたいなものまで
パロディーにしてるから。
西本 そこに(林家)ぺーさんのルックスと
竜ちゃん(上島竜兵)のキャラクターを混ぜて。
糸井 そうそう。どうでもいいことなんだけど、
観てるほうが勝手にたのしめるんだよね。
永田 ぼくが勝手におもしろがったのは、
あの、どん太が妻に迫る場面なんですよ。
あそこでカツラを脱いで真顔になるんですけど、
以前、タモリさんとみうらじゅんさんが、
「サングラスをしていると、
 女を口説いて、ことに及ぶときに、
 いつサングラスを取るかがむつかしい」
って話してたことを思い出して。
糸井 あーーー、あったあった(笑)。
「サングラスキャラは、
 男モードに入る瞬間を
 相手にさとられて恥ずかしい」
ってやつね。
西本 ほかの人のディテールになりますけど、
(春風亭)昇太さんの説明で、さらっと
「元駅員で、30から弟子入りして
 10年かかって真打ちになった」
って言ってたのがよかったですねー。
ふたり よかったよかった(笑)。
西本 古典を一生懸命やってる人として
見事な設定ですよね。
実力あるのに、あの歳まで真打ちに
なれなかったことの説明にもなってるし。
糸井 昇太さんがほんとに
まじめな落語家に見えてきたもんね。
永田 あの、高座で着替えちゃう人が。
西本 四つんばいになったり
寝そべったりする人が。
糸井 元の昇太さんのキャラを知ってると
よけいにおかしいわけだよね。
永田 「小太りのウッディ・アレン」
ってのも笑っちゃったなー。
糸井 ほんとに、ちょこちょこおもしろいよなあ。
西本 つぎへつながるフリも入ってましたね。
どん太さんの「バウバウ」があったあとに、
次回予告で高田(文夫)さんが現れるという。
糸井 そうそう、高田さんね。
西本 あとは、最後に出てきた荒川良々さんですよ。
もう、出てきただけでおもしろい。
永田 すごい存在感でしたね。
あの人にも、いろんなディテールが
くっつくんでしょうねえ。
西本 ていうか、出てきただけでもうついてる。
糸井 とりあえず、
しゃべり方は小朝さんっぽかったね。
西本 ぼくはあの古い近鉄の帽子を見て、
『ゴリラーマン』に出てきた
先生のことを思い出しましたよ。
永田 どうでもいいですけど、
あの謎の男は左利きでしたね。
糸井 そうだっけ?
永田 ぼくはどういうわけだか昔から
テレビや映画に左利きの人が出てくると
すぐ目についちゃうんですよ。
マンガの中で、キャラクターの
利き腕がコマによって変わってたりすると
すごく気になる。
糸井 あなたという人のディテールに
つけ加えておきます。
永田 恐れ入ります。
糸井 ま、ディテールばっかり
言っててもキリがないんで、
べつの話をしますけど、
今回、物語としてひとつ大きかったことは、
虎児が「なぜモテるか」が
わかったということですよね。
竜二のほうにいったん
参ったという姿勢をとらせることで
虎児の「太か男ばい」というところを
表現しましたよね。
あれを早めにどかんとやったというのが
お客の側としては、すごく気持ちいいですね。
これから先、観やすくなりますね。
永田 ああ、それは思いました。
連ドラってとにかく引っ張るっていうか、
「こいつはこいつを好きなんだけど
 好きだと言わずにまた来週」
みたいな印象があったので
あっさり行くのが気持ちよかった。
虎児が冒頭で「2発やった」って言うのも
あっさり決める感じがありましたよね。
あそこを引っ張ると面倒になりそうだったから
気にしなくてよくなったというか。
虎児というキャラクターの表現としても
すごくわかりやすいし。
西本 あと虎児の「太か男」の表現としては、
あの、若い嫁の携帯ストラップを見て、
すべてを丸く収める結婚式の作戦を
ひらめいたのが
虎児だというのが効いてますよね。
しかも、実際に作戦をぜんぶ
虎児が仕切るところを見せるんじゃなくて、
「虎児がうまくやったんだろうな」と
お客さんに想像させるつくりになってるのが
効果的なんじゃないかと。
糸井 うん。それくらいしないと
虎児が超新作落語をして、
まがりなりにもファンを増やしている
というあたりが見えなくなっちゃうからね。
そこはもともとコントロールが
すごくむつかしいところですから。
アホなふりをしてるけど
じつはすごくクレバー、ということですよね。
だって、あの、元子分のヤクザのところに
呼び出されて行ったときに、
とぼけたり暴れたりするんじゃなくて、
スッと相手の話を聞いて
「どうしますかねえ」
っていう姿勢になったからね。
あのクレバーさは、虎児という男にとって
重要なところでしょうから。
永田 基礎として、「仕事ができる男」っていう
イメージがありますよね。
親分の息子の教育係になってたり、
いろんなところからなんなく集金してたり。
糸井 うん。あとさ、あのへんの、
東京のいろんなところを
ちらちら映すようなところを観てて思ったけど、
このドラマを地方の子が観ていたら、
「ものすごい街、東京」って感じるだろうね。
永田 あーー、なるほど。
西本 そうなりますよ。
糸井 しかも「自分が参加できる東京」ですよね。
はとバス、田舎から出てきた伊東美咲。
入り口になる浅草。
修学旅行生でも誰でも迎え入れる原宿。
東京の深さみたいなものよりも
東京の入り口がざーっと並んでいるんだよ。
どこにでも入っていけますよ。
永田 あの、『真夜中の弥次さん喜多さん』
試写会を観てきたうちの社員たちが、
「自分も出演したかった」っていう
ほめかたをしてたんですよ。
だから、そういうことが言えちゃうような、
この変な世界に自分が混じれるかも?
っていうワクワクが生まれるような独特の空気が
宮藤さんの作品にはあるんじゃないでしょうか。
たとえば、糸井さんが
「『新選組!』に出たいなあ」って言うのは、
絶対出られないからこそ
ネタになってたわけですよね。
それとは逆のことかなあと。
糸井 そうですね。
修学旅行生の役が等身大で出てきて、
それが変な世界の一部を
きちんと担当しているわけですから。
西本 身近に感じるんでしょうね。
だから、これを観たら、
芝居したくなる若い人って増えるんだろうな。
糸井 そういう意味ではさ
下北沢のさまざまな劇団で
芝居をしているような子は、
すでに道から舞台に上がっているんだよね。
つまり、段階を踏んで行かなきゃならない
なんてことは深刻に思ってなくて、
昨日まで違うことをしてたやつが
演じられるってことを知ってるんですよ。
そのノリが、いま、ようやく
テレビに入っているわけですね。
やっぱり小劇場ですよ。
西本 ああ、あの鶴瓶さんの娘役の子なんかは
まさしくそんな感じですよ。
拙者ムニエルという劇団の
伊藤修子さんって子で。
拙者ムニエルには以前、
「ほぼ日」でラジオコントをつくったときに
参加してもらってたんですよ。
あの人は、出演はしなかったんですけど
稽古はずっと見てたんです。
あの子はすごいですよ。
あのテンションの切り替えは北島マヤですよ。
まさか、こんなところで会えるとは。
ほかにもそんな人が
いっぱい出てるんでしょうね。
永田 エンディングロールに
顔を添えておいてほしいくらいですよね。
あの、ガーッと名前が並んでるなかに
たくさんおもしろい人がいるんだろうなあって
思いながら観てたから。
糸井 ドラマなんだけど、パンフレットがほしいよね。
そういうのをTBSがつくって売ればいいのに。
西本 『新選組!』も特別ですけど、
このドラマも特別ですねえ。
毎回、終わりの時間がくるのが残念ですもん。
永田 あの、宮藤官九郎作品というのは
ぜんぶこうなんですか?
糸井 ぜんぶ観たわけじゃないですけど、
いまのところ、そうなんですよ。
西本 それは観ちゃいますよね。
永田 それは人気も出るわ。
糸井 でも、ま、つまんない人には
つまんないと思うよ。
ただ、そこはちゃんとわかってるっていう
ところがほかと違うところだと思うんですよ。
たとえば、寄席で西田さんが
『饅頭怖い』をやっているときに
「じゃ、4本足のコタツは食えるかい?」
っていうところで虎児が笑って、
なんで笑ったの? って訊かれて
「わかんねえ」って答えたじゃない。
あの「わかんない」というのを
混ぜたことの親切さは感心したんですよ。
あれはねえ、つまり、ものさしがひとつ
放り込まれたということですから。
やたらにむちゃくちゃじゃなくて、
どこかのところに
「わかる・わかんない」
「おもしろい・おもしろくない」
という基準があって当然だということを、
ポンとドラマの中に入れることによって、
オレはここまでだなあ、というのを
お客さんがすごく考えやすくなるんです。
永田 わかんないやつがダメだっていう
感じじゃなくて。
糸井 じゃないです。開いてますよね。
だから、若い子たちが混じりたくなるんです。
落語、聴いてみようかな、っていう人も
増えておかしくないと思いますよ。
この回を観たあとに、
『饅頭怖い』も聴いてみてほしいですね。
西本 誰のがいいですか?
糸井 ぼくは(桂)米朝さんのが好きですね。
米朝さんの『饅頭怖い』はね、長いのよ。
たしか30分くらいあると思う。
若衆たちが集まって、
暇な時間を無駄話をして過ごすというのを
しっかりやるんですよ。
そこを堪能するためには
前座噺の短いものじゃなくて
米朝さんの長いやつがいいんじゃないかな。
来週は『茶の湯』だそうですけど、
それも予習して
みてほしいくらいの気持ちですね。
予習しておくと落語のおもしろさが
まず一回わかるじゃないですか。で、さらに、
「どうやってドラマにするんだよ、この噺を?」
というおもしろさがあるから
2度おもしろいと思うんだよね。
西本 あ、ちょっと予習してみたいですね。
糸井 そうですか。じゃあ、
(三遊亭)金馬さんのがありますから
CDを貸しましょうか。
西本 お願いします。永田さんは?
永田 聴いてみたい気も、おおいにありますが、
やはり前情報なく臨みたいです。
西本 お、そうでした。
糸井 『茶の湯』っていうのはねー、
とあるご隠居さんがねー。
永田 わーーーー、もーーー。





あやや


ゆーないと
ヤングチーーーム!

モギコ
おいコラ。

りか
「アダルトチーム」と返すと思ったか。

あやや
まさかド頭で
いきなりつっこまれるとは‥‥。

ゆーないと
ヤング&アダルトでいいじゃん。

りか
よくないわい。

モギコ
だいたい、
あたしとりかさんのあいだにも
くわしくは言わないが
ヤング&アダルトの川が流れているんだぞ。
ひとくくりは乱暴である。

りか
きゃ☆


3人
「きゃ☆」って言うな。

あやや
さっさとはじめますけど、
今回は2回半観ましたよ!
2回はフルで観て、最後に、
「もう一度、観たい!
 あのシーン、あの表情!」って、
自分ダイジェスト版も観ちゃいました。
で、で、で、発見なんですけっど、
1回目よりも2回目のほうが
さらに、おもろい!
ということがわかりましたよ。

ゆーないと
とにかく虎児かっこいいいい〜〜〜〜!!
ベロ出しすぎ〜〜〜〜!!!!!
しびれるぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

あやや
虎児いちばんのセリフはあれっしょ!
家を飛び出して行った竜二に言った、
「親子っていうのは、なんかいいもんだな」
って!!
ヤバいっすよ、ヤバいっすよ。
カッコよすぎっすよ。
ていうか、わたしから言わせりゃ、
「男どうしってのは、なんかいいもんだな」
なんですけどおおおお。

ゆーないと
チビTは今回一瞬しか出てこなかったけど、
登場の時に
「ちょえ〜〜〜〜っす」って言ったのが、
かなりツボにはまってしまいました!
流行らしていこうと思います。
てゆーか、チビTさん、気になります。
気になりまくります。

あやや
男性陣もかっこいいんだけど、
女の人たちも、またいい!
先週の蒼井優ちゃんもよかったけど、
今週ホレたNo.1ガールは、
若頭日向さんの18歳若妻!」
披露宴で、最後、鶴瓶組長と
にらみ合って啖呵を切る場面。
「庭つき一戸建ても、
 ドイツ製のシステムキッチンも、
 プラズマテレビも、大ーッキライ!」
あれは、よかったねーー。
粋だったねーー。
ところで、粋ってどういうこと?

モギコ
ええい、かしましいぞ!
ささささ、りかさん。
先週、いち早く若頭・日向の動きに注目し
今回の展開を予想したともいえる
その慧眼を、今週もお願いします。

りか
きゃ☆


3人
「きゃ☆」って言うな。

りか
今週はやはり‥‥。


3人
‥‥ごくっ。

りか
長女のスネっぷり!

モギコ
おお、さすが!

あやや


ゆーないと
‥‥は?

りか
どん太夫妻に子どもが生まれて
名前がどうのって話してる
場面があるでしょ?
あそこで長女がめっちゃスネて、
ぶすーってしてるのよ。

モギコ
そうですそうです、
家族がみんな弟に注目されて
子ども返りする長女の
見事な表現でした!

りか
で、もぎちゃんはどこに注目?

モギコ
わたしは、ずばり阿部サダヲさん。

りか
ほー!

モギコ
あの人って、じつは‥‥。

あやや


ゆーないと
‥‥ごくっ。

モギコ
意外に「歌舞伎顔」ではないかと!

りか
見事な着眼点です。
さすが歴史ファン! 
あ、それ、
どーんどーーんどーーーん!!

あやや


ゆーないと
‥‥‥‥。

モギコ
これ! そんな、
ヨゴレ芸人さんを見るような目つきで
りかさんを見るんじゃありません!

りか
どーんどーーんどーーーん!!
どーんどーーんどーーーん!!
どーんどーーんどーーーん!!

モギコ
やかましいっ!

りか
きゃ☆





2005-04-28-THU
感想のメールははこちらから!
件名を
「タイガー&ドラゴン」にして
postman@1101.comまで、
ぜひ感想をくださいね!
ホームへ
ディア・フレンド
このページを
友だちに知らせる。
©2005 HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN All rights reserved.